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税金と社会保険料で異なる社宅の取り扱い

ファイナンシャルフィールド / 2022年8月2日 6時40分

税金と社会保険料で異なる社宅の取り扱い

確定申告のシーズンは2月16日から3月15日までですが、社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)の標準報酬月額の算定基礎届は7月1日から7月10日までと、季節が大きく異なります。   そして、異なるのは時期だけではありません。   本稿では、従業員の社宅の取り扱いについて見ていきます。

所得税の社宅の取り扱い

会社が従業員に対して社宅や寮などを貸す場合には、従業員から1ヶ月あたり「賃料相当額」以上を、会社が受け取っていれば(給料からの天引きを含む)給与として課税されません。
 
「賃貸料相当額」とは、次の(1)から(3)の合計額をいいます。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2パーセント
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22パーセント

なお、借り上げ社宅の場合でも「賃料相当額」の計算方法は同じです。つまり、会社は貸主から固定資産税の課税標準を確認しなくてはなりません。
 

給与とされる社宅の範囲

従業員に無償で社宅を貸与する場合には、「賃貸料相当額」が給与として課税されます。なお、看護師や守衛など、仕事を行う上で勤務場所を離れて住むことが困難な役員や従業員に対して、仕事に従事させる都合上、社宅を貸与する場合には、無償で貸与しても給与として課税されないことがあります。
 
従業員から「賃貸料相当額」より低い家賃を受け取っている場合には、会社が受け取っている家賃と「賃貸料相当額」との差額が、給与として課税されます。 
ただし、従業員から受け取っている家賃が「賃貸料相当額」の50%以上であれば、受け取っている家賃と「賃貸料相当額」との差額は、給与として課税されません。
 
現金で支給される住宅手当や、従業員(入居者)が直接契約している場合に、会社が家賃を負担した場合には、社宅の貸与とは認められないので給与として課税されます。
 

社会保険料における社宅の取り扱い

社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)の額は、標準報酬月額を基にして計算します。
 

■標準報酬月額とは?

被保険者が受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で、区分したものを標準報酬月額といいます。報酬に含まれるものは給料の他に、通勤手当等や現物で給付されるものを含みます。
 

■社宅の計算は現物給与として扱われる

社宅は「住宅で支払われる報酬等」として「1人1ヶ月あたりの住宅の利益の額(畳1畳に付き)」が、厚生労働省告示により都道府県別に定められています。「1人1ヶ月あたりの住宅の利益の額(畳1畳に付き)」が、最も高いのが東京都で2830円、最も低いのが青森県で1040円です。
 
ちなみに、畳1畳は1.65平方メートルとし、実際の価額の計算にあたっては、居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など居住用の室を対象としますが、玄関、台所(炊事場)、トイレ、浴室、廊下、農家の土間などの居住用ではない室は含めません。また、店、事務室、旅館の客室などの営業用の室も含めません。
 
勤務地と社宅が異なる都道府県にある場合には、勤務地による価額で計算します。例えば、勤務地が東京都で社宅が千葉県の場合は、千葉県の「1人1ヶ月あたりの住宅の利益の額(畳1畳に付き)」の1760円ではなく、東京都の2830円で計算することになるのです。
 
なお、従業員から住宅の家賃等を徴収(負担)している場合には、上述の現物給与としての住宅の価額から、徴収額(負担額)を差し引いた額が、標準報酬月額に含まれる住宅の現物給与価額となります。
 

所得税と社会保険料とでは、社宅の取り扱いが異なる

所得税と社会保険料、毎月の給料から天引きされて国に納める点は同じですが、前述のとおり、社宅の取り扱いがずいぶんと異なることが分かります。
 

出典

国税庁 使用人に社宅や寮などを貸したとき
全国健康保険協会 標準報酬月額・標準賞与額とは?
日本年金機構 令和4年4月から現物給与の価額が改正されます
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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