突然の入院! 医療費の負担軽減にはどんな方法がある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月19日 4時20分
突然の入院……自分の体調も心配ですが、入院・通院費が高額になった場合、家計への影響も心配ですよね。 健康保険や国民健康保険に加入している場合、医療費の負担を軽減する方法があります。どのような仕組みなのでしょうか? (※令和4年5月の制度に基づき執筆)
高額療養費制度とは
病院や薬局へ支払う医療費が1ヶ月(その月の1日から末日まで)で上限額を超えた場合、超えた金額分が戻される「高額療養制度」があります。
ただし、入院中の食事代や、患者が希望した差額ベッド料金、先進医療等は高額療養費に含みません。
上限額は、図表1および図表2のように、70歳以上であるかどうかと、所得により異なります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、標準報酬月額により分けられます。
また、70歳以上の場合は、個人ごとの外来についても上限額があります。
(図表1)
※住民税非課税世帯に該当していても、現役並みの所得がある場合は、現役並みに該当します。
出典:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
(図表2)
※住民税非課税に該当していても、収入が標準報酬月額53万円以上の場合は、標準報酬月額による区分となります。
※「旧ただし書き所得」とは、収入総額から必要経費や給与所得控除、公的年金等控除および基礎控除等を差し引いた額のことです(出典:厚生労働省 (1)制度創設時の考え方 3 賦課ベースについて(保険料))。
出典 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
同じ病院でも、外来(通院)と入院は別で計算します。
1つの医療機関で自己負担が上限を超えないケースでも、同じ月に別の医療機関にかかった場合、自己負担額を合算できます(69歳以下の場合は、自己負担額が2万1000円以上の場合のみ)。
その一方で、月をまたいでの入院は、入院を通した合計が上限を超えたとしても、月ごとに計算したら高額療養費に該当しない場合があります。
世帯合算と多数該当
1人の医療費では限度額を超えない場合でも、同じ世帯の家族(協会けんぽの場合は被保険者とその被扶養者、国保の場合は同一世帯の国保加入者)が窓口で負担した分の医療費を、月ごとに合算できます(69歳以下の場合は、2万1000円以上の自己負担の場合のみ)。
また、世帯に70歳以上と69歳以下がいる場合は、まず、70歳以上の個人ごとの通院が限度額を超えていれば払い戻されます。
次に、70歳以上の限度額までの通院分に、入院分を合計して限度額を超えている分が払い戻されます。
次に、70歳以上の方の限度額までの分と69歳以下の加入者の自己負担限度額を合算し、69歳以下の加入者の上限を超えた分が払い戻されます。
ほかに、1年間に3回以上高額療養費の支給を受ける場合、4回目からは「多数回該当」となり、上限額が下がります。
各区分の上限額は、図表3のとおりです。
(図表3)
出典:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
このように、高額療養費制度で、上限以上支払った部分は戻ってきます。
しかし、いったん窓口負担分を全額支払わなければなりません。しかも、返金されるのに診療月から3ヶ月以上かかります。その間お金の工面が必要になってきます。
高額療養費支給見込額の8割まで無利子で借りられる「高額療養費貸付制度」や、国民健康保険には高額療養費を医療機関が受け取る「高額療養費の委任払い制度」がありますが、事前に高額になることが分かっている場合、あらかじめ手続きをしておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までにできる制度があります。
限度額適用認定証(限度額適用・標準負担額減額認定証)
高額な負担になりそうなときは、前もって「限度額適用認定証(住民税が非課税の場合は、限度額適用・標準負担額減額認定証)」の申請をしておきましょう。
医療機関にかかるときに、窓口で保険証と申請しておいた認定証を提示すると、1ヶ月ごとの窓口で支払う金額が限度額までになります(70歳以上で区分が一般、現役並み所得者のうち標準報酬月額が83万円以上(所得が690万円以上)の方は限度額適用認定証の申請は不要です)。
ただし、医療機関を合算して限度額を超える場合や、世帯合算で限度額を超える場合などは、高額療養費の申請が必要になります。
詳細は、ご加入の保険者(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村など)までお問い合わせください。
出典
全国健康保険協会 ホームページ
全国健康保険協会 高額療養費について
厚生労働省 高額療養制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
厚生労働省 (1)制度創設時の考え方 3 賦課ベースについて(保険料)
厚生労働省 高額な外来診療を受ける皆さまへ
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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