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【ゆでガエル貧困】日本は「格安大国」!? 便利な暮らしは「一億総貧困」への道?

ファイナンシャルフィールド / 2022年6月22日 22時40分

【ゆでガエル貧困】日本は「格安大国」!? 便利な暮らしは「一億総貧困」への道?

「ゆでガエル」とは、危機がゆっくり進んだときに対応するのが難しいということを例えたビジネス用語です。カエルをいきなり熱湯に入れると逃げ出すけれども、水が徐々に湯に変わった場合は逃げ出すタイミングに気づかず死んでしまうことに由来しています。   低価格高品質な製品のおかげで快適に暮らせるようになった一方、「一億総中流」の崩壊はすでに始まっているともいわれています。日本人の生活は本当に豊かになったのか、検証します。

年収は微減だが手取り収入は大幅減

民間企業の平均年収は、1989年には452万1000円でしたが2020年は433万円でした。リーマンショック後、低迷する時期もありましたが、ここ数年は430万円前後となっています。
 
その一方、1989年4月には8000円だった国民年金保険料は、2016年4月以降は1万6000円の大台を超えました。2012年からは15歳以下の年少扶養控除がなくなり、子育て世帯の手取り収入は減っています。
 
さらに2022年6月(2022年10月受け取り分)以降は、世帯主の年収が1200万円以上だと児童手当を受け取れなくなりました。
 
新型コロナウイルス感染症の影響もあり少子化はスピードを増していますが、世帯年収が高くなるほど2歳以下の子どもの保育料負担も重くのしかかるため、児童手当が不支給になった世帯を中心に「子育て罰」という言葉もあがっています。
 
高度経済成長期以降、経済を発展させるために大量生産・大量消費がもてはやされ、その過程で低価格高品質の製品が増えてきました。近年では、少なくなった手取り収入を補うために低価格高品質の製品が重宝されているといえるでしょう。
 

衰退する製造業

低価格高品質な製品があふれる一方、国内の製造業は衰退の一途をたどっています。家電や家具から洋服まで、日常生活を豊かにしている多くの製品が東南アジアの新興国でつくられていて、製造業に従事する人は年々減っています。
 
大手メーカーでも家電製品の国内製造をとりやめる企業が増え、地域経済を支えてきた工場の閉鎖も相次ぎました。国内工場の海外移転に伴って生じる「産業の空洞化」問題は、2000年代前半から取り沙汰されてきましたが、地域経済の衰退につながり、知らず知らずのうちに日本を貧困国へと変えているのです。
 
古くから伝わる伝統工芸の分野はさらに衰退が進んでいます。大量生産・大量消費がもてはやされる中で、ていねいに作り込まれた伝統工芸品に対する国民の関心は薄れていきました。
 
1970年代後半には全国に28万8000人いた伝統工芸の職人は、2016年には6万2690人にまで減り、同時に1980年代前半には5400億円あった伝統工芸品の生産高は2016年には960億円までに落ち込んでいます。このままでは日本で長く受け継がれてきた技術が、後世に受け継がれなくなってしまうのです。
 

「一億総中流」から「一億総貧困」へ

手取り収入が少なくなることで、低価格高品質の製品が好まれ、結果として国内の製造業が衰退してしまう悪循環の中に、いつの間にか日本ははまっているかもしれません。
 
そして気づかないうちに「一億総中流」から「一億総貧困」へと変わってきているのです。「ゆでガエル貧困」からいち早く脱却するためには、日本人全体の手取り収入を上げると同時に、子どもを育てやすい体制をつくっていくことも大切なのです。
 

出典

一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会 現状
経済産業省 平成の製造業とものづくり白書の変遷
厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況
厚生労働省 令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
伊勢崎市 子供の扶養控除の金額がないのは何故でしょうか?
内閣府 児童手当制度のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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