70歳代以上は「マンション居住」の割合が多い? 高齢者がマンションを選ぶ理由を考察!
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月20日 10時50分
70歳代以上の高齢者のうち、マンションに住む人の割合が増加傾向にあります。 平成30年度に国土交通省が調査したデータによると、平成25年度から平成30年度にかけて、70歳代以上の高齢者におけるマンション居住の割合が増えているのです。 そこで、マンションに住む高齢者が増えた背景を詳しく解説していきます。
マンションに住む高齢者は増えている
国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」のデータによると、70歳代以上の人がマンションに住んでいる割合は、平成30年度の時点で22.2%という結果でした。平成25年度の18.9%と比較すれば、徐々に老後の住処としてマンションを選ぶ人が増えていることが分かります。
なぜ、マンションに住む高齢者が増えているのでしょうか? 理由の1つとして、高齢者向けのサービスが提供されているマンションが増えているということが考えられます。
反対に、30歳代以下のマンション居住の割合は、平成25年度では7.6%なのに対して、平成30年度では6.6%と減少しているようです。
70歳代以上のマンション居住が増えている理由
なぜ70歳代以上でマンションに住む人が増えているのか、具体的な理由について紹介していきましょう。
具体的な理由としては、下記の3つが考えられます。
(1)サービス付き高齢者向け住宅が増えている
(2)高齢者が賃貸住宅に入居しやすくなっている
(3)老人ホームなどの施設より自由度がある
それぞれについて、より詳しく解説しましょう。
(1)サービス付き高齢者向け住宅が増えている
老後の住処にマンションを選ぶ高齢者が増えている要因の1つに、サービス付き高齢者向け住宅が増えていることが挙げられます。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向けの住宅の一種です。見守りと生活相談サービスを提供する賃貸住宅を指します。
図表1の条件を満たすマンションであれば、サービス付き高齢者住宅として登録することが可能です。
【図表1】
ハード | ●床面積は原則25平方メートル以上 ●構造・設備が一定の基準を満たしている ●バリアフリー構造である |
サービス | ●安否確認サービス、生活相談サービスは必須 ●その他食事の提供、洗濯・掃除などの家事援助を行うこともある |
契約内容 | ●居住の安定が図られた契約である ●敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を要求しない など |
出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料 資料1-2 サービス付き高齢者向け住宅の現状等」より筆者作成
サービス付き高齢者向け住宅は、物件によって設備内容は異なりますが、基本的にバリアフリーが施されており、生活相談なども自由に行えるようになっています。ただし、誰でも住める訳ではありません。基本的に60歳以上の人や要支援・要介護認定を受けている人に限られています。
その反面、通常のマンションよりも高齢者が住みやすいのも事実であるため、高齢者の入居希望者が増えていると考えられるでしょう。
(2)高齢者が賃貸住宅に入居しやすくなっている
自立し、元気に生活している高齢者であれば、賃貸住宅の審査に通りやすくなっているのも、老後の住処にマンションを選ぶ高齢者が増えている理由の1つとなっています。特にサービス付き高齢者向け住宅は、高齢者のための住居であるため、年齢を理由に入居を断られる可能性は低いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅には、一般的な民間企業だけでなく、NPO法人や社会福祉法人なども参入しています。国からの補助金も充実していることから、サービス付き高齢者向け住宅の数自体も増えているのが現状です。入居までの待機時間も比較的短くて済む点も、住処を探している高齢者に好まれる理由の1つでしょう。
(3)老人ホームなどの施設より自由度がある
老後の住処として、老人ホームを選ぶ人も一定数います。十分な介護サービスが提供されているので、安心して暮らせるのが大きな強みです。
しかし、老人ホームは初期費用が高くついてしまう傾向にあります。実際の金額は各々の施設ごとに異なりますが、中には数千万円にものぼるケースがあるため、簡単に入居できない人もいるでしょう。
また老人ホームは、1日のスケジュールがきっちりと定められているところがほとんどです。そのため、外出したくても自由に外出できない可能性があります。
一方、マンションであれば外出に制限はなく、自由に生活することが可能です。「自分たちの好きなように生活をしたい」と思っている高齢者には、やはりマンションに住む方が好まれるのでしょう。
「ハードルの低さ」と「自由」がポイント
ここまでの話を踏まえ、70歳代以上の高齢者がマンション居住を選ぶ傾向が強くなった理由をまとめてみました。
1.サービス付き高齢者住宅など高齢者でも問題なく入居できるマンションが増えた
2.老人ホームに比べるとマンションに住む方が初期費用は安い
3.老人ホームのように行動に制約がないため、自由に生活できる
日本は高齢化が進んでいますが、同時に元気な高齢者(アクティブシニア)も増えています。2030年時点で、約8割の高齢者は介護不要で自立的に暮らしているという予測データすらあるほどです。
自立的に暮らせるなら、費用がかかり行動が制限される老人ホームよりも、ある程度の自由はあって費用も安い、サービス付き高齢者住宅の方が好まれるのも無理はありません。
自分はどんな生活をしていきたいのか、よく検討した上で老後の住まいも選びましょう。
出典
国土交通省 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料 資料1-2 サービス付き高齢者向け住宅の現状等
厚生労働省 高齢者向け住まいについて
総務省 平成25年度版 情報通信白書 第1部 特集「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか 第3節 超高齢社会におけるICT活用の在り方 2 超高齢社会における新たな潮流
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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