65歳より前に死亡。その場合、今まで納付していた年金保険料はどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月26日 11時20分
![65歳より前に死亡。その場合、今まで納付していた年金保険料はどうなる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_152117_0-small.jpg)
長年働いてきてあともう少しで年金をもらえると思った矢先に、事故や病気で亡くなった場合、保険料の納付要件を満たしていれば、遺族は遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、死亡一時金を請求し、受給できます。 それぞれについて、詳しくみていきましょう。
遺族基礎年金
(1)受給要件
死亡された方が、次の1から4のいずれかの要件を満たしているときに、遺族基礎年金を受給できます。
1.国民年金の被保険者であること
2. 60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある
3. 老齢基礎年金の受給権者であること
4.老齢基礎年金の受給資格を満たしたていること
(2)受給対象者
受給対象者は、死亡した方に生計を維持されていた遺族となります。具体的には、次の遺族が対象です。
1. 子のある配偶者
2. 子
なお、ここでいう「子」とは18歳になった年度の3月31日までの子であること、もしくは、20歳未満でかつ、障害年金の障害等級1級または2級の状態にあることが要件となります。
また、次の方には遺族基礎年金は支給されません。
1.子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている場合
2.子に生計を同じくする父または母がいる場合
(3)年金額(令和4年4月分から)
1. 子のある配偶者が受け取るとき: 77万7800円+子の加算額(※)
2. 子が受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額となる):
77万7800円+2人目以降の子の加算額(※)
(※)子の加算額
1人目および2人目の子の加算額:各22万3800円
3人目以降の子の加算額:各7万4600円
遺族厚生年金
(1)受給要件
死亡された方が、次の1から5のいずれかの満たしている場合に、遺族厚生年金が遺族の方に支給されます。
1. 厚生年金保険の被保険者である
2. 死亡した原因の病気やけがが、厚生年金の被保険者期間に初診日があり、その初診日から5年以内に死亡したとき
3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている
4. 老齢厚生年金の受給権者である
5. 老齢厚生年金の受給資格を満たしている
(2)受給対象者
次の遺族が死亡された方の生計を維持されていた場合に、最も優先順位の高い遺族が受け取ることができます。なお、遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
1. 妻
2. 子(18歳になった年の3月31日までの人、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人)
3.55歳以上(死亡当時)の夫
4. 55歳以上(死亡当時)の父母
5. 孫(18歳になった年の3月31日までの人、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の人)
6. 55歳以上(死亡当時)の祖父母
<遺族の優先順位>
【図表1】
![図表1](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-27.jpg)
(出典:日本年金機構ホームページ)
(3)年金額
原則、遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。
寡婦年金
(1)受給要件・対象者
寡婦年金は、死亡した夫とその妻が次の要件を満たすときに、妻が60歳から65歳まで受給できます。
1. 夫が、死亡日の前日に国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間、および国民年金の保険料免除期間が10年以上あること
2. 夫と10年以上継続して婚姻関係(含む、事実上の婚姻関係)にあること
3. 妻が夫に生計を維持されていること
(2)年金額
夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の、4分の3の額です。また、次に該当する場合には支給されません。
1. 夫が過去に老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがある
2. 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている
死亡一時金
(1)受給要件
死亡された方が、次の要件を満たす必要があります。
1. 死亡日の前日に、第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上あること
2. 過去に老齢基礎年金・障害基礎年金を受給されていないこと
(2)対象者
死亡された方によって生計を同じくしていた次の遺族の中で、優先順位の高い方に支給されます。以下、優先順位です。
1. 配偶者
2. 子
3. 父母
4. 孫
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹
(3)受給額
死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて12万~32万円となります。なお、付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8500円が加算されます。
(4)留意点
1. 遺族基礎年金を遺族が受給される場合には、死亡一時金は受給できません。
2. 妻は、寡婦年金か、死亡一時金かのどちらか一方を受給できます。
3. 死亡日の翌日から2年で死亡一時金を受ける権利が失効します。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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