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「児童手当見直し」の結果は「少子化推奨」!? 児童手当で出生率が改善した国も紹介!

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月28日 11時10分

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2022年6月から児童手当の制度が変わり、世帯主の年収が1200万円(扶養親族の数が3人の場合)を超えると児童手当が受け取れなくなりました。SNSなどでは高収入の世帯が子どもを育てづらくなるなどの声も上がっていますが、それはどうしてでしょうか。   また、海外では児童手当を充実させることで出生率が回復した国もありますが、日本では難しいのでしょうか。   ここでは、児童手当の歴史や海外の事情を踏まえながら詳しく解説します。

児童手当の歴史は50年前から

児童手当制度が始まったのは、1972年1月です。制度が開始されたばかりの頃は、第3子以降を対象にした制度で、所得制限はなく、月額3000円を義務教育修了まで受け取ることができました。第1子から児童手当を受け取れるようになったのは1992年からですが、代わりに受給対象年齢は3歳未満となり、第1子・第2子が5000円、第3子以降が1万円でした。
 
その後、制度が少しずつ変わり、2009年までは0歳~3歳未満の子どもと第3子以降の子ども(小学校修了まで)が1万円、3歳から小学校修了までが5000円となりました。2009年時点での所得制限は年収880万円と、今よりも低かったのです。
 

2011年から年少扶養控除が廃止

2010年から児童手当制度は大きく変化しました。名称が「子ども手当」に変わり、0歳~中学生までの子どもが一律1万3000円受け取れるようになりました。また、所得制限がなくなりました。その代わりに2011年から年少扶養控除が廃止され、16歳~18歳を扶養している場合の扶養控除額も減額となりました。
 
2012年に名称が「児童手当」に再び変わり、支給額が見直されたときには、所得制限が復活し、世帯主の年収が所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の家庭では子どもの人数にかかわらず、特例給付として一律5000円だけを受け取れるようになりました。
 

 
さらに、2022年6月(2022年10月受け取り分)からは特例給付が改訂され、世帯主の年収が1200万円以上(扶養親族等の数が3人の場合)になると特例給付として支給されていた5000円が廃止されました。
 
対象となる児童の数は61万人ほどですが、扶養親族等の数によりますが、年収1200万円以上だと児童手当を受け取れない可能性があり、子どもをたくさん育てても中学生までの間は扶養控除を受けることができないため、高収入の世帯を中心に不満が出ているのです。
 

児童手当を手厚くすることで出生率が回復した国も


 
海外を見ると、児童手当を手厚くしたことで出生率が回復している国もあります。その1つがフランスです。フランスでは第2子以降ですが、第2子に日本円で1ヶ月あたり約1万7000円、第3子以降には約2万2000円支給しています。
 
また、11歳~16歳の子どもには4000円を、16歳~19歳までの子どもには9000円を割り増し支給しています。この結果、1994年には1.66だった出生率は2007年には1.94に回復しました。
 
もう1つの国がスウェーデンです。スウェーデンでは第1子から月額およそ1万6000円を支給しています。児童手当の額は子どもが増えるごとに増え、第5子以降は月額3万円を受け取れます。スウェーデンは出生率が1999年に1.5でしたが、2007年には1.88に回復しました。
 
ただし、子育て世帯への制度を充実させるということは税負担も大きいということです。食料品などを除き、フランスの消費税は20%であり、スウェーデンは25%です。
 

日本では高所得世帯が子育てしても支援がない

特例給付が改訂されたことが「少子化推奨」といわれているのは、年少扶養控除がなく児童手当を受け取ることができない世帯では、国から何の経済的な支援もなく子育てをしなければならないからです。海外を見ると児童手当を充実させることで出生率が回復している国もあるため、日本でも検討は必要です。
 
しかし、子育て世帯に手厚い支援をするには国民全体の税負担も増えるため、どのように国民の理解を得るかも課題となるでしょう。
 

出典

内閣府 児童手当や家庭訪問等、誕生後の支援
内閣府 フランスの出生率の推移と家族政策
内閣府 欧米諸国の政策の動向
厚生労働省 主要国の児童手当、税制による子育て支援の比較
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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