年収500万の自営業です。「インボイス」で手取りはどう変わりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月22日 12時10分
インボイス制度が令和5年10月1日に導入されます。しかし、どのような変化が生じるのか、まだ把握できていない自営業者も珍しくありません。事業の規模などによって影響の大きさは異なり、特に売上が少ない場合は注意が必要です。 この記事では年収500万円の自営業者を想定し、インボイス制度による年収の変化などについて説明します。
影響を知るために制度を把握しよう
年収500万円の自営業者も、基本的にはインボイス制度の影響を受けることになります。それを理解するには、最初に制度の概要を把握することが大事です。
インボイスとは適格請求書という意味で、取引における消費税額や適用税率が記載されています。買手が仕入税控除を適用するには、売手からインボイスを受け取って保管しなければなりません。
仕入税控除とは、売上に課される消費税から、仕入れの際の支払った消費税を差し引くことです。つまり、仕入れで支払った消費税の分だけ、自分が納付する消費税を減らせます。
令和5年10月1日まではインボイスがなくても仕入税控除を受けられますが、それ以降は必須の適用条件になるので注意しましょう。
消費税の納税により年収が変化
一口に年収500万円といっても、年間の売上高によって自営業者は2つに分類されます。売上高が1000万円を超えている場合は、課税事業者として消費税を納めなければなりません。
一方、売上高が1000万円未満の場合は、消費税を納める義務がない免税事業者になります。インボイス制度の影響を強く受けるのは免税事業者です。なぜなら、インボイスを交付するには、適格請求書発行事業者になる必要があるからです。
その手続き自体は難しくありませんが、適格請求書発行事業者になると消費税が免除されなくなります。つまり、同時に課税事業者になることも意味しているのです。
免税事業者は消費税分のお金も収益として得られますが、その恩恵を受けられなくなります。例えば、年収500万円のうち50万円が消費税に相当するなら、今後は年収が450万円になるというわけです。
ただし、課税事業者になると仕入税控除を受けられるので、それを適用した場合は下がり幅をもっと小さくできます。とはいえ、消費税を課税される影響は大きいため、年収をキープしたいなら何らかの対策が必要になります。
年収の低下を防ぐ施策が必要
上記の年収ダウンは必ず起こるわけではありません。免税事業者には、適格請求書発行事業者にならないという選択肢もあるからです。この場合は、令和5年10月1日以降も消費税相当のお金を収益として得られます。
ただし、別のリスクが生じるので安易にそうするのは良くありません。適格請求書発行事業者にならなければ、インボイスを交付できないという問題があります。
そのような自営業者から購入するとインボイスを受け取れず、仕入税控除を適用できません。消費税の納税額が増えるため、他から購入したほうが良いと考える取引先が増えるでしょう。
つまり、免税事業者のままでいると取引先が減少してしまい、年収がダウンしやすくなります。取引先との関係を保つために、消費税相当の金額だけ単価を下げる必要もあるかもしれません。
いずれにせよ、収益の低下を招きやすいため、年収500万円を維持するには事業方針の見直しもポイントになります。品目を増やしたり利益率が高い商材を扱ったりするなど、営業努力のプランを立てておきましょう。
事業を発展させる好機と考えて準備しよう!
年収500万円の自営業者は、インボイス制度の影響を強く受ける可能性があります。それ以外の免税事業者も、適格請求書発行事業者になることを視野に入れ、収益がどう変わるのか考えなければなりません。
制度をしっかり理解したうえで、早めに準備しておくことが重要です。事業を発展させる良い機会と捉え、従来とは異なる戦略も検討してみましょう。
出典
国税庁 インボイス制度の概要
国税庁 インボイス制度が始まります!
国税庁 消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます
国税庁 No.6501 納税義務の免除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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