贈与税が非課税になる「結婚・子育て資金の一括贈与」とは? 注意すべき点はある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月2日 22時40分
![贈与税が非課税になる「結婚・子育て資金の一括贈与」とは? 注意すべき点はある?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_143791_0-small.jpg)
本稿では、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置について解説します。 2023年3月31日までの非課税措置、まだ間に合いますが、注意も必要です。
結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置とは?
直系尊属である父母や祖父母などから子や孫に対し、結婚や子育てのために使うことを限定した資金を一括で贈与することで、贈与税が非課税になる制度です。適用期限は2023年3月31日までに延長されています。
【非課税限度額】
受贈者1人につき1000万円までです。(うち、結婚に際して支払う金銭は300万円)
【結婚・子育て資金の範囲】
結婚・子育て資金とは、次に挙げる金銭をいいます。
1.挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
2.家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
3.不妊治療・妊婦健診に要する費用
4.分べん費等・産後ケアに要する費用
5.子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)
【贈与者の要件】
受贈者の直系尊属であることです。直系尊属とは、具体的には受贈者の父母、祖父母等をいい、血縁や養子縁組による親族関係も含みます。
【受贈者の要件】
以下のすべてを満たすことが、要件となります。
1.結婚・子育て資金管理契約を締結する日において18歳以上50歳未満であること
2.前年分の所得税の合計所得金額が1000万円以下であること
利用方法
【口座開設と非課税申告書の提出】
金融機関で「結婚・子育て資金口座」の開設を行い、同時に「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関経由で受贈者の納税地の所轄税務署長に提出等をします。
【結婚・子育て資金の払い出し方法の選択】
結婚・子育て資金口座の開設等の時に、以下のいずれかの方法を選択します。
(1) 結婚や子育てのための資金を支払った後に、実際に支払った金額を口座から払い出す方法
(2) 支払いと払い出しの前後は関係なく払い出しをする方法
【領収書の提出】
結婚・子育て資金の支払いを行った場合には、その支払いの事実を証する書類等を金融機関に提出します。
〔上記、払い出し方法の選択(1)を選んだ場合の期限〕
領収書などに記載等がされた支払い年月日から1年を経過する日
〔上記、払い出し方法の選択(2)を選んだ場合の期限〕
領収書などに記載等がされた支払い年月日の属する年の翌年3月15日(1年分の領収書等をまとめて提出)
受贈者が50歳に達した時点で残高があった場合の贈与税は?
受贈者が50歳に達すると、結婚・子育て資金口座に係る契約は終了します。このときに、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、その残額がその年の贈与税の課税価格に算入されます。
したがって、その年の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるなどの場合には、贈与税における申告期限までに贈与税の申告を行わなくてはなりません。
贈与者が死亡した場合の相続税は?
管理残額を相続などによって贈与者から取得したものとされます。したがって、相続税の課税価格の計算にあたっては、その管理残額を含める必要があるのです。
その計算の結果 、その贈与者から相続等により財産を取得した方(受贈者本人、またはほかの相続人など)の、それぞれの課税価格における合計額が、遺産にかかわる基礎控除額を超えてしまう場合には、相続税の申告期限内に申告を行わなくてはなりません。
また、管理残額のうち2021年4月1日以後の拠出分に対応する相続税額については、受贈者が贈与者の子以外(孫など)の場合、相続税額の2割加算の対象です。
まとめ
贈与者の死亡時や受贈者が50歳に達したときには、残高に応じて相続税や贈与税の負担が生じる場合があることを十分認識しておく必要があります。
暦年ごとに贈与する方法(基礎控除額110万円)についても検討した上で利用するとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
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