家賃が多少高くても自分の好きな街を選ぶ人が増加中? 最近の部屋選びの傾向は
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月30日 3時30分
引っ越し先を選ぶときは、さまざまな条件で絞り込んで決めていくもの。「家賃はちょっと予算より高いけど、この設備は諦めたくない」「職場から少し離れても、家賃は低く抑えよう」など、基準は人それぞれ。そんな部屋選びの傾向や気になる家賃の平均金額など、ハウスコム株式会社が発表した調査結果(※1)をひもといてみましょう。
引っ越し先の部屋スペックは? 家賃の平均金額は増加中!
この調査は、引っ越しをした(する予定)全国15~49歳の男女を対象に行われたもの (詳細は文末に記載) 。
まず、引っ越し先の家賃の平均は7万999円という結果が出ました。間取りの1番人気は1K、そのあと2LDK、1LDKと続きます。人気の階数は、2階、1階、3階の順でした。2010~2019年に引っ越し経験がある層の平均家賃は、6万3000円ほど。ここ数年、自宅で過ごす時間が増えたという背景もあり、住環境にお金をかける人も増えているのかもしれません。
ちなみに、総務省統計局の「小売物価統計調査」によると、2022年6月の平均家賃(東京都区部)は以下のとおり。(※2)
●民営家賃:8,797円
●公営家賃:1,773円(公的住宅/都道府県営住宅家賃)
●公営家賃:1,871円(公的住宅/市町村営住宅家賃)
●公営家賃:5,157円(独立行政法人都市再生機構住宅家賃)(注)URのことです
●公営家賃:6,236円(公的住宅/都道府県住宅供給公社住宅家賃)
こう見ると、1坪あたりの家賃は当然ながら都道府県営の公営住宅と市町村営の公営住宅の家賃がダントツで安いことがわかります。続いてUR(都市再生機構)住宅、都道府県公社住宅、民間住宅と家賃が高くなっていきますね。1年前のデータと比較してみましたが、数円〜数10円程度の変化しかなく、種類によっては金額が下がっているものもありました。
こう考えると、先ほどの平均家賃の増加については、住環境にお金をかける人が増えたという仮説が真実味を帯びてくるようにも思えますね。
住む街と家賃、どっちを優先する? 部屋選びの優先順位とは
引っ越し先を決める際、みなさんはどのようなポイントを重視しますか?
今回のハウスコム株式会社の調査によると、もっとも重視することは「家賃」で72%。次に「最寄り駅までの距離」がおよそ57%、続いて「学校や勤務先などへのアクセス」がおよそ52%という結果に。
7割ほどの人は、なにはなくとも家賃を重視していることがわかります。家賃が安くて駅が近く、職場へのアクセスがいい……と3点そろった物件があれば、それに越したことはないという感じでしょうか。
ただ、そんな好条件の物件はそう簡単に見つかるものではありません。優先順位をつけて取捨選択しなければならない場面もあるでしょう。
家賃が多少高くとも自分が好きな街に住みたいという人は、全体の4割を超えました。「部屋選びでもっとも重視するのは家賃だけど、安さを追求した結果好みの街以外の場所を選ぶ……というのはちょっと違う」という人が少なくないことがわかります。
また、「学校や職場からちょっと遠くなっても、やっぱり広い物件を選びたい」という人もおよそ46%。家族構成によって適した広さはそれぞれですが、最初に見た調査結果で1LDKよりも2LDKを希望する人が多かったというのも、なんとなく納得がいきますね。
さまざまなことがインターネットで完結できるいまの時代。オンライン内見を利用したことがある人は、全体の4割を超えました。2010~2019年に引っ越しした層については、オンライン内見の利用率は3割ほど。ここ数年で利用率がグッと上がっているようです。
とはいえ、リアル内見の件数や利用率は下がることなくむしろ微増している状況。全体的に、部屋選びに妥協せず、じっくり検討して決めるという傾向にあるようです。街の雰囲気や駅・スーパーの使い勝手など、自宅にいながらいろいろ調べられるいまの環境は本当に便利ですよね。
ここ数年、自宅で過ごす時間が増えたり、リモートワークが定着して仕事スペースを設置したりした人も少なくないでしょう。家賃だけにとらわれず、住環境や住心地のよさ、自分のライフスタイルにあった部屋を選ぶ人が増えているという状況は、いまの時代を反映しているともいえそうです。
●自分で賃貸物件を選び、2021年4月以降に引っ越しした580名、および今後1年以内に自分で賃貸物件を選び、引っ越しする予定がある13名:計593名
●自分で賃貸物件を選び、2010〜2019年に引っ越しした経験のある579名
出典
※1 ハウスコム株式会社「2022年度“部屋選び”に関する調査」
※2 総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)調査結果」
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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