「年金」って結局もらえるんですか? 納めていない人はどれくらい? その理由は?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月27日 22時30分
国民の中には「年金がもらえないのでは?」という不安を抱く人が少なくありません。少子高齢化によって現役世代が減ることから、公的年金制度の破綻を心配しているようです。また、これを理由に国民年金保険料の納付を拒否する人もいます。 ただ、公的年金制度を所管する厚生労働省では、「全世代で保険料以上の給付が可能」としています。それでも納付しない人がいるのはなぜなのでしょうか?本記事では、未納付の人の割合やその理由を紹介します。
年金制度に対する不安の原因と一定の給付水準が維持できる理由とは
「年金がもらえないのでは?」という不安は、若い世代ほど多くなる傾向があります。その原因の一つが世代間格差という問題です。
・世代間格差って何?
公的年金における世代間格差とは、現在年金を受給している世代と現役世代や、さらに若い世代の受給額を比較した場合の格差のことです。世代間格差の主な原因は少子高齢化です。公的年金は、現役世代の年金保険料を主な財源として運営しています。そのため、将来の現役世代である子どもの数が減少すれば、現在の給付水準を維持することが困難になる可能性が生じるのです。
・少子高齢化でも一定の給付水準が維持できる理由とは
厚生労働省では、「世代に関係なく将来的にも公的年金の給付水準は1倍を上回る」としています。その根拠となるのが、国庫負担と労使折半です。
基礎年金では給付額の2分の1を国が負担し、厚生年金では保険料の半額を勤務先などが負担しています。そのため、「国や企業が存在する限り一定の給付水準は維持できる」というのが厚生労働省の見解です。
・年金制度や一定の給付水準を維持するための施策とは
国は、年金制度と一定の給付水準維持や社会変化へ対応するために、2004年と2020年に年金改革を実施しています。2004年の改革では、厚生年金保険料率の固定、マクロ経済スライドの導入、基礎年金国庫負担割合の引き上げなどを行いました。
また、2020年の改革では、厚生年金の適用範囲や受給開始時期の選択肢の拡大などが決定しています。
保険料を納付していない人の割合と理由
国民年金保険料の最終納付率は2012年から8年連続で上昇し、調査を始めた2004年以降で最高値を記録しています。
・14.8%が国民年金保険料を未納付
厚生労働省によると、2020年の国民年金第一号被保険者は1449万人(前年度末から4万人の減少)で、最終納付率は77.2%でした。そのため、国民年金保険料未納付の割合は22.8%、人数にすると330万3720人です。
ただし、最終納付率には全額免除や納付猶予も含まれます。全額免除や納付猶予の割合は42.6%で人数にすると617万2740人のため、実際に国民年金保険料を納付している人の割合は57.4%、人数にすると831万7260人です。その結果、実際には14.8%、人数にすると123万954人が未納付ということになります。
・国民年金保険料を納付しない理由
厚生労働省が2017年に実施した調査によると、国民年金保険料を納付しない理由は全年代を通じて、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も多くなっています。
次いで、20代は「うっかりして忘れた。後でまとめて払おうと思った」、30代が「年金制度の将来が不安・信用できない」、40代と50代前半は「納める保険料に比べて十分な年金額が受け取れないと思う」、50代後半では「これから保険料を納めても加入期間が短く年金がもらえない」が高くなっています。
納付が困難な場合は役所の窓口か年金事務所に相談しよう
2020年の調査では、年金を納付していない人の割合は14.8%で、その理由で最も多かったのは「保険料が高く経済的に支払うのが困難」でした。ただ、経済的な理由で納付できない場合は、申請することで国民年金保険料の全額免除や一部免除または納付猶予が可能です。
将来受け取る年金額は減りますが、追納制度を利用すれば満額受給も可能になります。国民年金保険料の納付は国民の義務です。そのため、何らかの理由で支払えない場合は、市区町村役場の担当窓口か年金事務所に相談することが大切です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料納付率等の実績
厚生労働省 世代間格差の正体~若者って本当に損なの?
首相官邸 今後の社会保障の在り方について
厚生労働省 令和2年度の国民年金の加入・保険料納付状況について 令和2年度の最終納付率は77.2%
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
厚生労働省年金局 平成 29 年国民年金被保険者実態調査
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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