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借りてもいない銀行から借金返済の督促状が! 実は叔父の相続人になっていた

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月12日 11時0分

借りてもいない銀行から借金返済の督促状が! 実は叔父の相続人になっていた

青ざめた顔でAさんが相談にやってきました。Aさんの相談とは、「3ヶ月ほど前に叔父が亡くなりました。叔父には妻も子もおらず、叔父の両親は他界しているので兄である私の父が相続人となったのですが、父はすでに他界しており、父の子(おい)である私が代襲相続人となっていました。   私は叔父とは疎遠で、ほとんど親交がありません。そして先日、叔父が借りていた銀行から私に借金返済の督促状がきました。もちろん叔父に負債があることは知りませんでした。私は叔父の借金を相続人として払わなければならないのでしょうか? 」とのことでした。   さて、このような場合、どうしたらいいのでしょうか。相続人の範囲と相続放棄などについて説明します。

相続人の範囲は

民法では、相続人の範囲を以下のように定めています。
  

(1)配偶者がいれば、いつでも相続人となります。
 
(2)子は、第1順位の相続人となります。子が複数人いる場合は、全て平等に相続人です。子には、実子・養子・嫡出子・非嫡出子などの区別がありますが、全て同順位で平等です。なお、養子には普通養子と特別養子がありますが、普通養子は実親と養親両方の相続権があり、特別養子には実親の相続権はありません。
 
(3)直系尊属(父母や祖父母、曽祖父母など)は、第2順位の相続人です。第1順位である子がいないときに相続人となります。父母のうち両方またはどちらかでも存命していれば、祖父母や曽祖父母は相続人となりません。
 
(4)兄弟姉妹は、第3順位の相続人です。子や直系尊属がいないときに相続人となります。兄弟姉妹が複数人いる場合は、全て平等に相続人です。

 

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人が亡くなったとき(これを相続開始といいます)、本来の相続人が既に死亡(または欠格・廃除)していて、その子などの直系卑属が代わりに相続人になることをいいます。
 
第1順位の場合は、子→孫→ひ孫と再代襲がありますが、第3順位の場合は、兄弟姉妹の子(おい、めい)までしか代襲相続はありません。
 

欠格・廃除とは

欠格とは、以下のような非行行為などにより、相続人としてふさわしくないと認められる場合に相続権を失わせる制度を言います。
 

●故意に被相続人を死亡させ、または死亡させようとしたために刑に処せられた者。
●被相続人の遺言を妨害(偽造、変造、破棄、隠ぺいなど)した者。

 
廃除とは、被相続人が特定の相続人に相続させることがどうしても許せないとして、家庭裁判所に請求してその相続人から相続権を失わせる制度をいいます。
 

相続放棄と単純承認、限定承認

相続人は、相続開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。もし3ヶ月以内に何もしなければ、つまり限定承認も相続放棄もしなければ、単純承認したものと見なされます。
 
単純承認とは、プラス財産(金融資産や不動産など)もマイナス財産(負債など)も全て無条件に引き継ぐことを言います。
また、相続開始を知った時から3ヶ月以内であっても、相続財産の一部または全部を処分した場合は単純承認したものと見なされます。
 
限定承認とは、被相続人から承継する財産の範囲で、相続債務または遺贈を弁済することをいいます。
 
つまり、プラス財産からマイナス財産を払い、もしプラス財産が残ればこれを相続し、マイナス財産を払いきれなかったら切り捨てられるという制度です。一見都合の良さそうな制度ですが、以下のような手順を踏まなければなりません。
 

●相続財産の財産目録を作り、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に提出します。
●同時に、相続人全員で家庭裁判所に限定承認の申述をします。単独や一部の相続人だけでは申述できません。これが受理された場合は原則として取り消すことができません。

 
相続放棄とは、被相続人から承継する財産の全てを相続しないことを言います。
 
つまり、プラス財産であろうが、マイナス財産であろうが、無条件で相続しないということです。民法では、相続放棄した人は当初から相続人でなかった者と見なします。なので、代襲相続もありません。
 
相続放棄は、相続人が単独で行うことができ、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をします。これが受理された場合は原則として取り消すことができません。
 

終わりに

Aさんのようなケースは比較的多いのではないかと思います。このようなケースでは、被相続人(Aさんの場合は叔父)が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄をすることで被相続人の借金を代わりに返済しなくて済む可能性が高いといえます。
 
もし知ってから3ヶ月を過ぎていた場合には、単純承認したものと見なされるため、相続に詳しい弁護士などに相談することをお勧めします。
 
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

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