「損害のリスク」で考えよう! 自動車保険で必ず入っておきたい「3つの補償」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月20日 22時40分
万が一の事故に備えて加入する自動車の任意保険は補償内容の選択肢が多く、よく分からないまま更新手続きを進めてしまいがちです。 しかし、定期的に内容を見直しておかなければ、思わぬリスクをかかえることもあります。今回は、自動車保険の契約や更新をする際に知っておきたい基本的な考え方について解説します。
自動車保険とは?
法律で加入が義務付けられている「自賠責保険」に対して、自賠責保険を補完する役割を持つ「任意保険」を、一般的に自動車保険と呼びます。過去の事故件数に応じて保険料を区分する「等級制度」があるのが大きな特徴で、無事故が続くと保険料が安くなる可能性があります。
自動車保険で入っておきたい3つの補償
それでは、自動車保険にはどのような内容の補償をつけるべきなのでしょうか。基本的な考え方のベースとなるのは「確率は低いが、発生すると損害の程度が大きいリスクを優先する」ということです。
対人・対物賠償責任補償
統計的に考えれば、自動車保険の加入期間中に他人を死傷させる事故を起こす確率は大きくありませんが、万が一の場合には大きな損害賠償責任が発生します。
そこで、他人を死傷させたり、他人の所有する財物に損害を与えたりした際に補償を行う「対人・対物賠償補償」が有効な選択肢となります。
対人事故を起こして相手にけがをさせてしまった場合、治療費だけではなく休業補償などを請求され、高額な賠償を請求される可能性もあります。傷害による損害については、自賠責保険から最大で1名につき120万円までしか支払われないことになっています。
相手を死傷させることによる損害賠償責任の大きさは言うまでもありませんが、他人のモノを壊した場合の損害についても軽視できません。
というのも、加入が義務付けられている自賠責保険は、物損事故に関しては適用対象外となっているからです。「対人・対物賠償補償」はこうした理由から、優先度の高い補償と言うことができるでしょう。
人身傷害補償
自動車事故によって自身や同乗者が死傷した場合に保険金が支払われるのが「人身傷害補償」です。相手との過失割合に関わらず、実際に生じた損害額が補償されます。
事故を起こした際、事故相手が任意保険に加入していない場合には、自賠責の限度額範囲内(1名あたり傷害は120万円、死亡時は3000万円)でしか賠償を受けることができません。
また、自損事故を起こした場合には、治療費を請求する相手がいないため、自己負担が大きくなります。とくに若い方が事故を起こし治療が必要になった場合は、逸失利益(事故で死傷しなければ、将来得ることができたと考えられる収入額)が大きくなりがちです。
人身傷害補償は逸失利益についても基本的に補償の対象となります。「確率は小さくても発生時の損害程度が大きいリスクを優先する」という基本的な考え方に従うならば、補償金額を無制限に設定することも選択肢の一つです。
弁護士費用特約
弁護士費用特約は、弁護士に自動車事故の相手との交渉を依頼した場合にかかる費用を補償する特約です。特約ではなく、「示談交渉サービス」がついている一般的な自動車保険の場合にも、事故の相手方との交渉を保険会社側に代行してもらうことができます。
しかし、たとえば停車中に後ろから追突された場合のように過失割合が相手方に100%認められる「もらい事故」のケースでは、基本的には保険会社が交渉に関与できないことになっています。
もらい事故の場合にも、弁護士費用特約を付けていれば、費用を気にせず安心して弁護士を介した交渉が進められます。
車両保険は本当に必要?
「車両保険」は事故などにより損害を受けた車両の修理や買い換えの費用を補償します。車両保険をつけておけば、自損事故や自然災害を原因とする車両の損害に対しても基本的に保険金が支払われるメリットがあります。
ただし、車両保険をつけると、つけない場合と比べて保険料が高くなる場合があります。また、ほんの些細な規模の修理であっても、実際に補償を受けると、次年度以降の等級が下がり、保険料が高くなる要因にもなります。
さらに、基本的に車両価格の時価を超える費用は支払われないことにも注意が必要です。もちろん高価な車両や新車の場合など、車両保険の必要性が高いケースもあります。
ただ、他人の体やモノを傷つけてしまうリスクに備える補償に比べると、一般的には必ずしも優先度が高いとは言えないでしょう。
自動車保険の更新内容は保険会社の担当者とよく相談して決めましょう
自動車保険の補償内容は、自賠責保険だけでは十分に保障されない部分を優先的に組み入れることをお勧めします。運転者の年齢条件や限定条件が正しいものになっているか、重複している補償がないかなども更新時に確認しておくべき重要なポイントです。
不足している補償が付いている場合には、更新時に追加や変更できるかどうか保険会社の担当者に確認してみましょう。
出典
国土交通省 自賠責保険(共済)とは
損害保険料算出機構 2021年度自動車保険の概況
国土交通省 限度額と保障内容
日本弁護士連合会 弁護士費用保険(権利保護保険)について
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士
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