贈与税が非課税になる「教育資金の一括贈与」、その内容と注意点を解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月28日 23時50分
2023年3月31日までの「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」について解説します。
教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置とは?
2013年4月1日から2023年3月31日までの間に、父母・祖父母が子や孫の名義で金融機関に教育資金口座の開設等を行い、教育資金を一括して拠出した場合には、子・孫ごとに1500万円までは受贈者の贈与税が非課税になります。
【教育資金の範囲】
(1)学校等に支払われるもの ※非課税限度額1500万円
・入園料、保育料、入学金、授業料、施設設備費もしくは入学(園)試験の検定料
・学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用
(2)学校等以外に支払われるもの ※非課税限度額500万円
・学習塾、スポーツ・文化教室(野球、ピアノ、絵画など)の費用
・通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
※受贈者が23歳以上の方は、教育訓練給付金の支給の対象になる教育訓練を受けるために使う費用に限ります。
・幼稚園
・小学校
・中学校
・高等学校
・大学(大学院)
・専修学校や各種学校
・一定の外国の教育施設
・認定子ども園もしくは保育所
(注)学校等に支払う資金か、学校等以外に支払うためのものかで非課税限度額が異なります。
【受贈者の年齢要件】
30歳未満
【受贈者側の所得要件】
前年の合計所得金額が1000万円以下
利用方法
【口座開設と非課税申告書の提出】
金融機関で「教育資金口座の開設」を行い、同時に「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出などをします。
【教育資金の払い出し方法の選択】
教育資金口座の開設等のときに、以下のいずれかの方法を選択します。
(1) 教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法
(2) 支払いと払い出しの前後は関係なく払い出しをする方法
【領収書の提出】
教育資金の支払いを行った場合には、その支払いの事実を証する書類等を金融機関に提出します。
〔上記(1)を選択した場合〕
領収書などに記載等がされた支払い年月日から1年を経過する日まで
〔上記(2)を選択した場合〕
領収書などに記載等がされた支払い年月日の属する年の翌年3月15日まで(1年分の領収書等をまとめて提出)
受贈者が30歳に達した時点で残高があった場合の贈与税は?
受贈者が30歳になったときに管理残高があった場合は、贈与があったものとされ、贈与税の課税対象です。例外として以下の場合には贈与税は課税されません。
(1) 学校に在籍している場合
(2) 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
ただし、その年の12月31日または受贈者が40歳に達する日のどちらか早い日に管理残高がある場合には、その日に贈与があったものとされ、贈与税の課税対象ですので要注意です。
贈与者が死亡した場合の相続税は?
死亡日における管理残額の相続税の課税関係は、拠出日によって取り扱いが変わります。
(1)2021年4月1日以後の拠出
相続税の課税対象です
※受贈者が孫やひ孫である場合には、相続税額の2割加算の適用がありますので要注意です。
(2)2021年4月1日以後の拠出
贈与者の死亡前3年以内の拠出分について相続税の課税対象です
※贈与者が死亡した日において、受贈者が以下のいずれかの場合に該当する場合には、相続税の課税対象になりません。
・23歳未満である場合
・学校等に在学している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合
(3)2019年3月31日以前の拠出
相続税の課税対象になりません。
まとめ
贈与者が死亡した場合の、相続税の課税関係の取り扱いをまとめました。2021年度税制改正により見直しも行われています。以下、図表1に整理しましたので留意ください。
<図表1:拠出時期による相続税課税の比較>
出典:国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
文科省 Q&A(「教育資金」及び「学校等の範囲等」) 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について 令和3年4月1日現在
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
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