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36協定があっても残業代の支払義務は残る? 請求するための方法って?【36協定とは】

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月24日 5時0分

36協定があっても残業代の支払義務は残る? 請求するための方法って?【36協定とは】

「うちは36協定を結んでいるから残業代は支払わないよ」と会社からいわれた経験がある方もいらっしゃるようです。   しかし、36協定があっても残業代の支払義務は残ります。   36協定とは一体どんなルールなのか、支払われていない残業代はどう請求すればいいのか、解説します。

36協定とは

36協定とは、雇用主と労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数の代表者が、時間外労働や休日労働の取り決めについて協定を結び、労働基準監督署へ届け出るものになります。
 
原則、雇用主は労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させてはいけないことになっています。しかし、36協定を締結して届け出ることで、原則として月45時間、年間360時間を上限に、労働者に時間外労働をさせることができるようになります。
 
つまり、36協定は残業をさせるために必要な協定なのです。労働基準法36条によって規定されているため36協定と呼ばれていますが、残業時間の上限と「36」という数字は関係ないことにご注意ください。
 

36協定と残業代

「36協定があるから残業代は発生しない」といわれることがありますが、これは間違いです。36協定は、あくまでも「法定労働時間外で労働させることができる」というもので、協定の時間内であれば残業代が発生しない、というものではありません。
 
そのため、36協定の届け出をしていても残業をした場合、雇用主は労働者へ残業代を支払わなければなりません。
 

未払いの残業代を請求する方法

未払いとなっている残業代を請求する方法は、大きく分けて3つあります。
 
自分で請求する方法、労働基準監督署を通じて行う方法、弁護士に依頼して行う方法について、それぞれ順にみていきます。
 

1.自分で交渉して行う

自分で残業代の請求をする場合、労働時間が記載されたタイムカードなど、残業代が未払いとなっている証拠を基に、直接会社と交渉したり、労働審判や労働裁判を起こすといった方法があります。
 
しかし、自分で労働審判や労働裁判を起こす場合は時間がかかったり、会社によってはまったく相手にされず、経験や知識の差から敗訴してしまうこともあります。よほど自信がない限り、自分で残業代の請求を行うなら、会社に直接交渉する程度にとどめておくべきでしょう。
 

2.労働基準監督署を頼る

自分で交渉するよりも効果的な場合があるのが、労働基準監督署に相談する方法です。
 
労働基準監督署は、事業者が労働関係の法律を順守して事業運営しているか、監督する機関です。残業代について未払いであることを示す証拠(タイムカードや給与明細など)と共に相談すると、状況次第で会社に調査が入ったり、是正のための勧告が下されることもあります。
 
匿名での相談も可能であり、費用もかからないため、費用対効果という面では優れた方法です。
 

3.弁護士へ相談する

経済的な負担は大きくなってしまいますが、弁護士に相談することも有効です。
 
弁護士に依頼すれば、未払いの証拠の収集などは自分で行う必要があるものの、会社とのやり取りや訴訟を起こした際の対応など、ほぼすべての手続きなどを任せることができ、精神的な負担や労力は最小限となります。
 
経験豊富な弁護士であれば、どうしたら残業代の請求が認められるか熟知しているため、残業代を支払ってもらえる可能性が高くなります。
 

時間外労働をしたら残業代を請求できるのが原則

36協定の有無にかかわらず、残業代は請求できるのが原則です。未払いの残業代の請求は、自分で雇用主や会社と交渉するほか、労働基準監督署に相談したり、弁護士に依頼したりする、といった方法で行うことが可能です。
 
36協定の範囲内での時間外労働の残業代が未払いとなっている場合、36協定とは残業代の支払義務がなくなる制度ではない、ということをタイムカードといった証拠と共に会社へ伝えるなどして、残業代を支払ってもらえるように行動してみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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