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公務員の年金に加算される「職域加算」とは? 会社員はもらえないの?

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月21日 9時0分

公務員の年金に加算される「職域加算」とは? 会社員はもらえないの?

平成27年9月以前、公務員は現在の「厚生年金」ではなく、独自の「共済年金」に加入していました。   共済年金は保険料率をはじめ、さまざまな面で厚生年金よりも優遇されていましたが、平成27年10月以降、共済年金は厚生年金と一元化されました。ですが、共済年金の受給権を得た人には、現在も共済年金独自の「職域加算」分が年金に上乗せされています。

「職域加算」は公務員独自の「年金の3階部分」

日本の公的年金は、まず1階に20歳以上60歳未満の人が全員加入する「国民年金」があり、2階には会社員などが加入する「厚生年金」があります。そして3階にあたる部分が「企業年金」といわれるもので、「確定給付企業年金(DB)」「企業型確定拠出型年金(DC)」などがこれにあたります。
 
一方、「共済年金」は公務員が加入する厚生年金と同じ2階部分の年金です。そして「職域加算」とは共済年金の上の3階にあたる部分で、厚生年金の企業年金の部分に相当します。
 
かつて、公務員は厚生年金ではなく公務員独自の共済年金に加入していたので、職域加算は「公務員独自の3階部分」といえるでしょう。したがって、共済年金の受給資格をもたない会社員などは、職域加算をもらうことができません。
 

年金一元化で廃止後も、経過的措置で支給が続く

共済年金は厚生年金と比べると保険料率が低く設定されていて、加入者の年齢制限もなく、勤めている間は加入し続けることが可能でした。
 
また、遺族年金の現受給者が死亡した場合、厚生年金では支給停止となりますが、共済年金は現受給者の次に受給権をもっていた人に受給権が移動し、引き続き受給できる「転給」があるなど、厚生年金よりも条件が良かったのです。
 
しかし平成27年10月、共済年金と厚生年金の不公平さを是正するため、2つの年金は一元化され、制度の差異はなくなりました。このときに職域加算も廃止されたのですが、平成27年9月までに共済年金に加入し、所定の条件を満たして受給権を得た人たちには経過措置として現在も職域加算が支給されています。
 

職域加算に変わって設けられた「年金払い退職給付」とは

一元化により職域加算が廃止されてから、共済年金には新たに「年金払い退職給付」制度が設けられました。これまでの職域加算は「賦課方式」といって、現役世代が支払う保険料が年金受給者を支えるもので、受給者が存命の間は支給され続ける終身年金でした。
 
一方、年金払い退職給付は、自分で受け取る分は自分で積み立てるという「積立方式」になりました。支給される年金は半分ずつ有期年金、終身年金に分けられます。
 
有期年金は受給から10年または20年支給されたら停止され、残りの半分はこれまで通り受給者が存命の間支給されます。なお、有期年金は一時金として一括で受け取ることも可能になっています。
 

年金の官民格差は縮まったけれど…

職域加算は公務員の共済年金の名残ですので、残念ながら共済年金に加入したことのない会社員などは職域加算をもらうことはできません。共済年金が厚生年金と統合され、官民の年金制度的な差異はほとんどなくなりました。
 
ですが年金額は年々減っており、公務員との格差が縮まったことを喜んではいられない状況です。老後の資金をいかに確保するのか、公務員や会社員など関係なく誰もが考えなくてはなりません。
 

出典

国家公務員共済組合連合会 退職共済年金(経過的職域加算額)
地方公務員共済組合連合会 年金財政の現況
厚生労働省 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年8月10日成立・22日公布 平成24年法律第63号 )
文部科学省 共済組合平成27年10月から共済年金は厚生年金に統一されます
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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