2020年より始まった年金保険料の「臨時特例措置」。免除申請の対象となる人とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月30日 12時30分
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年金保険料の「臨時特例措置」とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入が減少した国民年金保険加入者に対する保険料免除措置です。 本記事では、臨時特例措置を申請できる対象者について解説します。新型コロナウイルス感染症の影響で収入の減少に苦しむ人は、特例措置利用の可非と利用時のメリット・デメリットを確認しましょう。
年金保険料の臨時特例措置とは
まず最初に、年金保険料の臨時特例措置の内容や対象者、対象期間について説明します。
・臨時特例措置は国民年金保険料免除・納付猶予制度の緩和措置
年金保険料とは、国民年金第1号被保険者が支払う国民年金保険料のことです。前年の所得など一定の基準により、保険料の支払いを免除したり納付を猶予する制度があります。
臨時特例措置とは、本来の基準を満たしていない場合でも、保険料免除や納付猶予を受けられる例外的な緩和措置のことです。新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し、保険料の納付が困難になった自営業者などを救済するために設けられました。
・臨時特例措置の対象者
臨時特例措置の対象となるのは、次の2つの要件を満たす人です。
●2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した人
●2020年2月以降の所得状況から、所得見込額が「国民年金保険料免除基準相当」になることが見込まれる人
本来は「前年度の所得」によって免除や納付猶予を判断するのに対し、臨時特例措置では「今後の所得見込額」で判断します。急に収入が減少した人には大きなメリットです。
・臨時特例措置の免除・猶予期間
臨時特例措置は2020年の保険料から適用され、2021年に延長されました。2021年より始まった臨時特例措置の免除・猶予期間は次の通りです。
●免除・猶予:2021年7月分~2022年6月分
●学生納付特例:2021年4月分~2022年3月分
臨時特例措置の申請期間はすでに終了しています。2022年7月分以降、臨時特例措置が再延長されるかどうかは未定です。
臨時特例措置による保険料免除と納付猶予
臨時特例措置による保険料免除や納付猶予には、次の3種類があります。
●保険料免除
●保険料の納付猶予
●学生納付特例
さらに、保険料免除は、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」の4種類に分類されます。「全額免除」なら保険料の支払いは不要、「3/4免除」なら保険料の3/4が免除され残りの1/4の支払いが必要です。
「納付猶予」や「学生納付特例」を受けた場合、猶予された保険料は10年前まで遡って納付(追納)できます。また、免除された保険料も10年前まで遡って追納可能です。
保険料の免除や納付猶予を受けるための所得要件は次の通りです。学生納付特例以外は本人所得のほかに、配偶者や世帯主の所得も対象になります。
(保険料免除等の所得基準・2021年度)
免除等の種類 | 対象者 | 所得基準 |
---|---|---|
全額免除 | 本人 配偶者 世帯主 |
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
3/4免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | |
半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | |
1/4免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | |
納付猶予 | 本人 配偶者 |
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
学生納付特例 | 本人 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
筆者作成
保険料免除による老齢年金への影響
保険料の免除や納付猶予を受けた場合、10年以内に追納しないと将来受け取る「老齢基礎年金額」が減ってしまいます。
●老齢基礎年金額(2021年4月~)=78万900円×保険料納付月数/480ヶ月
老齢基礎年金額は20歳から60歳までの保険料納付月数に比例し、480ヶ月を完納すると満額の78万900円になります。納付猶予や学生納付特例が適用された月は、追納しないと保険料納付月数としてカウントされません。
また、免除を受けた月は次の通りカウントされるため、通常通りに保険料を支払った場合と比較して年金額は少なくなります。
●全額免除:1/2ヶ月
●3/4免除:5/8ヶ月
●半額免除:6/8ヶ月
●1/4免除:7/8ヶ月
未納のまま放置するより臨時特例措置を活用したほうが有利
新型コロナウイルス感染症の影響で保険料の支払いが難しい場合、臨時特例措置によって前年の所得に関係なく、保険料免除や納付猶予を受けられます。
保険料を未納のまま放置すると、未納分の保険料納付期間は2年だけです。また、老齢年金を受けるための「受給資格期間」にカウントされないなど、大きなデメリットがあります。
保険料免除や納付猶予を受ければ10年の追納期間が得られるとともに、追納しなくても受給資格期間にカウントできます。臨時特例措置を活用したほうが、将来の老齢基礎年金の受給に有利に働きます。
出典
日本年金機構 新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 【令和3年度免除・猶予申請】新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料の臨時特例措置が延長されます」
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級
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