【FP相談】会社員の妻で専業主婦です。国民年金に加入し保険料を負担しなくてはいけませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月18日 10時50分
A子さんは35歳の専業主婦です。夫は会社員で厚生年金に加入しています。専業主婦でも国民年金に加入し、保険料を負担しなくてはいけないのでしょうか? FPが詳しく解説します。
国民年金への加入と保険料負担
A子さんは、昨年度末に勤務先を退職し専業主婦になったばかりです。
会社員のときは、厚生年金に加入することで国民年金にも加入していることは知っていましたが、専業主婦になったときに何も手続きをしていないことに気が付き、急に不安になりました。
「そういえば保険料も払っていないし、このままでいいのかしら……」
早速調べると、次のことが分かりました(※1.)。
1.日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人はすべて国民年金に加入することになっている。
2.厚生年金や共済組合への加入者(第2号被保険者)に扶養される配偶者(第3号被保険者)で、原則として年収が130万円未満である人は、国民年金保険料を直接納める必要がない。厚生年金や共済組合が加入者に代わって国民年金に必要な費用を負担している。
3.ただし、第1号被保険者(自営業や農業・漁業従事者)に扶養されている配偶者は、第3号被保険者とはならないので、自分で国民年金保険料を納める必要がある。
「そうよね、加入しないといけないのよね! 保険料は負担しなくてよいので安心したけれど、私が第3号被保険者になったって、夫はちゃんと会社に伝えているのかしら?」
という不安が出てきました。それでは、被扶養配偶者として国民年金に加入する手続きを確認しましょう。
専業主婦の国民年金加入手続き
夫の扶養に入る際は、「第3号被保険者関係届」を夫の勤務先に提出します。つまり、夫に忘れず手続きしてもらわないといけないということです。
A子さんは、健康保険も夫の加入する健康保険組合に入るので、夫は勤務先に国民年金と健康保険の両方の届け出を行う必要があります。
なお、もし夫が協会けんぽ(全国健康保険協会)の被保険者である場合は、「健康保険被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届」のみを提出します(※1.)。A子さんは帰宅した夫に聞いてみました。
「実は、何か手続きが必要とは思っていたけれどよく分からなくて。健康保険の扶養申請をしたら総務担当者が教えてくれたよ」
今回は、A子さんが被扶養者になることに伴う手続きでしたが、今後、夫が出向や転職などによって加入する年金制度が変わった際にも、手続きが必要です。
A子さんは専業主婦のままでも、第3号被保険者の「種別確認」といわれる届け出が、夫の新勤務先に必要となります。年金制度の主な変更事例としては、
・公務員(共済組合)⇔民間の会社員(厚生年金)
・同じ公務員でも共済組合が異なる、国家公務員⇔地方公務員
といったケースが該当します(※1.)
第3号被保険者の手続きを一度したら終わり、ではないのです。もちろん、新しい勤務先で手続きの案内があるはずですが、A子さんにはぜひ知っておいてほしいものです。
もし未納期間があったら?
かつて、第3号被保険者への手続きは、本人が市区町村役場に直接届け出る方法でしたが、そうと知らずに手続きが漏れるケースが多く発生しました。さっきまでのA子さんと同じですね。そこで、現在のように配偶者の勤務先経由に変更されました。
「やっぱり未加入のまま気付かないこともあったのね。ところで、1年ブランクがあるといくらもらえなくなるのかしら?」
国民年金支給額の計算式は次のとおりです(令和4年4月以降適用の金額)。40年間、未納や免除期間なく納付すると満額を受け取れます(※2.)
77万7792円(満額)×加入期間(月数)(保険料納付期間)/480ヶ月
試算すると、加入期間1年分の年金額は約1万9500円。3年分で約5万8500円、5年分で約9万7500円です。
「空白期間の3年で月5000円弱減るのは痛いなあ。夫の転職や自分が自営を始めるときには、届け出を忘れないようにしなきゃ」
A子さん、1年あたりの年金額を実感したようです。自分の年金記録を確認するときは、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で。もし疑問があるときは年金事務所までご相談ください。
出典
(※1.)日本年金機構 年金Q&A (国民年金の加入)
(※2.)日本年金機構 老齢年金
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。
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