【2022年10月から社会保険の適用拡大!】夫婦の働き方と社会保険の関係を見てみよう
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月3日 10時40分
家庭によって夫婦の働き方はさまざまで、1人分の収入で生活する場合もあれば、共働きとして2人分の収入で生活する場合もあります。しかし、夫婦の働き方次第では、手取り収入や社会保険などが大きく変わるため、注意が必要です。本記事では、2022年10月から変更される社会保険適用の内容について紹介します。 働き方次第では、扶養範囲を超えた方が有利な場合があるため、配偶者がパート勤務の人や今後働く予定がある人は、ぜひ参考にしてください。
社会保険とは?
「社会保険」とは、被保険者の病気やけがなどの出費負担を軽減する「健康保険と厚生年金保険」のことです。企業に雇用されている人は、勤務時間や賃金などの要件を満たせば被用者保険と呼ばれる保険に加入します。
また、被用者保険に加入している人や生活保護を受けている人、75歳以上を除く全ての人は、「国民健康保険」に加入します。
健康保険では、病院受診時の自己負担額を軽くするだけでなく、病気やけがで働けなくなったときに一定要件を満たすことで「傷病手当金」が受け取れます。女性の場合、出産により給与収入がなくなれば、「出産一時金」を受け取ることもできます。
厚生年金保険は、国民年金に上乗せで厚生年金を納めることで、老後に年金を受け取る際に、基礎年金に加えて「厚生年金」を受け取れる公的制度です。厚生年金対象となるのは第2号被保険者で、会社員や公務員が該当します。
2022年10月から、社会保険はどう変わる?
社会保険へ加入するためには、会社の規模や労働者の労働時間、給与などの要件があります。加入するための要件は2022年10月から、段階的に拡大されます(図表1)。
図表1
出典:日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
今までは勤務先の労働者が常時500人を超える必要があったのに対し、2022年10月からは「常時100人」を超えれば加入する必要があります。さらに、2024年10月には「常時50人超」の雇用で加入できるよう拡大されます。
また、適用要件のうち「継続勤務期間」については、従来が「1年以上」だったのに対し、2022年10月の変更後は、2ヶ月を超えれば社会保険加入対象となります。適用要件が拡大したことで、パートで働く人の中には雇用保険の加入対象となる人もいるでしょう。
社会保険に入った方が良いのはどんな家庭?
社会保険の加入対象となった場合、毎月健康保険料と厚生年金保険料を納める必要があります。そのため、家計への影響を考慮し、社会保険に加入するか働く時間を調整するか検討するのがおすすめです。では一体、どのような家庭が、夫婦ともに社会保険加入要件を満たした働き方が向いているのでしょうか?
働けなくなったときの備えをしておきたい家庭
被用者が入る健康保険には、万が一病気やけがで働けなくなったときの「収入保障」があります。自己負担額の金額は住む地域によって異なりますが、10%程度となることが多いようです。負担額は、企業と労働者の折半になります。
そのため、少ない保険で万が一の事態に備えておきたい人に向いているでしょう。共働きで双方の支出負担割合が多い場合や、今後に妊娠・出産の可能性がある場合、ペアローンで住宅ローンの借り入れをしている人は、互いに社会保険加入要件を満たした働き方がおすすめです。
老後もらえる年金を増やしたい家庭
厚生年金は、支払った年金額に応じて、基礎年金に上乗せする形で年金を受け取れます。また万が一、被保険者が亡くなった場合に遺族に支払われる遺族年金も上乗せされます。
納める厚生年金保険料の目安は、年収120万円の人で月額9000円程度であるため、老後の収入を増やしたい人は、扶養範囲内ではなく社会保険が適用される形で働くのがおすすめです。
社会保険制度を理解して働き方を考えよう
社会保険制度は随時見直されており、働く人が社会保険制度に加入しやすくなってきているのがわかります。毎月の負担額は増えるため、労働時間を減らして扶養範囲内にとどめた働き方も選択肢の1つですが、制度を利用し万が一に備える選択肢も広がるでしょう。制度改正を機に、自分の家庭に合った保障が受けられるよう、夫婦の働き方を見直してみてください。
出典
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
公益社団法人日本医師会 日本の医療保険制度の仕組み
執筆者:丸山希
2級ファイナンシャルプランニング技能士
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