「建物付きの土地売却」は家を解体すべき?「更地」と「解体」それぞれのメリット・デメリットを解説!
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月3日 12時40分
土地売却にあたって、家を解体してから売却した方が良いのか判断が難しいと思う人がいるでしょう。家がある場合、中古住宅として売却できることがあるため、そのままでも良いと思ってしまいます。 本記事では、売却時に家を解体して更地にするメリットと家を残すメリットについて解説します。
家を解体して更地にするメリット
家を解体して更地にしてから土地を売却するメリットは3つあります。
新築の家が建てられる
土地が更地の場合、新築住宅を建てたいと思っている人が買い手のターゲットになります。新築住宅は、最新の耐震基準などに従って、設計や施工がされるため、耐震性や断熱性に優れています。また、注文住宅であれば家づくりの自由度も高くなります。
買い手がつきやすい
家の築年数がそれほどたっていなければ、買い手がつく可能性があるものの、築年数の古い家や耐震性の低い家の場合、買い手がつきづらくなります。
家の減価償却資産の耐用年数は、木造住宅の場合であれば22年、鉄骨造住宅や鉄筋コンクリート造住宅の場合は47年となっています。つまり、築年数が古くなれば住宅としての価値が低下するため、一般的に更地にした方が、買い手がつきやすくなります。
契約不適合責任のリスクが低い
不動産の売買が成立した後に、買い主が売り主から事前に知らされていなかったことで問題が発生した場合、売り主が責任を負うことになりますこれを「契約不適合責任」といいます。
例えば、古家付きの土地を購入して家を解体したら、地中からさらに古い家の基礎部分が発見されたとします。
古家の解体と地中に埋まっていたものを撤去したことで、解体工事費用が高額になった場合、売買契約成立後とであっても売り主から知らされていなかったとして、「契約不適合責任」を負わされるリスクがあります。
更地の場合でも契約不適合責任を負うことがあります。更地にした場合で起きた契約不適合責任の事例は、地中に埋設物があったことです。
売り主が古い建物の解体工事を行って売却したものの、買い主が地盤調査を行うと、地中に古い建物の地下室の一部だった鉄骨などが埋まっていることを確認しました。
売り主も解体工事を行ったものの地中に埋設物があることを認識していません。しかし、この場合も売り主が責任を負うことになるため注意が必要です。
つまり、契約不適合責任は、家を解体してもしなくても負うことになりますが、家を解体しないとそのリスクは高まる可能性があります。
家を解体せずに残すメリット
家を解体せずに残したまま売却するメリットとして次の3つを挙げることができます。
中古住宅を検討している人を対象にできる
家が残っていると中古住宅を購入したいと考えている人が買い手となる可能性があります。住宅市場において、新築住宅だけでなく、中古住宅を購入しリノベーションを行って住む人もいます。土地を購入して新築住宅を建てるよりも費用がかからないため、リノベーションをする人は増えています。
もし、現在の家が中古住宅として売却できる可能性がある場合、家を解体せずに売却する方法も選択肢の1つとなります。
解体工事費用がかからない
土地を更地にして売却する場合、家の解体工事費用は全て売り主負担で買い主に解体費用分を上乗せすることはできません。
もし築年数が古くなく中古住宅として売却できる可能性があれば、そのまま売却した方が良く、家の耐用年数を超えているようであれば解体を検討した方が良いでしょう。
税金の軽減措置の特例が適用される
固定資産税と都市計画税は、住宅用地の場合、特例措置が適用されます。特例措置は、図表1のようになります。
図表1 固定資産税と都市計画税の住宅用地の特例措置
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋) 2. 住宅用地の特例措置 より筆者作成
特例措置は、家があることで適用を受けられます。もし、家を解体しても土地の売却に時間がかかれば、家がない分、固定資産税や都市計画税の負担額が大きくなります。
ただし、家を解体することで家にかかる固定資産税や都市計画税の負担はなくなるため、その分は抑えることが可能です。
結局家は解体した方が良いのか?
売却時に家を解体して更地にするメリット、家を解体せずに残すメリットの両方を解説してきました。更地にして売却するか、中古住宅として売却するかの判断は、家の築年数や耐用年数から判断すると良いでしょう。
一般的に築年数が古い建物が残っていますと、買い手がつきづらくなることや、売却後の契約不適合責任のリスクも高まります。
古い建物の場合は家を解体して更地にした方が土地を売却できる可能性が高まります。ただし、家の状況や土地の所在地によっても変わってしまうため、解説してきたことを参考にして判断されると良いでしょう。
出典
国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
e-Gov法令検索 民法 第636条
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋) 2. 住宅用地の特例措置
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士
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