年収500万、30年前と今で手取りや生活はどう違う?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月24日 10時10分
1990年からのおよそ30年間、日本人の1年間の平均給与は大きくは変わらず、2020年の平均給与は433万円、このうち男性は532万円、女性が293万円となりました。 しかしこの30年で生活が大変になったなどの声も上がっています。 ここでは同じ年収500万円の世帯でも30年前と現在とで手取りや生活スタイルがどのように変化したのか説明します。
社会保険料が上昇・扶養控除は縮小
30年前と今とでは社会保険料や税金の占める割合が異なります。例えば1988年には8000円だった国民年金保険料は、2022年4月時点では1万6950円と2倍以上になっています。給与に対する社会保険料(厚生年金や健康保険料)の割合は、30年ほどの間に6ポイント前後上昇しました。
ほかにも2004年には配偶者特別控除の加算分がなくなり、これまで収入が0だった専業主婦の配偶者特別控除が76万円から38万円に減額されました。さらに2010年には子ども手当が創設されたのと引き換えに年少児童扶養控除が廃止されました。
これまで専業主婦で中学生までの子どもがいた家庭では、月々の手取り額が減ってしまいました。このようなことから2000年代前半と比べても、年収500万円の人の手取り額は30万円以上少なくなっているのです。
間接税の負担も大きく
消費者物価指数は1990年と比べると5%ほど上昇しました。ただし2022年3月については世界情勢などを受けて、前年同月比1.2%の上昇となっています。ただ、この30年間で消費税をはじめとする間接税のウエートが大きくなり、所得の少ない世帯ほど負担が重くのしかかっています。
1989年に3%で始まった消費税ですが、その後5%、8%と上昇し、2019年には一部の食料品を除いて10%となりました。2022年3月時点では国際情勢などを受けて原油価格が高騰し、食料品の値上げも相次いでおり、家計負担を気にする声も上がっています。間接税というとたばこ税も大きく上がり、30年前の2倍以上になっています。
2人以上の勤労者世帯の場合、社会保険料や間接税を含む税の負担率は、1988年は20.6%でしたが2017年には25.7%です。所得の多さを5段階に分けて調査したところ、所得の低い世帯ほど上昇幅が大きくなっていますが、中位グループでも18.9%から24.4%にまで上昇しています。
30年前からの生活の変化
30年前と比べると、預貯金の利率も大きく異なります。1990年には6%を超えていた郵便貯金の定期貯金ですが、2022年時点は0.002%です。
一方、30年前はパソコンがある家庭が珍しかったものの、現在では多くの家庭でインターネットを使用できるようになり、ほとんどの人が何らかの通信機器を持っています。固定電話の通話料は減っていったものの携帯電話の通話料が伸びているため、2人以上の世帯の通信費用はこの30年で2倍になっています。
手取りが少なく負担感は増大
この30年間で社会保険料や税が大きく変わったため、年収500万円の人の手取り額は減っています。特に専業主婦と子どもがいる世帯では控除額が大きく減りました。
また消費税やたばこ税などの間接税が上がったため、家計の負担感は増しています。さらに預貯金の利率も低くなり、モバイル端末の通信費用など新たにかかる費用もあります。
年収が同じ500万円でも、暮らしやすさが大きく変わったといえます。
出典
国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
大和総研 平成の30年間、家計の税・社会保険料はどう変わってきたか
ゆうちょ銀行 金利一覧
総務省 平成30年版 情報通信白書|情報通信機器の保有状況
総務省統計局 消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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