気をつけて! 減らない「特殊詐欺」に備えるためにできること
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月1日 11時30分
2022年は3年ぶりに制限のないゴールデンウイークがあったことで消費意欲が高まり、「お金を使う」という行動が加速した方もいらっしゃるかもしれません。ただ、大型連休のみならず、お金を使うときに気を付けたいのは、詐欺などにひっかからないこと。 コロナ禍の中で支給された補助金や給付金などが手元にあり、少し気が大きくなった方もいるかもしれません。せっかくのお金が詐欺などでとられてしまわないよう備えておきましょう。
詐欺はひとごとと思わない!
詐欺といわれても「自分には関係ない」「自分は大丈夫」と思う方もいるでしょう。ただ、この“大丈夫”に「絶対」というのはありえません。いまどきの詐欺の種類は、高齢者がひっかかる「オレオレ詐欺」だけではありません。その他にも「預貯金詐欺」「キャッシュカード詐欺」「架空料金請求詐欺」、そして「還付金詐欺」など詐欺は多岐にわたります。
特殊詐欺の中で有名なものの1つである「オレオレ詐欺」は、親族、警察官や弁護士などを装って電話をかけ、事件や事故が起こったと示談金を受け取りに来る手口がよく知られていますので気を付けている方も多いでしょう。
一方、それ以外の手口、例えば、「キャッシュカードが不正に利用されている」もしくは「キャッシュカードが使えないので交換に来た」などともっともらしい理由をいわれた時、とっさに対応できるでしょうか?
特殊詐欺の被害がどれほど大きいか、警察庁の調査から作成した表1を見てみましょう。
【図表1】
(警察庁 特殊詐欺認知・検挙状況等について(※1)から筆者抜粋のうえ作成)
この結果を見ると、たった3ヶ月でも被害件数は約72億です。巧妙化され、被害が大きいことがわかるでしょう。
特殊詐欺にも救済策はある
「振り込め詐欺救済法に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります」という文章を見て、「これは詐欺でしょう?」と思う方もいるかもしれません。実は、これは「政府広報オンライン」に記載されているれっきとした文章です。
後を絶たない振り込め詐欺などの被害を受けて、平成20年6月から、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律)が施行されています。
「払いすぎた社会保険料が還付される」などの還付金詐欺もありますから、上記の文章を見て「そんなうまい話はない」と思うのも当然です。完全な救済方法ではありませんが、被害額を少しでも回復する方法をしっかりと知っておきましょう。
手順としては以下のようになります。
(1) 振り込め詐欺にあったと気づいた時には、すぐに警察や振込先の金融機関に連絡する
(2) 警察に連絡をした場合でも金融機関に連絡を入れ、「申請書」「本人確認書類」「振り込み明細」などを提出する。
その後の流れとして、金融機関による失権手続きや支払い手続きなどがありますが、被害人数や被害額によって注意点があります。
【図表2】
普段から疑うくせをつける
人を疑うというのはとても悲しいことですが、詐欺の被害者にならないよう普段からできる習慣を考えてみましょう。
法務省のウェブサイトを見てみると、法務省や有名企業と誤解させるような名前を使って、詐欺が行われているという注意喚起がされています。
例えば、
●法務省管轄支局 国民訴訟通達センター
●法務省管轄支局 民事訴訟管理センター
●法務省管轄支局 国民訴訟お客様管理センター
●法務省 被告管理事務局 相談窓口
など
(出典:法務省 法務省の名称等を不正に使用した架空請求により被害が発生しています(※2))
こんな名称の団体から「裁判準備期間事前通告書」や「料金未納に関する訴訟最終告知のお知らせ」というタイトルのはがきや封書が送られれば、「これはすぐに対応しないと大変なことになる」とあわててしまいませんか?
これらに記載されている文章は、このままでは財産の差し押さえなどが強制的に執行される、もしくは裁判を起こされるなど、受け取った方の不安を極限まであおる文章です。必ずそこには「期限」や「連絡先」が書かれているため、すぐ電話したくなりますが、これはもっともしてはいけないことです。
上記に挙げた団体名はいずれも法務省とは一切関係のない団体です。電話番号が書かれていても、必ずその団体は存在するのか確認をする、もしくは知人にいったん相談してみるなど、いきなり行動を起こさないようにしましょう。
疑うくせをつける、といっても1人でずっと疑い続けるのは大変です。そんな時には、お近くの交番、最寄りの消費者生活センターや国民生活センター、または消費者ホットラインなどに相談してみましょう。いきなり連絡する前の相談先を見つけておきましょう。自分のお金は自分でしっかりと守りたいものです。
出典
(※1)警察庁 特殊詐欺認知・検挙状況等について
(※2)法務省 法務省の名称等を不正に使用した架空請求により被害が発生しています
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
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