【ペアローン】って何？ 仕組みと注意点を解説

「夢のマイホーム」を手に入れるために、1人分の年収では必要な金額を借りられないことがあります。そんなときでも必要な金額を借りやすくなるローンの1つがペアローンです。

ペアローンとは

「ペアローン」とは、一定の収入がある夫婦や親子などの同居親族と一緒に、「それぞれが主たる債務者として組む住宅ローン」のことをいいます。十分な金額の住宅ローンが借りられない人や、1人で返済するのが不安な人が利用できる住宅ローンの1つです。
 
ペアローンの場合は、1つの住宅に対して組む住宅ローンは2つです。住宅ローン控除が2人分適用され、条件を満たせば2人とも団体信用生命保険に加入できるメリットがあります。それぞれの収入ごとにローンが組めますので、1人だけの収入で組むローンよりも大きな金額を借りられます。
 
例えば、年収400万円の人が新築一戸建ての住宅ローンを組む場合、住宅金融支援機構が2021年8月3日に公表した資料によれば平均して年収の6.7倍、2680万円の住宅ローンしか組めません。ところが、年収300万円のパートナーと一緒にペアローンを組めば4690万円を借りられることになります。
 

ペアローンの注意点

ペアローンは、1人では十分な金額の住宅ローンが借りられない人にとって有効な方法ですが、主な注意点が3つあります。
 

手数料が2人分かかる

ペアローンは住宅ローンが2つになります。契約が2人分になるため、ローンを組むときにかかる手数料も2人分です。1人で借りる場合と比べて余計なコストがかかります。
 

離婚時に問題化しやすい

1つの住宅に対してペアローンを組む場合、住宅の持分はローンの金額に応じて案分されます。夫婦で4000万円の住宅に対して2000万円ずつのペアローンを組む場合、住宅に対する夫婦の持分は50％ずつで、夫婦共同名義です。
 
ペアローンを組むときは考えもしないと思いますが、離婚することとなった場合、共同名義の住宅をどうするかで問題になりやすいです。
 

片方に万が一のことがあっても、もう一方の住宅ローンは残る

それぞれが住宅ローンを組むため、片方が不慮の事故や病気などで亡くなった場合でも団体信用生命保険が適用されるのは1人分の住宅ローンだけです。1人だけが住宅ローンを組んでいれば全ての住宅ローンが債務免除となるのに対し、ペアローンでは1人分しか債務免除にならず、もう一方の住宅ローンは残ったままになってしまいます。
 

無理のない借り入れを心がけましょう

住宅は一生に一度の買い物であるため、ついつい理想の住まいを追い求めて高額な住宅ローンを組みがちです。ペアローンなら借りられる金額は増えますが、その分利息の支払いや毎月の返済額も増えます。
 
急なリストラや収入減など、何が起こるか分からない時代ですから、できる限り無理のない借り入れを心がけましょう。
 

出典

新生銀行 住宅ローンの収入合算とペアローンの違いは？メリットとデメリットも併せて解説
住宅金融支援機構 2020年度フラット35利用者調査
住信SBIネット銀行 ペアローン
三菱UFJ銀行 Ｑ＆Ａ（よくあるお問い合わせ）
 
執筆者：北川　真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種