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日本の食料自給率は67%!? 生産額ベースとカロリーベースの算出法の違い

ファイナンシャルフィールド / 2022年6月28日 10時50分

日本の食料自給率は67%!? 生産額ベースとカロリーベースの算出法の違い

「日本の食料自給率は世界最低水準」と学校で教わった人は多いのではないでしょうか?   農林水産省の資料によると、2020年度の食料自給率は37%です。ただし、これはカロリーベースで算出された食料自給率であり、実は算出方法によって、自給率は異なるのです。

食料自給率の算出法の違い

食料自給率は大きく、品目別自給率と総合食料自給率に分けられ、総合食料自給率の中から2つの算出法に分かれます。
 

カロリーベース

学校の教科書に載っている食料自給率は、カロリーベースで算出されたものです(以下計算式参照)。基礎的な栄養価であるカロリーに着目し、国民に供給される熱量(総供給熱量)に対する国内生産の割合を示す指標です。

【カロリーベース総合食料自給率(令和2年度)】

1人1日当たり国産供給熱量(843kcal)÷1人1日当たり供給熱量(2269kcal)×100=37%

供給熱量は摂取カロリーとは異なり、実際には廃棄されて消費されていない食物も含まれます。また、畜産業で輸入飼料を多く用いている事情もあり、自給率が低く出やすくなります。
 

生産額ベース

生産額ベースで算出される食料自給率は、食物の経済的価値に着目し、国民に供給される食料の生産額(食料の国内消費仕向額)に対する国内生産の割合を示す指標です。

【生産額ベース総合食料自給率(令和2年度)】

食料の国内生産額(10.4兆円)÷食料の国内消費仕向額(15.4兆円)×100=67%

食料の金額は、「生産農業所得統計」の農家庭先価格等に基づき、各品目の重量を金額に換算して算出します。カロリーの低い作物でも、経済的価値が高ければ自給率に反映されるので、作物ごとの格差が出にくい算出法です。
 

算出法ごとの使い分け

食料自給率の算出法によって、自給率は異なる値になります。海外と自給率を比較するときは、カロリーベースより生産額ベースのほうが公平です。日本はカロリーの高い牛肉を海外飼料に頼っているため、カロリーベースで比較するとカナダやアメリカと比べて不利になります。
 
カロリーベースの自給率は、カナダは266%、アメリカは132%、日本は37%です。生産額ベースだと、カナダは123%、アメリカは93%、日本は67%となり、一気に差が縮まります。
 

日本の食料自給率は決して低くない

日本の生産額ベースでの食料自給率は、ドイツやイギリスより高く、世界最低水準とはいえません。
 
カロリーベースでは低いものの、供給されている食料のうち、年間600万トン以上が廃棄されています。廃棄されている食料を考慮すれば、世界最低水準とはいえないでしょう。
 
世界と日本の食料自給率を比較するなら、生産額ベースでの食料自給率でみるほうが公平といえます。
 

出典

農林水産省 日本の食料自給率
農林水産省 食料自給率とは
農林水産省 世界の食料自給率
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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