医療費を抑えるだけでなく体への負担減も。“はしご受診”はやめよう
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月27日 3時10分
後期高齢者医療保険制度の自己負担分が2022年10月に一定以上の所得のある方は、1割から2割となる予定です。今までより2倍の負担となり大変です。高齢者ばかりではありません。今後日本では、医療費の負担の増大は、全世代でも避けられないものになるでしょう。 医療費をいかに安くするかを考えると、「はしご(梯子)受診」を極力回避することも重要になってきます。
はしご受診とは
はしご受診とは、「医者の診断の納得がいかない」「この医者とは相性がよくない」「念のため、他の病院でも診てもらおう」「この医者が処方した薬が効かない」などの理由で、同一症状で病院や診療所を転々とまわることを、はしご受診といいます。
はしご受診を繰り返すと、検査・処置・注射・薬などを最初からやり直すこととなり、医療費がかさむだけでなく、体にも重い負担がかかることもあります。
はしご受診の問題点
例えば、はしご受診を3回繰り返した場合の一例を見てみましょう。
まず、同じ医療機関で3回受診した場合は、1回目は初診料2880円と検査料等、2回目は再診料730円、3回目は再診料730円の合計4340円と検査料となります。
3つの医療機関をはしご受診した場合は、1回目は2880円と検査料、2回目も2880円と検査料、3回目も2880円と検査料の合計は8640円と検査料も3回分です。かかる医療費は約2倍となり、検査料は3倍となります(※病床数や受診者の年齢等によって異なることもあります)。
医療費ばかりではありません、受ける検査がCT検査やMRI検査などの場合、体への負担も相当なものになります。さらに、処方される薬が重複したり数が多くなったりする可能性もあり、その場合薬代が高額になるばかりでなく、多くの薬の飲み合わせで副作用を起こすことも考えられます。
また、医療機関を変えるたびに、初診を繰り返すことになりますので、治療が遅れて病気が進行したり、治療期間が長くなったりすることもあります。
はしご受診をしないためには
受診した医師の診断や治療方針に不安がある場合は、可能であればその受診した医師に自分の不安を伝えてみてください。
まずはできるだけ「かかりつけ医」を持つことを検討してみてください。日頃からかかりつけ医に行くことで自分の持病やその対応方法などを知ることができますし、急に体調が悪くなっても、対応方法を聞いているので自宅でも対応できるかもしれません。
さらに、かかりつけ医を持つことは次のようなメリットがあります。
●かかりつけ医が町の小規模な医院の場合、大きな病院に比べて待ち時間が短く、じっくり診察してくれます。
●別の病院での入院や検査が必要な場合には、適切な病院を紹介してもらうことができるケースがあります。紹介状を書いてもらうと大病院での特別料金がかからなかったり、これまでの経緯を医師同士が連携してくれるなどの対応がはかられることがあります。
●日常の健康管理のアドバイスをしてくれます。
はしご受診とセカンドオピニオンの違い
「セカンドオピニオン」と「はしご受診」は違います。セカンドオピニオンとは、重い病気にかかった時、どうしたらよいのか悩むこともあります。そんな時、患者が納得するため、そして最善の治療を受けるために、かかりつけ医以外の医師に意見を求めることです。目的は、かかりつけ医とともに治療を選択することにあります。
セカンドオピニオンを利用したい場合は、かかりつけ医にそのことを伝えて、紹介状と検査結果等提供してもらい、別の医療機関を受診します。セカンドオピニオンは、納得して治療を受けるための患者側の権利です。かかりつけ医に申し訳ないと思わずに、はっきりセカンドオピニオンを受けたいと伝えましょう。
セカンドオピニオンの紹介状は5000円かかりますが、健康保険が適応されると通常は1500円となります。セカンドオピニオンの場合は、同じ検査が繰り返されたり、薬が重複しなかったりするため、体の負担も少なく、納得できる治療となります。
ここでもやはり、信頼できるかかりつけ医を見つけることが、もっとも大切なことになるのではないでしょうか。
出典
全国健康保険協会 ホームページ
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント
この記事に関連するニュース
-
【セルフメディケーション税制】友人は「市販薬で済ます派」です。病院なら薬も安いのに。市販薬はかえって高くつくのではないでしょうか。
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月3日 22時0分
-
【医療制度改革】診療報酬の「出来高払い」や患者の「フリーアクセス」などの根本的な見直しを……専門家が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年8月3日 9時0分
-
「医者が嫌いすぎる」夫を襲ったまさかの"出来事" 結婚20年の妻も驚き、彼が受診を決意したワケ
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 7時30分
-
待ち時間を短くするための"滑り込み受診"はダメ…現役医師伝授「質の高い医療を受けるちょっとしたコツ」
プレジデントオンライン / 2024年7月18日 9時15分
-
乳がんとお金(3)抗がん剤の有効性を調べる遺伝子検査で13万円
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 9時26分
ランキング
-
1日銀のタカ派変心、米FRBの利下げ遅れ懸念で大揺れ!1ドル=140円割れの可能性も
トウシル / 2024年8月7日 16時0分
-
2取引直後急落の日経平均株価、終値は414円高の3万5089円…日銀副総裁発言後は買い優勢
読売新聞 / 2024年8月7日 15時20分
-
3松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
4エアコンは「6畳、10畳、14畳」以外買ってはいけない…一級建築士「8畳の部屋は6畳用で十分といえる理由」
プレジデントオンライン / 2024年8月7日 16時15分
-
5ファミリーマート、お財布にうれしい人気企画 今年は“たぶん”40%増量
ORICON NEWS / 2024年8月7日 16時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください