【終活】「自筆証書遺言」や「エンディングノート」を活用して死後の相続を円滑に
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月5日 10時30分
「自分に万が一のことがあった場合に備えたい……」 「死後の相続・手続きを円滑に進めてほしい……」 上記のことを考えている人も多いのではないでしょうか。そんな人におすすめしたいのが「エンディングノート」と「自筆証書遺言」です。 本記事では、エンディングノートと自筆証書遺言について分かりやすく解説しています。
エンディングノートとは? 遺言書との違いは?
エンディングノートとは、死後や終末期に備え、自分の情報や思いを書きつづるノートのことです。エンディングノートを書いておけば、残された家族の負担やトラブルを減らせます。
書店や文房具店などで販売されている他、自治体が作るケースも増えています。エンディングノート自体に法的効力はありませんので、法的効力を持たせたい場合は、遺言書を別に作成しておきましょう。
エンディングノートに書き残しておきたいこと
エンディングノートに書き残しておきたいことは下記の4つです。
1.自分の基本情報
2.医療・介護
3.葬儀・墓
4.全ての財産
1つずつ見ていきましょう。
1.自分の基本情報
自分の基本情報を書くことで、どんな人だったかを把握でき、自分自身でもどんな人間だったのか振り返れます。また、これまでに気付かなかった「自分」を発見できるかもしれません。
<記載例>
・生年月日
・本籍地
・家族
・家系図
・学歴・職歴
・居住地
・交友関係(連絡先リスト)など
2. 医療・介護
末期の状態になったとき、延命措置や告知などを決めておくことで、家族の精神的負担を軽減できます。
また、介護が必要になった際、誰に頼むか・どこで受けたいかも記載しておきましょう。認知症で判断できなくなった際に備えて、財産管理を誰に頼むかも決めておくと良いでしょう。
3.葬儀・墓
葬儀の場合は形式や場所、喪主を誰に頼むかなどを記載しておきましょう。お墓についても書いておくことで、家族は死後の段取りをスムーズに組めます。
4.全ての財産
預貯金や保険、不動産など、財産に関わる情報は全て書き出しておきましょう。家族による財産の見落としを防げます。
エンディングノートをビッシリ埋める必要はない
エンディングノートを全て埋める必要はありません。自分が書ける、もしくは書きたい箇所だけ埋めれば良いのです。
なお、死後の家族のことを考えるなら、必ず「財産の情報」は埋めておきましょう。親の財産情報を知らない「子」も多く、財産情報を書いておくだけで手続きが円滑に進みやすくなります。
エンディングノートは家族へのガイドラインにもなる
エンディングノートは本人の希望が記されたノートでもあるため、家族のガイドラインにもなります。
一度書いたら終わりではなく、随時内容を見直すことも大切です。誰にも見つからない恐れもありますので、保管場所は必ず家族に伝えておきましょう。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、本人が全文を自筆で書きあげる遺言書のことを指します。自筆証書遺言は、公正証書遺言と比べて費用も手間もかかりません。
しかし、内容に不備や誤りがあると遺言自体が「無効」となります。また、自宅で保管する場合、紛失や改ざんのリスクもあります。
2020年7月には自筆証書遺言の保管制度も始まった
2020年7月、自筆証書遺言の保管制度も始まりました。自筆証書遺言を法務局に持参すると保管してもらえます。保管手数料は1通3900円で、検認の手続きも省略されます。
公正証書遺言との違い
自筆証書遺言は自分で書く遺言書ですが、公正証書遺言は専門家の公証人が作成する遺言書です。
内容や書式で無効になることはなく、遺言書は構成役場で保管するため、紛失の恐れもありません。ただし、公証人に手数料で数万円ほど支払う必要があります。
自筆証書遺言作成におけるポイント
自筆証書遺言作成における一番のポイントは、「遺産の分け方を明確に書く」ことです。つまり、誰が見ても同じ解釈ができるように書く必要があります。
例えば、「遺産は兄弟で仲良く分けるように」と書いても、どの遺産をどの割合で分ければ良いのか全く分かりません。「銀行預金は兄弟で/2分の1ずつ」など、どの遺産を、どういった割合で分けるかまで記載しましょう。
また、遺産の分け方の理由まで書いておきますと、残された家族は納得しやすくなります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の選択基準
自分自身で遺言書を作りたい、費用をかけずに気軽に作りたい場合は、「自筆証書遺言」がおすすめです。
自分で書くのが負担だったり、財産や家族構成が複雑だったりする場合は、「公正証書遺言」を選ぶのが無難でしょう。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため隠されたり改ざんされたりする心配がありません。また、高齢で自筆で書けない場合も、本人に代わり公証人が執筆する公正証書遺言がおすすめです。
「エンディングノート」や「自筆証書遺言」で万が一に備えよう
本記事では、エンディングノートと自筆証書遺言について分かりやすく解説しました。残された家族の手続きを円滑にするためには、自分が生前から準備しておくことが欠かせません。
残された家族に明確なガイドラインを示すことで、手続きが円滑になり、トラブルにも発展しにくくなります。
万が一に備えて、エンディングノートや自筆証書遺言を早い段階から作成しておくのも良いでしょう。
出典
日本公証人連合会 公証事務 1 遺言
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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