【円安】20年ぶりの円安大幅進行、 大きく影響を受ける「製造業」以外の業種とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月17日 23時10分
![【円安】20年ぶりの円安大幅進行、 大きく影響を受ける「製造業」以外の業種とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_150191_0-small.jpg)
2022年4月28日に円相場は20年ぶりに1ドル=130円台に到達しました。このように円安が進むと話題になるのは、良くも悪くも経済への影響についてです。今回の円安でも、製造業を中心にして複数の業種への影響が顕在化しつつあります。 そこで、本記事では20年ぶりの円安によって大きな影響を受ける製造業以外の業種を紹介します。
そもそも円安とはなにか?
円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が低下している状態です。現在の基軸通貨はドル(米ドル)のため、ドルに対して円が下落する状態を円安と呼んでいます。1年前の2021年4月28日の為替相場を見ると、1ドル=109円でした。つまり、1年でドルに対する円の価値が21円低下したということです。
21円と聞くと大した金額ではありませんが、1万円をドルに両替してみると実感が高まります。1ドル=109円の時点で1万円をドルに両替すると92ドルですが、1ドル=130円になると77ドルに低下します。このような仕組みのため、円安になると「輸入コストの上昇」というマイナスの影響が生じることになります。
その一方で、円安にはプラスの影響もあります。主なメリットは、輸出企業の収益改善と外貨建て資産価値の向上です。輸出企業にとっては、輸出で稼いだドルを1年前よりも多くの円に替えられるため収益が改善します。また、ドル建て資産に投資していると、株価の上昇だけでなく円安によっても利益が得られます。
製造業以外の業種が受ける円安の影響とは?
円安の影響は、業種によって受け方が異なります。製造業は輸出産業でもあるため、円安の影響が比較的顕在化しやすい業種です。今回の円安でも、複数の輸出企業が過去最高の利益を計上しています。ただし、国内を主な市場にしている企業では、輸入原材料の高騰で収益力の押し上げ効果は縮小傾向にあります。では、それ以外の業種はどうなのか。「20年ぶりの円安大幅進行」による各業種の影響について見ていきます。
・観光業
コロナ禍で停止されたインバウンド(海外からの観光客)受け入れが再開したことで、円安の影響がプラスに働くことが期待されています。ただし、現時点での受け入れ数は限られるため、効果に関しては不明な点が少なくありません。円安によって食料品価格や電気代などが上昇しているため、マイナスの影響も考えられます。
・外食業
円安による輸入食材価格の高騰でマイナスの影響が大きい業種です。観光地の店舗ではインバウンドによるプラスの影響も期待できますが、その効果は観光業と同じく不明な点が少なくないのが現状です。
・卸業・小売業
多くの卸業や小売業では、輸入された原材料や海外などで作られた製品の販売をしています。円安になると輸入価格が上昇するため、こういった卸業や小売業にとっては影響がマイナスに働きます。
・運輸業
円安によって燃料の輸入価格は上昇するため、運輸業にはマイナスの影響が大きくなります。
・医療・介護業
円安によって輸入される薬や食材の価格が高騰しているため、医療・介護業もマイナスの影響が大きい業種です。
今後も円安の推移には注視が必要
20年ぶりに130円台に到達した円相場ですが、各業種への影響は異なります。製造業や観光業ではプラスの影響も期待できますが、それ以外の業種ではマイナスの影響が小さくありません。また、円安は食料品や日用品の値上がりなどによって個人の生活にも影響を及ぼします。そのため、「20年ぶりの円安大幅進行」がこの先どのように推移するのか、個人レベルでも注視しておく必要があります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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