老後に必要なお金は2000万円? つみたてNISAやiDeCoで貯められるのか
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月4日 23時40分
金融庁の金融審議会・市場ワーキンググループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、老後の生活において収入と支出の差を計算していくと30年間で2000万円が必要となるという試算が公表されました。しかしこれは後に撤回されたものの、前提条件によっては必ずしも2000万円では足りない場合もあります。 そこで、この記事でひとつの目安として備えたい老後資金の目安を2000万円とし、金融商品を活用することでどれくらい貯まるかについて試算してみましょう。試算する金融商品は、投資経験が浅い人でも利用しやすい「つみたてNISA」と「iDeCo(個人向け確定拠出年金)」です。ぜひ参考にしてみてください。
つみたてNISAを使って2000万円貯める場合
「つみたてNISA」は、年間40万円までの範囲で対象の投資信託等を毎月積立購入していく仕組みです。最長20年までなので、現在20歳の人は40歳まで、現在40歳の人は60歳までが上限です。そして、その範囲内で得られた運用益等は非課税となります。投資対象商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託等のみとなります。
つみたてNISAで2000万円目指すなら年利6~8%のポートフォリオ
金融庁Webサイト内「資産運用シミュレーション」では、さまざまな条件で試算ができます。前述したつみたてNISAの内容でシミュレーションしてみると、年利3%で年間約40万円の投資を20年続けた場合、20年後には1093万円という結果でした。これを基準に考えると、年利6~8%の投資では、2000万円近く貯まることになります。
年利6~8%の運用結果を目指すポートフォリオでは、海外株式の比率を高くすることになります。つみたてNISAは投資信託商品が主なので、他の投資よりはリスクが低いといえます。しかし、海外株式をメインとした投資信託は投資初心者では少々ハードルが高い印象です。
iDeCoを使って2000万円貯める場合
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、老後資金形成に最適の金融商品です。運用中は掛け金が全額所得控除になるため節税効果もあります。なお、iDeCoの受取は65歳からで、原則として途中引き出しができません。老後資金のためにしっかり備えたい人にはおすすめです。
加入年齢が低いほど毎月の掛金負担は軽減される
iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」では、年収と加入年齢、毎月の掛金を入力するだけで試算が可能です。以下、iDeCoを活用して運用結果がおおむね2000万円になるシミュレーションの一例です。
●20歳iDeCo加入 年収300万円 掛金3万8000円
●30歳iDeCo加入 年収500万円 掛金4万8000円
●40歳iDeCo加入 年収600万円 掛金6万8000円
iDeCoの掛金は、5000~6万8000円までです。上記シミュレーションの年収600万円で40歳の場合は、iDeCoの掛金の上限である6万8000円となっています。つまり、老後資金対策として2000万円をiDeCoで貯めたい場合、年収600万円であれば40歳がリミットであるということが分かります。
また、iDeCoは勤務先の企業年金等の影響で、個人が加入できる掛金に制限がかかる場合があります。そのため、満額の6万8000円をiDeCoで希望しても加入できない場合があります。
まとめ
つみたてNISAとiDeCoは、投資の経験が浅い人が始める場合でもハードルが高くない制度です。しかし、どちらか片方だけの制度を利用して、老後資金のひとつの目安である2000万円を貯めるのは容易ではなさそうです。おすすめは、どちらの制度も併用してやってみることです。そうすることで分散投資になり、より資産を守りながら少しでも増やして備えることができます。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキンググループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
金融庁 つみたてNISAの概要
金融庁 資産運用シミュレーション
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに? iDeCoの特徴
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト かんたん税制優遇シミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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