年金受給者でもふるさと納税は可能? 得するケースと損するケースをそれぞれ解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月20日 2時50分
![年金受給者でもふるさと納税は可能? 得するケースと損するケースをそれぞれ解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_145992_0-small.jpg)
年金受給者も、ふるさと納税を行うことは可能です。ただし、当制度を利用する主な目的は節税のためですので、そもそも所得課税がなければ得をする可能性はあまりありません。 それどころか、場合によっては損をするケースもあるため注意が必要です。本記事では、ふるさと納税の仕組みを紹介するとともに、年金受給者が当制度を利用して得するケースと損するケース、それぞれについて解説します。
ふるさと納税は寄付? その仕組みを紹介
ふるさと納税は、平成20年5月に始まった、国による寄付金税制のひとつです。生まれ故郷や自分が応援したい自治体に寄付することで、実質的に住民税が住所地から移転されます。そのため、法律上は寄付と税の軽減を合わせた制度とされています。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税では、自分で選んだ都道府県や市区町村に寄付することで、原則として自己負担額(2000円)を除いた全額が所得税や住民税から控除されます。ただし、年間上限額を超えた寄付金額に関しては控除の対象にならず、自己負担となるため注意が必要です。
年間上限額は、寄付者の年収や家族構成などによって異なります。一例を紹介すると、寄付者が独身または共働きで年収が300万円の世帯であれば、その上限額は2万8000円です。なお、上限額の詳しい計算方法については、事前に寄付をする自治体に問い合わせておくと安心です。
確定申告は必要?
ふるさと納税は原則として確定申告が必要ですが、給与所得者などを対象とする「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の利用で不要になります。同制度は、寄付先の各自治体に申請書を提出すれば適用されますが、寄付できる自治体の数は5団体以内に限定されています。
また、この制度を利用した場合は所得税からの所得控除は行われません。全額がふるさと納税を利用した翌年の6月以降に支払う住民税から税額控除されます。
年金受給者が得するケースと損するケース
年金受給者がふるさと納税を利用する場合、年金額によって得するケースと損するケースがあります。
得するケース
年金収入の金額が65歳未満の人で108万円以上、65歳を超える人で158万円以上であれば所得税が課税されます。また、年金額が各自治体の規定額を上回る場合は住民税の課税対象です。
こういった所得税や住民税が課税される年金受給者がふるさと納税を利用する場合、自己負担額を除いた寄付金額の全額が控除の対象になります。
損するケース
上記とは反対に、年金収入の金額が65歳未満の人で108万円以下、65歳を超える人で158万円以下の場合には所得税は課税されません。
また、年金額が各自治体の規定額を下回る場合などは住民税非課税世帯になります。両税が非課税であってもふるさと納税は利用できますが、その場合はただ寄付をするだけで、節税に関しては同制度を利用するメリットがありません。
返礼品で得をするケースもある
総務省の調査によると、令和2年度のふるさと納税の実績は金額が対前年度比約1.4倍、件数が対前年度比約1.5倍でした。
その人気の理由は、所得税と住民税の控除に加えて、多くの自治体が納税額に応じて用意している返礼品にあります。同調査によると、各自治体が拠出したふるさと納税の募集に関して、公表されている経費で最も多いのは、「返礼品の調達に係る費用」で全体の26.5%です。
このような状況のため、所得税や住民税が非課税の年金受給者も、寄付金額と返礼品の差額によっては得をする可能性があります。
ふるさと納税はお得感が強いイメージですが、損するケースもあります。欲しい返礼品がある場合は別ですが、ご自身の年金や給与などの収入や納税状況を確認してから寄付するとよいでしょう。
出典
総務省 ふるさと納税ポータルサイト よくわかる!ふるさと納税
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税トピックス
国税庁 所得税のしくみ
総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果(令和3年度実施)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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