【リタイアメントプラン】「定年後」のお金、具体的に考えてる? 早めの設計と準備が大切
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月27日 0時10分
「リタイアメントプラン」という言葉を聞いたことがありますか? リタイアメントプランとは、仕事をリタイアした後も経済的に安心して生活を送ることができるよう、収入や支出の変化を見込んで将来設計を立てることです。 「定年まではまだ時間がある」と油断していると、リタイアが近づいた際の思いがけない収入の減少によって、老後に向けた貯蓄が思い通りにできなくなるという事態に陥りかねません。今からできることをコツコツと積み重ねることが、定年後のゆとりある生活につながります。
会社員の収入が減りやすい3つのタイミング
リタイアメントプランは、リタイア前のできるだけ早い段階で立てておくことをおすすめします。というのも一般的な会社員には、リタイア前に収入の減る可能性が高いタイミングが3回訪れるからです。
仮に入社後、これまで着実に年収がアップしてきた人でも、定年まで収入が増え続けるとは限りません。収入が減る可能性があるタイミングを把握し、早めに備えておくことが大切です。
55歳 役職定年
役職定年とは、課長や部長といった役職から外れることです。人事院の「民間企業の勤務条件制度等調査」(2017年度)によると、役職定年制のある企業の割合は全体の16.4%、従業員数が500人以上の企業では30.7%となっています。規模が大きい企業ほど役職定年制を設けている傾向が強いことがわかります。
役職を外れた時に予想外の収入減で慌てることがないよう、役職についている、または将来つきたいと考えている人は、会社に役職定年制度があるかを確認しておいた方がよいでしょう。
60歳 定年
国税庁の「民間給与実態統計調査」(2020年度)によると、働いている男性の年代別平均給与は55~59歳の668万円がピークとなっていますが、60~64歳では521万円と落ち込み、その後はさらに減少が続きます。多くの人が60歳で定年を迎えることが要因と考えられます。
人事院の「民間企業の勤務条件制度等調査」(2020年度)によると、定年年齢を60歳としている企業は81.8%に上ります。定年後、継続雇用制度(本人が希望すれば定年後も引き続き雇用できる制度)などで働き続ける場合にも、雇用形態の変化によって一般的には収入が減少します。
ただ、同じ年度の人事院の調査では、約20%の企業が定年年齢の引き上げを検討していることもわかっています。今後、定年年齢を65歳などに引き上げる企業が増える可能性もありそうです。
65歳 年金生活
さきほど参照した2020年の人事院の調査では、継続雇用制度のある企業でも最高雇用年齢を65歳と定めている企業の割合が最多となっており、多くの人が65歳までに年金生活に入る現状が伺えます。年金生活が始まると、収入が一気にダウンする可能性が高まります。
ただし、2021年4月1日に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部改正によって、企業は70歳まで就業の機会を確保するよう努める必要があるとされました。今後は、継続雇用制度が延長され、再雇用年齢などが引き上げられる可能性も十分にあります。
リタイアメントプランの立て方
では、リタイアメントプランを立てるには、まず何から始めたらよいのでしょうか?
まずは、リタイア後にどのような生活を送りたいかについて考えてみてください。どこに住むのか、どんなことに時間とお金を使いたいかなど、できるだけ具体的にイメージしましょう。それが、自分がこれから作り上げるリタイアメントプランの前提となります。
次に、リタイア後の支出について「年間の予想支出×リタイア後に元気でいたい残りの年数(または平均余命とリタイア時の年齢差)」で計算してみましょう。
年間の予想支出は、生活費、イベント費(子どもの結婚援助費用、住宅のリフォーム費用、旅行費、車の買い替え費用など)、医療・介護費(公的医療保険や公的介護保険制度があるため、自己負担は一部であることに留意)を加味して見積ります。
支出額の見通しがついたら、今度はリタイア後の収入の規模について考えます。リタイア後の代表的な収入としては退職金や年金があげられます。
リタイア後の支出から、リタイア時点の貯蓄額とリタイア後の収入の合計額を差し引くことで、リタイア後に必要となるお金の不足額を算出することができます。
今からできることをやろう
リタイアメントプランを設計することで、老後のゆとりある暮らしを実現するために、今何ができるのかが浮かび上がります。
たとえば日々の家計における支出を見直し、節約したお金を毎月少しずつ積み立てるだけでも、地道に継続することでまとまった資金になります。老後に向けた資金を積み立てる方法には定期預金の他、確定拠出年金(企業型、iDeCo)やつみたてNISAなどの制度を活用した投資信託による資産形成という選択肢もあります。また、副業にチャレンジして、定年後の収入源を確保するのもよいでしょう。
出典
人事院 平成29年度 民間企業の勤務条件制度等調査
人事院 令和2年度 民間企業の勤務条件制度等調査
国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
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