【1枚50万!?】沖縄のお金「うちかび」って?実際に使えるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年7月30日 11時50分
沖縄だけで使われている「うちかび」というお金を知らない方は多いでしょう。お金といっても、あの世の通貨であるうちかびは、現世ではお金として使用することはできません。 それでは、うちかびとはどのような意味を持ったお金で、どのような形をしているのでしょうか。そして、沖縄ではどのようにして使われているものなのでしょうか。
うちかびとは
沖縄県では、お盆(旧お盆)や春と秋のお彼岸、清明祭などで先祖供養をする際に、ご先祖様があの世でお金に困らないようにと、あの世の通貨であるうちかびを燃やしてあの世に送るという風習があります。中国や台湾などにも同じような風習があり、14世紀後半頃に中国から伝わってきました。うちかびは「打ち紙」と書きます。
その由来は、各家庭で紙に銭形を打ち付けて作られていたことからそう呼ばれるようになりました。一般的なうちかびは、わらを主原料とした黄土色の紙に、鳩目銭の銭形が全面に打刻されたデザインです。5枚綴りを1枚として、20枚が1束になったものがおおよそ100円ほどで、スーパーやコンビニなどで年間を通して販売されています。
うちかびのあの世での価値は
うちかびを燃やす数は1人3枚で、「天」「地」「海」の神様にそれぞれ1枚ずつというのが一般的といわれていますが、「大人は5枚で子どもは3枚」や、「多いほど良い」としてたくさん燃やすなど、家庭によって違いがあるようです。うちかびの価値も人によって異なる意見がありますが、1枚50万円、20枚1束で1000万円という意見が多いようです。ただ、うちかびの通貨単位はグヮン(元)であり、うちかびのルーツが中国であることに由来していると思われます。
近年のうちかび事情
沖縄でも、長い間続いている風習として先祖供養をするときにうちかびを燃やすということは知っていても、うちかびとは何なのか、何のために燃やしているのかわからない、という人が増えているそうです。そのため、数百年前から継承されている伝統行事も、若い世代にその意義が十分に伝わっていないと感じた人たちによって、新しいうちかびが生み出されました。沖縄と同じような先祖崇拝の文化を持つ中国や東南アジアでは、うちかびのように過去の通貨を模したもの以外にも、現行の通貨を模したものや、外国の紙幣をデザインに取り入れたものなどもあり、時代と共にうちかびの文化も変容していたのです。
従来のうちかびに打刻されている鳩目銭は、琉球王国時代に使われていたお金で、丸い貨幣の真ん中に四角い穴があいたシンプルなものでした。お金を打刻したものだと知っていないと、何かの文様のようにも見えてしまいます。そこで新しいうちかびとして、従来のうちかびのようなデザインのまま、鳩目銭の代わりに江戸時代に使われていた寛永通宝がプリントされたものが2種類と、現行の1万円をイメージしたデザインのものが作られました。寛永通宝なら、うちかびがお金の代わりなのだとわかりやすく、従来のうちかびに近いデザインなので、昔ながらの伝統を踏襲したいと考えている人にも受け入れられやすいのではないでしょうか。
しかし、1万円をイメージしたデザインのものは、スーパーやタクシーで現金として使われる詐欺が発生してしまい、1度回収された後で、うちかびであるとわかりやすいようにデザインが変更されました。
先祖供養のためのお金である「うちかび」
沖縄で今も続けられている先祖供養では、あの世での生活に必要なお金である1枚50万円とされる「うちかび」を燃やすことで、あの世に送金するという風習が残っています。しかし、習慣化された風習は、その意義や意味合いが薄れてしまい、新しい世代に正しく伝わらなくなってしまうこともあります。
そこで考え出された新たなうちかびは、お金の代わりだとわかりやすいようにデザインされました。そのため、犯罪に使われてしまったということもありましたが、古い習慣をただ続けていくよりも、新しく変容していくことで、生きた文化として継承されていくのではないでしょうか。
出典
琉球新報Style ウチカビ2.0!進化を続けるあの世のお金について
沖縄タイムス+プラス コンビニで“あの世のお金”使い逮捕 「使えると思った」と22歳の男
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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