ロシアによるウクライナ侵攻の影響は? 紛争による家計への影響を分析
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月13日 12時30分
2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始しました。アメリカを中心にイギリスやヨーロッパ諸国ではロシアに対する経済制裁を行っており、日本も2月26日から資産凍結などの措置を行っています。 本記事では、ウクライナの侵略や経済制裁が家計にどのくらいの影響があるのかを分析します。
経済制裁の影響はロシアだけではない
ロシアに対する経済制裁が行われているものの、国際社会が一体となっているわけではありません。
国際問題を話し合う場として国際連合(国連)があります。国際社会の平和と安全に責任を持つのが安全保障理事会です。理事会は15カ国で構成され、このうち常任理事国は中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカの5カ国です。このほかに非常任理事国10カ国が国際連合総会において、2年の任期で10カ国が選出されます。
常任理事国は、決議に対して拒否権を保有しており、仮に15カ国中14カ国が賛成していても、常任理事国の1カ国が反対すれば決議は否決されます。国連の場においては、ロシアが拒否権を持っているため、国際社会が一体となって平和と安全に対する行動を取れない状態です。
ロシアと直接取り引きしている企業の影響
経済制裁の影響はロシアだけではなく、経済制裁を行っている側にも影響が出ています。
帝国データバンクの調査によると、ロシアと直接輸出入している338社のほか、間接的に取り引きをしている企業も含めると最大で1万5000社に影響があることが分かりました。輸出では、ロシア向けの自動車生産などの需要が消失するほか、輸入では調達品目の価格高騰によって、スーパーや飲食店などへの影響が想定されています。
ロシアからの輸入で目立つ業種としては、生鮮魚介卸と木材・竹林卸があります。生鮮魚介卸は、ロシアからの水産物輸入額が1000億円を超えており、日本での国内消費量の割合が高いものとして、とくにカニや明太子の原材料になるタラの卵や、ウニが挙げられます。木材・竹林卸は、製紙や建築用木材にロシア材を取り扱う企業があり、それぞれ影響を受けることになります。
家計への影響は?
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響は、直接取り引きしている企業だけではありません。両国とも穀物生産国であり、紛争によって輸出に支障が出ることで、世界的に小麦製品などの価格上昇が起こってしまいます。小麦製品の価格が上昇することで小麦を原料とするパンや麺類などの価格に影響が出るおそれがあります。
また、紛争によって、ロシア産の原油や天然ガスの輸出量が減少することになり、世界的に燃料価格に影響を与えることになります。とくにヨーロッパでは、ドイツがロシア産の天然ガスに約50%依存しており、オランダでは石油の約100%を依存している状態です。
ロシアからの輸入規制は、日本にも影響があり、原油価格や天然ガスに影響が出ている状況です。燃料価格の上昇は、ガソリンスタンドやプロパンガスなど燃料の小売業に影響が出ることになり、車のガソリン価格やガス料金、電気料金の価格を引き上げることにつながります。
ロシアによる経済制裁は、経済制裁の対象となっている側だけの影響にとどまらず、経済制裁を行っている各国にも影響が出ることになります。先行きの不透明感が増す中、企業活動の縮小や個人の消費活動が手控えられる可能性があります。
しかし、燃料価格や穀物価格の高騰から家計を守るには、節約などの方法しかないといえるでしょう。
出典
経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
国際連合広報センター 安全保障理事会
株式会社帝国データバンク ロシアと「直接輸出入」338社が判明追加経済制裁の影響必至(2022年4月6日)
株式会社帝国データバンク ロシアの侵攻、企業の半数で業績に悪影響を見込む(2022年4月7日)
資源エネルギー庁 エネルギー白書2022について
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士
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