「ピカソの絵ってなんで高いの?」絵画の価値ってどう決まるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月11日 3時0分
美術やアートに興味のない人でも、しばしば絵画の高額取引のニュースに触れることがあるのではないでしょうか。「ピカソの作品に200億円」などの話を見聞きすると、「なぜピカソの絵って、そんなに高いの?」と疑問に思うこともあるでしょう。その理由を具体的に説明できる人は多くはありません。 ここでは絵画の価値の決まり方を踏まえながら、ピカソの作品が高額取引される理由について解説します。
絵画の価値を決めるのは需要と供給のバランス
最初に押さえておきたいことは、絵画の価値は需要と供給のバランスで決まる点です。欲しいと考える人が多ければ多いほど価値や価格が上がる仕組みは、アート以外にも当てはまるでしょう。ブームになると店頭からすぐに消え、通販サイトなどに出品され高額で取引される現象も同じような仕組みです。
ピカソは生涯に絵画を1万点以上、版画は10万点以上、彫刻や陶器は300点ほども残した多作の作家として知られています。しかし、美術館などが保有している作品も多いため、あまり市場には出回りません。オークションなどに出品される数以上にピカソの作品が欲しいと考える人がいるため需要が供給をはるかに上回り、まれに市場に出回ると驚くほどの高額で取引されるのです。
新しい表現や価値観も重要
アート作品は多くの作家によって日々生まれています。しかし、その中で歴史に残るのは、ほんの一部の作家と作品のみでしょう。歴史に残る作家や作品の共通点は、新しい表現や価値観、思想などを生み出していることにあります。ピカソの「キュビズム」によって描かれた絵画を目にしても、「何を描いているのかわからない」、「子どもでも描けそう」と感じる人も少なくないのではないでしょうか。
そこにピカソの魅力があります。それまでの画家とは異なり、何を描いているのかわからないほど誇張したり崩したり、あるいは子どもでも描けそうな絵を真面目に描いたりなどした点に、ピカソなりの新しい表現や価値観が盛り込まれていたのです。
アートの世界では見た目だけではなく、しばしばそのような新しい表現や価値観に「美しさ」を見いだします。他の人がやっていない、見つけていない表現だからこそ美しく価値があると認識されることも少なくありません。ピカソはそういう意味で新しい道を切り開いたことが評価され、現在でも欲しいと考える人が非常に多く、供給を需要が上回る作家となっているのです。
投資対象としての価値にも注目
ピカソのような有名芸術家の作品を購入するのは主に富裕層です。富裕層はさまざまな対象へと投資をし、資産をさらに増やそうとします。アートも例外ではありません。
アートは量産が難しいものが多く、特にすでに亡くなっている芸術家の作品は数に限りがあるため、投資対象としての価値を高めているのです。ピカソの絵などを高額で購入したとしても、のちにオークションへと出品することで購入時よりも高値がつき、さらに資産を増やせるだろうという思惑が富裕層にはあります。
新進気鋭の若手作家の作品を購入し値上がりを期待する人もいるでしょう。しかし、ピカソのような有名芸術家の作品は、若い作家とは異なり評価や価値がすでに確立しています。投資対象としての需要もはるかに高いため、市場に出回るたびに高額で取引されるのです。作品そのものの価値というよりも、「世界中の人々がその作品にどのような価値をつけるか」が重要視されているともいえるでしょう。
絵画の価値を知るには柔軟な考え方をもつことが大切
ピカソの絵が高い理由を知っても、やはり納得や理解ができない人は多いかもしれません。しかし、自分の知識や感覚だけで物事を捉えると新しい発見はできません。アートの価値だけではなく、物事の本質や世の中の動きを知るためには柔軟な考え方や視点を持つことが大切です。一方で、値段や周囲の評価ではなく、自分が好きなものを素直に好きといえる感覚を持ち合わせておくことも重要になってくるでしょう。
出典
翠波画廊 世界で一番高い絵のランキング【2021年版】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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