「孫名義で貯金」は税金がかかるって本当? 税負担を防止できる対策とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月15日 12時30分
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孫の将来を思って、孫名義の口座に祖父母が貯金をするということもあると思いますが、こういったケースでは、「名義預金」として税金が発生する場合があります。 なぜ孫名義の預金で税金が発生するのか、税負担の発生を防止するにはどうしたらいいのか、対策について解説します。
孫名義の口座での預金は名義預金となる
他人名義の口座で行った預金は、「名義預金」として扱われる可能性が高いです。
名義預金とは、口座の名義人と、実際に口座を管理している方が別人となっている預金のことです。つまり、祖父母が孫名義の口座で行っていた貯金は名義預金となります。
名義預金で発生する税金
名義預金では、贈与税や相続税が発生することがあります。口座の名義人と管理者が異なる名義預金は、税務上、管理している方のお金だと判断される可能性が高いためです。
名義預金で贈与税や相続税が発生するケースについて、それぞれ確認していきます。
贈与税
祖父母が孫名義の口座に貯めたお金を、口座ごと孫に渡したときに、実質的に口座を管理している方(祖父母)から口座の名義人(孫)への“贈与”があったとされ、贈与税の課税対象となることがあります。
贈与税は、1人が年間で受け取った財産の合計額のうち、基礎控除額の110万円を超えた部分にかかります。そのため、名義預金の年間の総額が110万円を超えている場合は、贈与税の課税対象となることを覚えておいてください。
また、贈与税が発生しないように、毎年110万円を超えない範囲で孫名義の口座にお金を入れていたとしても、口座自体を孫に渡したときに預金の全額を一括贈与したと見なされて、贈与税が課税される可能性もあります。
相続税
口座を管理している方が亡くなると、その方が所有していた財産が相続財産となって、相続の対象となることがあります。
この場合、たとえ孫名義の口座の預金であったとしても、祖父母の財産として相続の対象となり、相続税が課税されることもあります。相続税は、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分にかかります。
また、相続税が発生しなくても、名義預金を遺産分割の対象とするのか、それとも名義人である孫のものとするのかなど、遺産を巡る争いが起こる可能性もあり得ます。
名義預金による税負担を防止するためには?
名義預金による税負担の発生を防止するためには、預金口座名義人本人に管理させることが大切です。
具体的には、口座の通帳やカード、印鑑(銀行印)を祖父母ではなく、孫自身に管理させるということです。その上で、祖父母から孫へ贈与があったことを証明する「贈与契約書」を、口座にお金を振り込む際に都度作成しておきます。
この2つを行うことで、基本的には名義預金を原因とする、想定外の税負担を防止することができます。
本人による口座の管理が難しい場合
孫がまだ小学生や中学生の場合、また、成人していても浪費癖があるなど、本人による適切な口座の管理が難しいという場合は、名義預金とするのではなく、祖父母が普段使っている口座とは別に口座を作って孫のためのお金を貯めておき、孫が進学や結婚、マイホームを購入する際に贈与するという方法もあります。
祖父母など直系尊属からの一括での贈与であれば、贈与税の特例を利用することで、学費であれば1500万円まで、結婚・子育て資金やマイホームの取得資金であれば1000万円までは、贈与税が非課税となるからです。
それぞれ適用できる用途や期限が定められているため、詳細については国税庁のホームページをご確認ください。
名義預金での贈与税や相続税の発生に注意
祖父母が孫のために、孫名義の口座に預金をしていると、名義預金として贈与税や相続税が発生することもあります。
名義預金による税負担が発生しないようにするには、孫本人に口座を管理させたり、適用できる要件や期限付きではあるものの、贈与税の特例を使って一括で贈与する方法が有効です。
孫名義の口座で貯金を行っている、あるいは今後行う予定だったという場合は、名義預金による思わぬタイミングでの課税に注意してください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:柘植輝
行政書士
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