親が認知症になったら? 対応策を解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月29日 9時40分
人生100年時代といわれるような昨今では、認知症になる人も増加しています。「親が認知症になってしまったらどうしよう?」「自分が認知症になってしまったら?」といった悩みのある方も増えてきているのではないでしょうか? そこで、今回は認知症になってしまった場合に何をすればいいのかを解説します。
認知症になった場合に考えられるトラブル
認知症は誰もがなってしまう可能性がありますが、どのようなトラブルが考えられるのでしょうか? 考えられるケースを見てみましょう。
詐欺にあったら?
例えば、「詐欺にあってしまい、高額なものを買ってしまった」というケースが考えられます。物忘れがひどくなり、何を買ったのかわからなくなってしまうことは、認知症では考えやすいケースです。この場合は、いったん契約してしまったものを取り消すことはできないので、泣き寝入りになってしまいます。
暗証番号がわからなくなったら?
また、「キャッシュカードの暗証番号がわからなくなって手続きができない」「お金の管理が一人ではできなくなった」というケースも考えられますね。銀行での手続きやキャッシュカードを使ったサービスを利用する場合では、暗証番号が必要です。暗証番号がわからなくなると手続きが進みません。
どこにいくら資産があるのかがわからなくなったり、通帳やカードの場所がわからなくなってしまったりすると自分のお金の管理も難しいですよね。
認知症になった場合の対応策
認知症になった場合に考えられるケースを見てきましたが、対応策もあります。
まずは、成年後見制度を解説します。
成年後見制度は、任意後見制度と法定後見制度の2つがあります。この2つの違いは、申し立ての時に、本人に一人で判断できる能力があるか否かです。
まず任意後見制度は、一人で判断ができる時に、今後判断ができなくなったことを考えて、あらかじめ後見人と代わりにしてもらうことを決めておく制度になります。次に法定後見制度は、実際に一人で判断ができなくなってしまった時に、家庭裁判所に成年後見人等を選んでもらう制度になります。
任意後見制度
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。その手続きや費用については、任意後見制度利用開始(発効)手続きの流れをご確認ください。
ご本人がひとりで決めることに心配が出てきた場合に、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。この手続きを申し立てることができるのは、ご本人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者です。
家庭裁判所が選任するのではなく、あらかじめ本人が選んだ人を後見人にすることができる制度です。そのため、認知症になる前に任意後見契約を結んでおく必要があります。
法定後見制度
法定後見制度は、障害や認知症の程度に応じて、「補助」「保佐」「後見」の3つの種類(類型)が用意されています。
法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(補助人・保佐人・成年後見人)が、ご本人の利益を考えながら、ご本人を代理して契約などの法律行為をしたり、ご本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、ご本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、ご本人を保護・支援します。
それぞれ決められた範囲の中で、代理人となったり、本人が契約したものを取り消したりすることができるようになります。後見人等になる人は、弁護士や司法書士など、専門家の場合がほとんどです。専門家に任せることができるので安心ですね。
先ほどのケースで考えてみましょう
では、先ほど挙げたケースで法定後見制度を利用した場合を考えてみましょう。「詐欺にあってしまい、高額なものを買ってしまった」場合、後見人等は契約を取り消すことが可能です。しかし、日用品などを購入した場合は取り消すことはできません。この点は注意してください。
次に、「キャッシュカードの暗証番号がわからなくなって手続きができない」「お金の管理が一人ではできなくなった」場合はどうでしょうか?この場合は、後見人等が管理のサポートをしてくれるので手続きもスムーズになります。お金の管理だけでなく、不動産の売却手続きなどもサポートしてもらうことが可能です。
民事信託という選択肢も
成年後見制度以外にも、民事信託という制度もあります。この制度は、判断がまだできる時に、自分の財産を信頼できる人へと名義をあらかじめ移し、どのように管理していくかを決めておく(信託する)ものです。
認知症になる前にしておく制度ですが、法定後見制度と違い、自分の知っている人に財産を管理してもらうことができるので利用しやすく感じる人も多いです。
また、法定後見制度は専門家がサポートをしてくれるので安心感はありますが、それだけ費用も掛かる場合があります。それに比べて、民事信託は長期的にみると費用が抑えられる場合も考えられます。
認知症の対策を考えてみませんか?
いかがだったでしょうか?認知症は誰もがなりうるものなので、不安に思っている人も多いと思います。しかし、成年後見制度や民事信託といった制度もあるので不安になりすぎないようにしましょう。
認知症になってからできることもありますし、なる前に備えることもできるので、この機会に考えてみるのもいいかもしれませんね。
出典
厚生労働省 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
厚生労働省 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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