2022年4月から始まった「フラット35維持保全型」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月8日 13時0分
![2022年4月から始まった「フラット35維持保全型」とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_144447_0-small.jpg)
ずっと固定金利の安心を特長とする「フラット35」は、固定金利の住宅ローンの代名詞ともいえる制度です。すでに多くの方がご利用になられていると思いますが、住宅金融支援機構により2022年4月から「フラット35維持保全型」が新たに始まりました。 ここではフラット35維持保全型の概要や対象となる住宅について確認してみたいと思います。
フラット35維持保全型の特長
2022年4月以降に適合証明書(フラット35を借り入れる際に必要となる証明書で、書類調査や現地調査を行い、対象住宅が一定の技術基準に適合するかを検査)の交付を受けた住宅が対象となります。
その特徴は、名称のとおり、住宅の維持保全や維持管理に配慮した新築、中古の住宅に対して、当初5年間の金利を年0.25%引き下げる制度となっています。
また、「省エネルギー性」、「耐震性」、「バリアフリー性」、「耐久性・可変性」に優れた技術基準を満たす住宅を対象とする「フラット35S」をフラット35維持保全型と併用した場合には、金利引下げ期間を当初10年間まで利用することも可能となります。
フラット35維持保全型の対象住宅
フラット35維持保全型は、次の6つのいずれかに該当する住宅が対象となります。
(1)長期優良住宅
長期優良住宅とは、ごく簡単に説明すると、将来的に長く住み続けられる住宅として国から認められた住宅のことです。
長期優良住宅には、前述の「フラット35S」の金利引下げの適用や住宅ローン控除制度の控除対象限度額が一般住宅よりも高く設定できるなどのメリットもあります。新築住宅、中古住宅ともに対象となります。
(2)予備認定(マンションが対象)
マンションの新築分譲時点で一定の管理計画(管理規約や長期修繕計画など)が整備され、公益財団法人マンション管理センターの予備認定を受けたものが対象となります。
この予備認定制度は2022年4月1日からスタートした新しい制度のため、詳細はホームページなどで確認をお願いします。対象は新築マンションのみです。
(3)管理計画認定(マンションが対象)
こちらは中古マンションのうち、管理計画(管理規約や長期修繕計画など)が整備され、地方公共団体から「管理計画認定」を受けたものが対象となります。
マンション管理適正化法という法律が改正されたことに伴い、2022年4月1日から新たに開始された制度で、維持管理や資金計画などがしっかりしているマンションを地方公共団体が認定するものです。つまり、そのようなマンションに対して行政機関が“お墨付き”を付ける制度といえるでしょう。
(4)安心R住宅
2018年4月1日に制度が開始されています。既存(中古)住宅の流通を促進し、消費者が安心して購入できる物件に国がロゴマーク「安心R住宅」を表示する制度です。対象は中古住宅のみとなります。
(5)インスペクション実施住宅
こちらも2018年4月1日から開始された制度です。既存住宅状況調査(インスペクション)を一定の基準を満たす技術者が実施し、その結果、著しい劣化状況や構造耐力上の問題がないことなどが条件となります。こちらも対象は中古住宅のみです。
(6)既存住宅売買瑕疵保険付保住宅
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。検査機関が検査を実施し、住宅瑕疵担保責任保険法人(5法人)と呼ばれる住宅専門の保険会社が保険を引き受けます。こちらも対象は中古住宅のみです。
まとめ
フラット35維持保全型の特徴は、修繕や維持管理がしっかりと計画できており、将来的に長く住み続けることができる住宅への優遇策といえるでしょう。
例えば、中古マンションを購入する場合でも外観やパンフレットの情報だけでは、通常はマンションそのものの維持管理の良し悪しは判断できません。
昔から「マンションは管理を買え」とよくいわれますが、設備の豪華さや外観はなく、管理そのものの良し悪しが中長期的なマンションの資産価値に大きく影響を及ぼすということです。「安心して長く住み続けることができる住宅」が最も重要視されるキーワードとなるでしょう。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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