ネットバンキングの不正送金はどのくらい発生している? 身近な対策方法も解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月29日 11時40分
多くの金融機関で、パソコンやスマートフォンから口座情報にアクセスできる、ネットバンキングの機能が導入されています。ネットバンキングを利用することで、銀行の窓口に行かなくても住所変更などの諸手続きや、送金や振り込みなどが行えるので非常に便利です。 しかし、ネットバンキングの普及に伴って、不正送金などの被害が増えているため、対策をしっかりと練っておく必要があります。 本記事では、ネットバンキングの不正送金被害額や効果的な対策方法について紹介します。
ネットバンキングの不正送金の発生状況
まずは、平成28年以降のネットバンキングにおける不正送金の発生状況について見ていきましょう。
【図表1】
期間 | 件数 | 被害額 |
---|---|---|
平成28年 | 1291件 | 約16億8700万円 |
平成29年 | 425件 | 約10億8100万円 |
平成30年 | 322件 | 約4億6100万円 |
令和元年 | 1872件 | 約25億2100万円 |
令和2年 | 1734件 | 約11億3300万円 |
令和3年 | 584件 | 約8億2000万円 |
出典:警察庁『令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(令和4年4月7日)』より筆者作成
ネットバンキングの不正送金に関する被害は、毎年数億円以上出ていることが分かります。「自分は大丈夫だ」と過信するのではなく、日頃からメールやSMSなどをむやみに開かないことが重要です。
なお、不正送金被害を受けてしまうパターンとしては、フィッシング詐欺、クラウドサービスへの不正アクセス、ウイルス感染などが挙げられます。
特に、近年は金融機関を装ったフィッシングサイトは非常に巧妙にできているので、すぐに不正サイトと見破るのは困難です。フィッシング詐欺は、金融機関等を装ったメールやSMSのURLを開き、暗証番号などを入力すると情報が盗まれてしまう仕組みとなっています。
また、クラウドサービスに不正アクセスされ、保存されているインターネットバンキングのIDやパスワードなどの情報が盗まれてしまうケースも多いです。
ほかにも、パソコンやスマートフォンがウイルス感染してしまい、ネットバンキングサービスの情報が漏れてしまうケースもあります。ウイルスの中には、パソコンやスマートフォンに保存した情報を盗むタイプや、正規のページからログインしてもIDやパスワードなどを盗み取るタイプがあるので要注意です。
近年は手口が巧妙化しており、いつ被害に遭ってもおかしくないため、ネットバンキングを利用する際には、これから紹介する対策を意識してみてください。
ネットバンキングの不正対策
続いて、ネットバンキングの不正送金に対する効果的な対策を紹介していきます。
最新の状態を保つ
パソコンやスマートフォンの状態が古いと、セキュリティーが脆弱(ぜいじゃく)になってしまいます。
OSの更新プログラムは必ず適用して、端末を最新の状態に保つことは、効果的な不正送金対策となります。多くのパソコンやスマートフォンは、自動で更新やアップデートを行う設定になっていますが、念のため設定を確認しておくとよいでしょう。
特に、金融機関のアプリを入れている方であれば、こまめにアップデート情報を確認することをおすすめします。
マルウェア対策を行う
ウイルスなど、個人情報の抜き取りなどを目的とした悪意のあるソフトウエアを、マルウェアと呼びます。
マルウェアに侵入されると、パソコンやスマートフォンが操作され、ネットバンキング情報などが抜き取られてしまいます。マルウェアの感染を防ぐためのセキュリティー対策ソフトをインストールしておくことが重要です。
インターネットカフェなどにあるパソコンなど、不特定多数で共有されている端末はマルウェア対策が万全でないケースがあるため、自分のパソコン以外でネットバンキングの操作をしないようにすることも重要です。
不正なURLやメールをクリックしない
Amazonやメガバンクなどの有名企業を装ったメールやSMSを受信したことはありませんか?
「アカウントの更新をお願いします」「カード番号を変更してください」など、いかにも重要な要件を装った文面で送ってくるケースが多いですが、これらのメールやSMSが届いたら要注意です。
犯罪者は不特定多数のメールアドレスや電話番号に対してメッセージを送っており、本文にあるURLをクリックすると、本物にそっくりな偽サイトに飛ぶ仕組みです。偽サイト上で、パスワードや暗証番号を入力してしまうとネットバンキング情報が盗まれてしまうので、安易にメールやSMSのURLを押さないようにしましょう。
出典
警察庁 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(令和4年4月7日)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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