なぜ生命保険への加入が必要なの? FPが考える貯金とのメリット・デメリット
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月25日 11時0分
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生命保険は、加入者が死亡した場合や病気・けがの場合の経済的なリスクを保障してくれるものです。このような役割を持っている生命保険への加入は、必要なのでしょうか? この記事では、生命保険の種類や、生命保険の必要性が高い人・低い人、生命保険に加入せずにその分の保険料を貯蓄する場合のメリット・デメリットについて解説します。
生命保険への加入は必要?
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)によると、生命保険加入者は男性では81.1%、女性では82.9%となり、人口の8割以上が生命保険に加入していることが分かります。
なぜ、こんなにたくさんの人が生命保険に加入するのでしょうか? 生命保険の種類・加入する目的をみていきます。
生命保険の種類
生命保険は、集まった加入者で公平に保険料を負担しあい、「もしも」のことが現実に起きたときに給付を受ける、相互扶助の仕組みです。
種類としては、次の2つに分類されます。
(1)死亡や病気・けが、介護などへの備え
(2)将来のための資金の備え
(1)は、身の回りのリスクに備えるものです。死亡・病気・けが・介護などの予測できないことで、経済的に生活が困窮したり、予定していた人生設計が実現できなくなったりすることがあります。このような予測はできないけれど、多額の出費が必要となるような事象に備えておくのが生命保険です。
(2)は子どもの教育費や老後の生活資金など、将来必要となるお金を準備するために利用するものです。
生命保険に加入する目的
生命保険は、一般的にどういった目的で加入しているのでしょうか?
生命保険文化センターが2021年に調査した「生命保険に関する全国実態調査」では、加入目的で多いのは、以下の順となっています。
1位:「医療費や入院費のため」59.0%
2位:「万一のときの家族の生活保障のため」52.4%
3位:「万一のときの葬式代のため」12.4%
生命保険加入者のうち、半数以上の人が、経済面での不測の事態に備える手段として生命保険が適している、と考えていることが分かります。
生命保険に加入する人はどんな人?
生命保険が不測の事態への備えと考えている人は、生命保険の必要性を感じている人です。一体、どんな人が生命保険に入る必要があるのでしょうか?
ここでは2つのパターンを紹介します。
1.扶養家族がいる人
家計を支えている人が死亡した場合、残された家族は収入を失い、生活に困ります。国民年金、または厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、条件が満たされていれば遺族年金が支払われますが、必ずしも生活に十分な額とはいえません。
そのため、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹といった扶養家族がいる人は、家族の生活費を保障し、家族が生活に困らないようにするために、死亡保険への加入が必要となります。
また、死亡だけでなく、病気やけがなどで入院や手術をした場合も、医療費の負担が生じ、治療が長引いて働けなくなると収入が減少し、生活に困窮する可能性も生じます。
2.貯蓄に不安がある人
扶養家族がいない人でも、自分がけがや病気をしたときの出費に不安を感じる場合は、生命保険への加入が必要です。健康保険はもちろん、高額療養費制度を利用したとしても、医療費の自己負担分の支払いはあります。
また、入院時の日常生活費や食事代の費用も、実費になります。治療が長引いて休職や退職することになれば、生活費も不足するでしょう。
生命保険の必要性が低い人はどんな人?
前項のような生命保険の必要性が高い人もいれば、反対に必要性が低い人もいます。
2つのパターンを紹介していきます。
1.独身の人(遺産を残す必要がない人)
独身の人は扶養する家族がいないケースが多いため、生命保険で保障を備えて、家族の生活費などを準備する必要性が低いと考えられます。
また、自分の死亡時の葬儀費用はもちろん、病気やけがをしたときの生活費や医療費を貯蓄しておけば対処できるので、保険の必要性を感じることは少ないでしょう。
2.病気やけがに備えた十分な貯蓄がある人(医療保険の必要がない)
病気やけがになった場合、十分な貯蓄がある人は、生命保険に加入する必要性が低いといえるかもしれません。
万が一のときの金銭面の保障をするのが、生命保険です。自分が入院、手術したとき、十分な貯蓄があるなら、治療費や生活に困ることはないので、生命保険に加入する必要性は低くなります。
生命保険に加入せず貯蓄するのみのメリット・デメリット
「生命保険に入るなら、その分を貯蓄した方がよい」という考えで生命保険に加入しない人もいます。
その際のメリット・デメリットを紹介します。
生命保険料の平均とは
一般的な生命保険料の平均額を紹介します。
生命保険文化センターが2021年度に実施した「生命保険に関する全国実態調査」(二人以上の世帯調査)によると、1世帯あたりの年間払込保険料(個人年金保険の保険料を含む)は平均37.1万円となっています。
これを毎月の金額に換算すると、平均額は約3万917円です。
貯蓄するのみの場合のメリット・デメリット
生命保険に加入せず、この金額を10年間貯蓄した場合、371万円貯蓄できることになります。
メリットとしては、生命保険に加入して同額の保険料を払い込んでいたとしても、手元に現金があるわけではありません。貯蓄として、いつでも現金の引き出しが可能であれば、急に多額の出費が必要になってもすぐに対応が可能です。
デメリットとしては、貯蓄だけでは対応できないこともあることです。例えば、がんで重粒子治療などの先進医療を受ける場合、公的医療保険の対象外のため全額自己負担になります。重粒子治療だと1回318万6609円もかかり、貯蓄だけでは治療費を賄えない可能性もあります。
先進医療特約のある生命保険もあり、高額な先進医療についてカバーされています。
FPの視点で見る生命保険と貯蓄の関係
資産家でお金に余裕がある人は、生命保険に加入する必要はないかもしれません。病気やけがで高額な医療が必要になっても、お金に余裕があれば、適切な治療を受けることができるでしょう。
反対に、お金に余裕がない人が「保険料の分を貯蓄すればいい」と生命保険に加入しないのは、リスクがあるといえます。病気になったりけがをしたりしても、「お金がない」という理由で適切な治療を受けられない可能性も出てくるでしょう。
リスクマネジメントとして、貯蓄と生命保険のバランスを上手にとることを考えてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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