将来は子どもが二人ほしい……世帯年収はいくらあれば安心ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月24日 12時30分
結婚したばかりの夫婦や未婚の若い人の中には、将来は子どもを2人育てたいと考えている人もいるでしょう。実際、子どものいる家庭で最も多いのは「2人きょうだい」の家庭です。 しかし、子育てにはお金がかかるもの。子ども2人を育てるには、どのぐらいの年収があればよいのか知りたいという人もいるのではないでしょうか。 ここではさまざまな調査結果を交えながら、子どもを2人育てるために安心な世帯年収を説明していきます。
2人きょうだいを希望する人は多いものの経済的な不安
国立社会保障・人口問題研究所が2015年に発表した「第15回出生動向基本調査」によると、夫婦が最終的にもうける子どもの人数は1.94人でした。このうち子どものいない家庭が6.2%、1人が18.6%、2人が54.1%、3人が17.8%、4人以上が3.3%となっていて、子どものいる家庭の6割弱が子どもを2人もうけていることが分かります。
また、結婚した夫婦に「理想の子どもの人数」を尋ねたところ、「2人」と答えた人が半数を超え、次いで3人と答えた人が4割弱になっています。また「予定する子どもの人数」についても「2人」が52.6%と最も多く、次が「3人」で23%でした。
同様に、未婚の男女に希望する子どもの人数を聞いたところ、「2人」と答えた人が6割を超えました。2人きょうだいを希望する人が多い一方で、子育てや教育費にお金がかかり過ぎることを懸念する声もあります。
手当を含めた所得の中央値は672万円
「2019年 国民生活基礎調査」によると、17歳以下の子どもがいる家庭の所得の中央値は672万円と、全世帯の中央値の437万円を200万円以上上回っています。
また平均所得金額の552万3000円を下回る割合は、35.2%にとどまっています。子どもがいる家庭の、1世帯当たりの子どもの人数は1.68人でした。また、総所得に占める児童手当などの割合は14.3%となっていて、企業などで働いている人の、平均的な雇用者所得は651万8000円でした。
2009年の内閣府の調査では、第1子1人当たりの年間子育て費用額は、未就園児で84万3225円、保育園・幼稚園児で121万6547円、小学生で115万3541円、中学生で155万5567円でした。
2003年に公表された試算では、未就園児で年間50万円、保育園・幼稚園児で65万円となっていたのですが、それを上回っています。第2子以降の子育て費用は、第1子の7~8割ほどで済むと考えられていますが、子どもの人数が増えるほどに子育て費用はかかります。
このような調査結果も踏まえると、子どもを二人育てるために必要な年収は600万円以上で、700万円を超えると安心して子育てがしやすくなるのではないでしょうか。
医療費や保育料・授業料の助成も拡充
現在は全ての自治体で子ども医療費の助成がありますし、2019年からは3~5歳児の幼保無償化が始まりました。また、2020年からは、東京都で年収910万円以下の世帯については、子どもの私立高校へ通うための助成が充実しました。
親の経済的な負担を見直す動きも
子育てにかかる費用が高く感じられる背景には、子どもに大学へ行ってほしいと考える親が増えていることにもあります。子どもの数の減少とは裏腹に、この50年で子ども1人当たりにかける教育費は5倍以上になりました。
政府は理工農学部の大学生や、多子世帯の大学生を対象とした給付型奨学金の拡充を検討していて、親の経済的な負担を軽減するための対策が期待されます。
出典
国立社会保障・人口問題研究所 第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況
厚生労働省 図表1-1-7出生数、合計特殊出生率の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-
全国家族調査(NFRJ) きょうだい数と学歴に関する基礎的分析
内閣府 平成7年度 国民生活白書(要旨)
内閣府 平成7年国民生活白書戦後50年の自分史多様で豊かな生き方を求めて第I部 戦後50年:豊かさと行動様式,意識の変化
内閣府 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 全体版(PDF): 子ども・子育て本部 –
【内閣府】平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査調査結果
【内閣府】第2節家庭と社会全体の子育て費用: 子ども・子育て本部 –
株式会社小学館 「令和の子育て世代のお金事情」を大調査!世帯年収は500万円台が最多、持ち家率は63%!貯蓄額は2極化傾向で、投資に興味ありと60%が回答(プレスリリース)
GemMed データが拓く新時代医療 全都道府県・全市区町村で子ども医療費に何らかの助成、中には22歳まで助成する自治体も―厚労省
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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