4人に1人は未加入? 自動車保険に入らないと何がヤバイのか
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月29日 4時0分
日本では、自動車を所有する場合、自賠責保険への加入が義務付けられています。ただし、自賠責保険による補償額はごく限定的です。そこで、民間の損害保険会社が販売する自動車保険(任意保険)を併用し、事故が起きた際の補償を充実させるのが一般的になっています。 今回の記事では、自動車保険に加入しないことによる弊害について、詳しく解説します。
自動車保険の加入率は約75%
損害保険料率算出機構が発表している「自動車保険の概況」に基づき、2021年3月末現在の自動車保険(対人賠償保険、対物賠償保険)加入率について調べてみました。
4人に1人は未加入!?
まず、全国平均では対人賠償保険の加入率は75.1%、対物賠償保険の加入率は75.3%となっています。
4人に1人は加入していない計算になります。
80%超えの都道府県は少数派
「自動車保険の概況」では、都道府県ごとの自動車保険加入率も示されています。2021年3月時点で、対人賠償保険、対物賠償保険のいずれかの加入率が80%を超えていた都道府県は、わずか4つに過ぎませんでした。
都道府県名 | 対人賠償保険の加入率(%) | 対物賠償保険の加入率(%) |
---|---|---|
神奈川 | 80.5% | 80.7% |
愛知 | 82.3% | 82.4% |
京都 | 80.4% | 80.5% |
大阪 | 82.8% | 83.0% |
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険 都道府県別加入率」
50%台の都道府県もある
ほとんどの都道府県では、対人賠償保険、対物賠償保険のいずれかの加入率が60%〜70%台におさまっていました。しかし、島根県と沖縄県に関しては、加入率が50%台にとどまっています。4人に1人が未加入ではなく、4人に2人が未加入に近い状態です。
都道府県名 | 対人賠償保険の加入率(%) | 対物賠償保険の加入率(%) |
---|---|---|
島根県 | 59.1% | 59.1% |
沖縄県 | 54.1% | 54.2% |
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険 都道府県別加入率」
自動車保険に入らないと何がヤバイのか
筆者は「自動車を買ったら自動車保険に入るもの」と思い込んでいたので、加入率のあまりの低さに驚きました。自動車保険に加入していないことによる弊害について、詳しく解説しましょう。
自賠責保険じゃ間に合わない
大きな弊害として指摘できるのは、交通事故により生じた賠償額が高額であった場合、相手への補償が難しくなることでしょう。
日本では、自動車を持っている人は必ず自賠責保険に加入しなくてはいけません。そのため、仮に交通事故を起こしてしまったとしても補償はできますが、限度額はかなり低めです。
損害の内容 | 支払限度額(被害者1名あたり) |
---|---|
ケガによる損害 | 最高120万円 |
後遺障害による損害 | 最高4,000万円 |
死亡による損害 | 最高3,000万円 |
出典:自賠責保険ポータルサイト「自賠責保険について知ろう!」
交通事故での賠償額は、被害者の年齢や家族構成、職業や年収などさまざまな要素を勘案して決まります。仮に相手が医師、弁護士などの専門職で高い年収を得ていたり、子どもがまだ小さかったりした場合は、賠償額も高くなりがちでしょう。
過去には、41歳の眼科開業医が死亡した事故に関して、加害者に総額5億0,853万8,910円の賠償を命じる判決が下されたこともありました(横浜地裁平成23年11月1日判決)。ここまで高額になるケースは極めてまれですが、被害者が死亡したり、常に介護を要する重度の後遺障害を負ったりした場合は、賠償額も総じて高くなるでしょう。
自己破産しても支払い義務は免除されない
「賠償額が高くて払えない場合は自己破産をしたら良いのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、交通事故により生じた賠償義務は、破産法における非免責債権に当たる可能性が高いです(破産法253条1項2号)。つまり、自己破産をしても、支払い義務は免除されません。
やはり自動車保険に入るに越したことはない
交通事故を起こさなければ自動車保険が役に立つことはない以上、まずは安全運転を心がけるのが大切です。しかし、いつ、何がきっかけで交通事故が起きるかは誰にも予測できないため「転ばぬ先のつえ」として、自動車保険に入るに越したことはないでしょう。
もし、これを読んでいる人の中で「実はまだ自動車保険に入っていない」という人がいたら、早速加入を検討してほしいです。
ダイレクト型と代理店型はどちらを選ぶべき?
そこで問題になるのが「どの自動車保険を選ぶか」です。自動車保険を「どこで加入するか」で分類すると、ダイレクト型と代理店型に分けられます。
ダイレクト型とは、電話やインターネットを通じ、保険会社と直接契約して加入する商品のことです。昨今では、大手損害保険会社がダイレクト型の商品の販売に特化したグループ会社を設立するのは珍しくありません。
代理店手数料が発生しないため、代理店型の自動車保険より保険料が安い傾向にあります。ただし、事故リスクが高い層だと保険料が高くなるケースもあるので要注意です。
一方、代理店型とは代理店を通じて加入する商品のことです。保険ショップやもちろん、自動車ディーラーや中古車販売店も代理店になっていることがあります。代理店手数料がかかるため保険料は高めですが、担当者と相談しながらきめ細かく補償内容を決められるのが強みでしょう。
出典
損害保険料率算出機構 自動車保険 都道府県別加入率
国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 自賠責保険について知ろう!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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