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米国株式の下落率は円換算価格で見ると、ドルベースほど下がっていない。

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月17日 6時20分

米国株式の下落率は円換算価格で見ると、ドルベースほど下がっていない。

この記事を執筆している、2022年6月22日時点における新聞紙上やインターネットでは、連日、米国株の下落が報じられています。   NYダウやS&P500の下落率がコロナ危機後で最大だとか、米国株はコロナ前の水準に戻ったなどと報道されていますが、これらの報道のベースは米ドルをベースにした米国の株価指数であり、それによって下落率を計算しています。   ところが、米国株の下落と相前後して、円ドル為替レートが大きく円安に振れています。それゆえ、円換算で見たNYダウやS&P500指数は、報道より下がっていないのが現状です。   この記事では、その仕組みについて説明したいと思います。

米国株価指数S&P500とは?

報道の対象となっている米国の株価指数は、NYダウやS&P500などですが、今回はS&P500をベースに米国の株価指数の変動について説明したいと思います。
 
S&P500は、米国株式市場全体の時価総額の約80%の株価の動向を示したインデックスです。すなわち、米国株価動向そのものを示したものといっても過言ではありません。
 

S&P500のチャート 米ドルベース

まずは2021年末以降のS&P500の株価動向を、米ドルをベースにした株価指数を基に説明したいと思います。
表1をご覧ください。
 
表1 S&P500株価指数(USドル価格)推移

※筆者作成
 
これは、2021年12月1日から2022年6月17日までのS&P500株価指数のチャートです。青線が株価を示すチャートで、その上の赤線は2022年1月3日の株価で横線を引いたものです。
 
このグラフからお分かりいただけるように、2022年1月以降、2022年6月17日まで、株価指数は一度も2022年1月3日の株価を超えていません。
 

S&P500のチャート 円換算ベース

それでは、このチャートをそれぞれの日付の円ドルベースの為替レートで円換算してみましょう。
 
以下の表2に見られるように、2022年2月末までは115円前後で推移していた円ドルレートは、3月初旬から円安にかじを切り、3月22日には120円を超え、さらに5月2日には130円を超えて6月17日時点に至っています。3ヶ月半のうちに10%を超える円安が発生しました。
 
表2 円ドル為替レート推移(2021年12月から2022年6月)

※筆者作成
 
円安による原料価格や食料品価格の値上がりが心配されていますが、円安は米国株への投資には、どう作用しているのでしょうか。
 
以下の表3は、円換算したS&P500のチャートです。青線が株価を示すチャートで、その上の赤線は2022年1月3日の株価で横線を引いたものです。
 
表3 S&P500株価指数(円換算価格)推移

※筆者作成
 
米ドルベースのチャート(表1)と比較していただくと、青線の株価チャートは2022年4月の時点で赤線を超えていることが分かります。円換算ベースでは、2022年4月時点で2022年1月3日時点の価格を超えていることを示していますが、これは先ほど述べた120円を超える円安のためです。
 
2022年6月17日の時点では、青線の株価は赤線よりかなり下までいっていますが、それでも米ドルベースほどは下がっていません。
 

米国株式投資における円安の効果 ― まとめ

日本からS&P500の株価指数に投資するには、S&P500にリンクするETF(上場投資信託)か、インデックス・ファンド(投資信託)を購入する方法があります。どちらの場合でも円で買い、売るときも円での入金となるので、為替レートの影響を受けることになります。
 
すでに証券会社からETFやインデックス・ファンドを購入している方の評価損益は、株価の評価が円安の影響を受けるため、それほど悪化していないはずです。これは、個別の米国株式やインデックス・ファンドではない投資信託を買った場合も同様です。
 
今回は円安なので、株価の下落を緩和する形で為替の影響が効いていますが、もし今が円高だったら、米国株式の下落と円高が相乗効果となり、下落率がさらに大きくなっていたはずです。そのため、外国証券投資における為替リスクについては十分に気を付ける必要があります。
 
なお、ETFや投資信託を購入した場合、上記で挙げた円換算価格にピッタリとリンクすることはありません。信託報酬手数料やその他の手数料が差し引かれるため、売却時にはその分だけ安い価格で売ることになるからです。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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