フリーターの老後対策とは? 老齢基礎年金の計算方法と老後資金の準備方法
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月25日 0時20分
フリーターや個人事業主などの国民年金第1号被保険者は、20歳から60歳まで保険料を支払い、原則65歳から老齢基礎年金を受け取ります。しかし、受取額は老齢厚生年金が加算される会社員や公務員より低額です。 本記事では、フリーターなどが受け取る老齢基礎年金の計算方法と、年金だけでは足りない場合の老後資金の準備方法について解説します。老後資金の準備は、少しでも早く始めましょう。
老齢基礎年金はいくらもらえる?
2022年4月以降の老齢基礎年金の年額は最大77万7800円(月額約6万4800円)です。この額は、物価上昇率などを反映し毎年更改されます。
年金額の計算方法
老齢基礎年金の年額は、20~60歳に納めた保険料期間(保険料納付月数)に応じて次の通り計算します。
・老齢基礎年金の年額 77万7800円×保険料の納付月数÷480ヶ月
20~60歳の全期間(480ヶ月)の保険料を納付すると、年額77万7800円(満額)の年金を受給できます。20歳代に保険料未納期間があり、納付月数が360ヶ月の場合、次の通り満額より少なくなります。
・老齢基礎年金の年額 77万7800円×360ヶ月÷480ヶ月=58万3350円(月額約4万8600円)
保険料免除を受けた期間も年金額に反映
経済的理由などで保険料免除を受けた期間も、納付月数にカウントできます。免除には全額免除と一部免除があり、一部免除の場合は残りの保険料を納付しないと納付月数には反映しないため、注意しましょう。
ただし、免除期間のカウント方法は、保険料を納付した期間とは異なり、次の通り計算します。
・全額免除月数:2分の1
・4分の3免除月数:8分の5
・半額免除月数:4分の3
・4分の1免除月数:8分の7
※学生納付特例制度による免除月数はカウントされません。
免除を受けた期間も年金額に反映されるため、保険料の支払いが厳しい場合でも、未納のまま放置せず年金事務所などで免除申請しましょう。
年金額を増やす方法
老齢基礎年金だけでは、満額でも老後の生活資金を賄うのは難しいです。年金額を増やすための方法を紹介しますので、利用を検討してみましょう。
繰り下げ制度の利用
繰り下げ制度とは、原則65歳の受給開始年齢を66歳以降に繰り下げることで受け取る年金額を増やす方法です。1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額するので、5年繰り下げて70歳受給開始にすると、42%(=0.7%×60ヶ月)も増えます。
繰り下げによる受給開始年齢は、生年月日に応じて次の通り適用されます。
・1952年4月1日以前:66~70歳
・1952年4月2日以後:66~75歳
また、65歳以降も仕事を続けて収入を確保し、年金の受給開始を遅らせることも効果的です。
付加保険料を上乗せして支払う
付加保険料は、国民年金保険料に上乗せして支払う保険料で月額400円です。年金額は「200円×付加保険料の納付月数」増えます。
例えば、40年間付加保険料を支払うと、年金額は9万6000円(=200円×480ヶ月)増額します。付加保険料の合計額は19万2000円(=400円×480ヶ月)ですから、2年間の年金受給で元を取れることになります。
公的年金以外で老後資金を準備する方法
繰り下げや付加保険料の支払いで年金額は増えますが、老後資金はまだまだ足りません。預金や個人年金保険、NISA(ニーサ)の活用などが必要でしょう。
iDeCo(イデコ)の活用
iDeCoは、確定拠出年金法に基づく私的年金制度です。自分で掛け金を拠出し、投資信託など運用方法も自分で決められることが特徴です。受け取る年金または一時金の金額は、運用成果により変動します。
税制上のメリットが大きいことも特徴です。掛け金などには、次の優遇措置が設けられています。
・掛け金:「小規模企業共済等掛金」として所得控除が受けられる
・運用益:非課税
・年金や一時金:公的年金等控除(年金の場合)、退職所得控除(一時金の場合)が受けられる
国民年金基金の活用
国民年金基金は、老齢基礎年金の上乗せとして第1号被保険者のために設けられた公的年金制度です。給付の型(終身年金や確定年金)や加入時の年齢、性別によって1口当たりの保険料は異なります。掛け金の上限は月額6万8000円です。
保険料は社会保険料控除として全額所得控除でき、受け取る年金は公的年金控除の対象になります。終身年金(2口目以降は確定年金も選択できる)であるため、長生きするほど受け取る年金額は増加します。
フリーターや個人事業主は自分で老後資金の準備を!
フリーターなど国民年金第1号被保険者は、原則65歳以上から年金を受給できます。しかし、満額でも生活に十分とはいえません。年金増額のための繰り下げやiDeCoなどの自助努力が必要です。
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
国民年金基金連合会 iDeCo(イデコ)の特徴
国民年金基金連合会 国民年金基金とは?
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級
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