サラリーマンと自営業者、残された妻の遺族年金はそれぞれいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月18日 13時30分
サラリーマンと自営業者では加入する公的年金制度が異なっており、万が一、亡くなった際に遺族の方が受け取れる遺族年金の金額も変わってきます。 では、亡くなった夫がサラリーマンと自営業者の場合、専業主婦や扶養内で働いていた妻が受け取れる遺族年金の金額は、それぞれいくらになるのでしょうか。
遺族年金の種類
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金とは、国民年金に加入している方が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた子がいる配偶者、または子が受け取れる遺族年金で、夫が自営業者の場合、要件を満たした妻が受給対象となります。
遺族厚生年金とは、亡くなった方が厚生年金に加入している場合に生計を維持されていた遺族が受給対象となる遺族年金で、夫がサラリーマンで要件を満たしていれば妻が受け取れるものです。
なお、厚生年金の加入期間は国民年金にも加入しているため、夫がサラリーマンの場合、妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れることになります。
遺族基礎年金と遺族厚生年金で受け取れる金額はいくら?
遺族基礎年金と遺族厚生年金は、いずれも夫が亡くなった場合に妻が受け取れる可能性があるものですが、両者は支給される金額が異なっています。
遺族基礎年金
妻が受け取る遺族基礎年金(令和4年度)は、77万7800円に子の加算額を加えた金額です。子の加算額は、2人目までは1人につき22万3800円、3人目以降は1人につき7万4600円となっています。
例えば、子どもが3人いる妻が遺族基礎年金を受け取る場合、77万7800円+22万3800円(1人目の子の加算)+22万3800円(2人目の子の加算)+7万4600円(3人目の子の加算)で、合計130万円となります。
遺族厚生年金
遺族厚生年金の金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。報酬比例部分は厚生年金の加入期間や給与によって変化し、加入期間が長く、給与が高いほど報酬比例部分も多くなります。
日本年金機構による平均的な収入(平均標準報酬)は、賞与を含めた月額換算で43万9000円とされています。また、遺族厚生年金では、亡くなった方が厚生年金に加入していた期間が300月未満の場合、300月と見なして報酬比例部分が計算されます。
上記を例に、亡くなった夫の給与を43万9000円、厚生年金の加入月数を300月、厚生年金への加入は平成15年4月以降として遺族厚生年金を計算した場合、妻が受け取る金額は54万1385円となります。
43万9000円×5.481/1000×300÷3/4=54万1385円
遺族基礎年金を受給できる方は合わせて受け取れるため、前述した例のように子どもが3人いる妻の場合、遺族年金は合計で184万1385 円となります。
また、40歳以上65歳未満で生計を一にする子がいない場合など一定の条件を満たすことで中高齢寡婦加算を受けられるほか、生年月日によっては経過的寡婦加算が上乗せされます。このように、サラリーマンの妻が受け取れる遺族厚生年金は手厚い内容となっています。
対象の子がいないと遺族年金を受け取れないことがある
妻が遺族年金を受け取るに当たり、気をつけるべき点に子の有無があります。
夫が亡くなった場合、必ず遺族年金を受け取れるわけではなく、遺族基礎年金は対象となる子(18歳になった年度の3月31日までにある方、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)がいない妻には支給されません。ただしこの場合、12万円から32万円の範囲で死亡一時金を受け取れることがあります。
また、遺族厚生年金は子がいない方も受け取ることができますが、30歳未満の場合は5年間の有期支給となっています。
基本的に自営業よりサラリーマンの妻の方が受け取る遺族年金は多い
自営業の方の妻が受け取れる遺族年金は、77万7800円に子の加算額を加えた遺族基礎年金となります。
対してサラリーマンの方の妻の場合、遺族厚生年金の額は亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分にもよりますが、遺族基礎年金と合わせて受け取れるため、基本的に自営業の方の妻より遺族年金は多くなります。
いずれの場合でも、自分が受け取れる遺族年金の金額を参考にして、万が一の際の備えについて考えてみてください。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士
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