そもそも「バブル経済」はなぜ起きたの? バブル経済の前兆って?
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月8日 10時40分
![そもそも「バブル経済」はなぜ起きたの? バブル経済の前兆って?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_149368_0-small.jpg)
日本のバブル経済は、1986年から90年頃にかけて不動産や株式などの資産価格の上昇によって起きました。バブルを経験した世代から見れば、熱狂的で羽振りがよく、懐かしいと感じる人もいるでしょう。 実際には、バブル経済の名称が示すように「泡」のように膨れ上がったかと思えば、持続することなく必ずはじけてしまいます。 本記事では、バブル経済とは何か、日本のバブルはどうして起きたのかを解説します。
バブル経済とは
バブル経済は、不動産や株式などへの過剰な投資が行われることで資産価格が高騰する状況をいいます。実体経済を超えた成長となるものの、どこかのタイミングで過剰な投資が停止し、不動産や株式が売却されることで、バブルは崩壊してしまいます。バブルの発生までには段階があり、景気が拡大している時に起こりやすい現象です。
バブル経済はどうして起きたのか?
日本のバブル経済は、80年代後半から90年頃までの間に起きました。
89年末に日経平均株価3万8915円の最高値を記録し、日本企業である三菱地所が、米・ニューヨークを代表する建物の一つであるロックフェラー・センターをRGI(ロックフェラーグループインターナショナル)社が保有する株式51%となる約1200億円で取得すると発表するなど、「日本企業」が海外の不動産を買いあさる象徴にもなりました。
日本でバブル経済が発生した原因は諸説あるものの、「プラザ合意」だと指摘されることがあります。
プラザ合意
プラザ合意は1985年9月22日、過度なドル高を是正するため、米・ニューヨークにあるプラザホテルにて、アメリカ、イギリス、日本、フランス、西ドイツの先進5カ国の大蔵大臣・中央銀行総裁会議が開催され、ドル高是正に向けた協調行動への合意を行いました。
アメリカは、ドル安にすることで輸出競争力を高め、貿易赤字を減らすことを目的としました。各国の中央銀行による協調介入によって、徐々にドル安になっていきました。
日本ではプラザ合意以降、円高不況が発生するようになり、国内の輸出産業を救済するために、日本銀行は低金利政策を行います。円高の影響と低金利政策によって、金融機関や企業が国内市場の不動産や株式に投資するようになりました。
バブルの崩壊
国内で不動産や株式に過剰に投資されたことから、大蔵省(当時)銀行局から「不動産融資総量規制」の通達が、全国の金融機関に発せられました。
通達では、地価の高騰を防ぐために、不動産業向け融資の伸び率を、貸し出し全体の伸び率を下回るように規制をかけたことで、不動産への異常な投資を抑制することにつながりました。また日本銀行においても金融引き締めを行ったことで、バブルが崩壊することになります。
バブル崩壊によって不動産価格や地価、株価が下落し、バブル期に購入した不動産などの資産に大きな損失が発生することになります。景気が後退することで企業の業績が悪化し、金融機関から受けていた融資の返済が滞ることになります。返済が滞ることで、バブル期に貸し出した貸出金など債権が不良債権化して、金融機関の経営も悪化します。
企業業績や金融機関の経営の悪化によって景気が悪くなり、消費が低迷することで継続的に物価が下落する現象であるデフレーションが発生しました。
そもそもバブル経済は起こしてはならない
経済をコントロールすることは難しく、後になってから「あの時がバブル経済だった」と、認識するようになります。
しかし、明らかに実体経済とかけ離れた不動産や株式などの資産価格の上昇が起きた時は、バブルが発生している可能性があり、ひとたび発生すれば止めるのが難しいでしょう。また、歴史上、緩やかに景気を落ち着かせた事例はなく、バブル崩壊によって長い景気後退局面に突入します。
バブル経済の後に景気が悪くなることが確実であることは、覚えておくとよいでしょう。だからこそバブル経済を起こしてはいけないわけです。
出典
野村證券株式会社 証券用語解説集 バブル景気
株式会社小学館 日本大百科全書 バブル経済
野村證券株式会社 証券用語解説集 プラザ合意(ぷらざごうい)
黒田晁生 日本銀行の金融政策(1984年~1989年)プラザ合意と『バブル」の生成 明治大学社会科学研究所紀要第47巻 P213~231
SMBC日興証券株式会社 初めてでもわかりやすい用語集 デフレ
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士
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