失業中の国民年金保険料、「免除」や「猶予」のなかで「自分のため」になるのはどれ?
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月28日 23時0分
もし、貯蓄がないまま失業することになってしまったら――。収入がないまま、国民年金保険料や住民税の支払いや、生活費は発生し続けます。しかし、国民年金保険料は、条件付きで納付が猶予または免除されます。
国民年金の免除・納付猶予制度とは
国民年金は、収入が激減したなどの事情で国民年金保険料の支払いが困難となったとき、納付が免除または猶予されます。免除は、年金支払額の全額、4分の3、半額、4分の1の4種類の免除があります。
なお、納付猶予とは、国民年金保険料の支払いを引き延ばしてくれる制度です。免除や納付猶予を利用した期間分は、国民年金の受給額が減少するため、国民年金保険料を追納することをおすすめします。
免除・納付猶予制度を利用するための条件
国民年金保険料の免除・納付猶予制度を利用する場合には、以下の条件が必要です。
●20歳以上50歳未満であること
●本人、配偶者の前年所得が一定水準以下であること。免除の場合は、世帯主の前年の所得も対象です。
●日本年金機構の審査を受けること
1月から6月までに猶予の申請を行う場合は、前々年度の所得が審査対象です。免除または猶予の申請を行い審査を経て、承認を受ける手続きが必要です。
免除・納付猶予が受給資格に与える影響
国民年金保険料の納付が免除されると、年金額に反映されます。保険料全額を納付した場合と比べ、免除された期間の年金額は、以下の割合で少なくなります。
●全額免除の場合、全額納付したときに比べ年金受給金額が2分の1になります。
●4分の3免除の場合、全額納付したときに比べ年金受給金額が8分の5になります。
●半額免除の場合、全額納付したときに比べ年金受給金額が8分の6になります。
●4分の1免除の場合、全額納付したときに比べ年金受給金額が8分の7になります。
国民年金保険料の支払い猶予期間は、受給資格期間に算入されます。ただし、全額納付したときと同じ額を受給するためには保険料の追納が必要です。
追納とは、国民年金保険料の猶予や免除を受けた期間から10年以内であれば、国民年金保険料をさかのぼって納めることができる制度です。なお、この納付猶予は2025年6月までの特例です。
猶予や免除を認められた期間の保険料については、追納することにより年金額を全額納付し支給される金額に戻すことができます。また、追納することで社会保険料控除が増えるため、確定申告を行えば所得税・住民税が軽減されます。そのため、生活に余裕が出た場合は国民年金保険料の追納をおすすめします。
失業などの免除特例の条件
このほか、国民年金保険料の免除には特例があります。失業や事業の休業・廃業、自然災害などで被災した場合などに国民年金を納めることが困難な場合は、申請者の所得の審査を行わずに免除が認められることがあります。
ただし、配偶者や世帯主の所得が高いと、認められないこともあります。
納付猶予や免除の手続き方法
国民年金保険料の猶予や免除手続きは、住民票がある市区町村の年金事務所で行います。提出書類は、国民年金保険料免除申請書もしくは猶予申請書です。
提出書類は、日本年金機構の「ねんきんネット」で作成できます。失業時などに適用される特例を利用する場合は、申請書に加えて離職票が必要になります。
まとめ
失業などにより、収入が途絶えたときの国民年金保険料の支払いは大変です。納付猶予や免除申請を行わずに2年以上納付を怠ると、未納扱いとなり、年金受給期間に算入されません。将来、年金を受給できなくなることや、もしものときの障害年金や遺族年金も受給できなくなってしまう恐れがあります。
国民年金保険料が納付できない場合は、年金事務所に今後どのようにしていったら良いか相談しましょう。年金が受給できないということだけは避けなくてはいけません。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
室戸市 ご存じですか? 国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除があります!
富岡市 災害で被害を受けた方の国民年金保険料免除について
日本年金機構 ねんきんネット
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
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