「家計が苦しくなった」「留学に行けなくなった」円安が進み、みんなの生活にはどんな影響が出ているの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月6日 11時0分
円安ドル高が進み、私たちの暮らしにも影響を与えています。2022年3月に1ドル120円を超えて以来、さらなる円安が進み、7月中旬の東京外国為替市場の円相場は、1ドル138円を超えています。 円安の原因は、日米金利差や日米の金融政策の方向性の違いとされています。2022年3月に米国の金融政策策定にあたるFRB(Federal Reserve Board:連邦準備理事会)が政策金利を引き上げたことにより、日米金利差が開き、一層の円安が進みました。 円安になると、輸出品の価格が安くなり、販売が活性化されるため、輸出を中心としている企業には有利となります。一方、製品や原材料を輸入している場合、その価格が上がってしまいます。そのため、食糧自給率の低い我が国では、最近になって食料品などの値上げが相次いでいますね。これにはウクライナ侵攻の問題なども関係しています。
急速な円安は私たちの生活にどんな影響を及ぼしているの?
それでは、急速な円安は私たちの生活にどのような影響が出ているのでしょう。株式会社ホロスプランニングがアンケートで生活者の意識を調べていますので、その結果を見ていきましょう。
調査対象の世帯年収は「300〜500万円」が35.4%で最も多く、「500〜750万円」が29.2%「300万円未満」が17.8%で続きました。世帯年収500万円未満が54%と半数を超えます。
生活費は月にいくらくらい上がったか尋ねると、「1〜3万円」が61.0%、「1万円未満」が28.0%でした。70.4%もの人が、1万円以上生活費が上がってしまったと答えており、円安による物価上昇の影響を強く受けている人が多くなっている様子がわかります。
ドルと円の相場はいくらが適正だと思うか聞いたところ、最も多いのは「110~120円」(43.8%)、次いで「100~110円」(34.8%)でした。そこから見ると、今の相場は円安すぎるということでしょうか。
円安で物価が上昇し、生活を直撃
急速な円安問題に対し、思うことを聞いたところ、「生活費(家計)が苦しい」というコメントが多く寄せられました。「電気や水道などのインフラやガソリンなどの燃料、生鮮野菜などの値段が上がり家計に響いてきた」というコメントからも、円安の影響でさまざまなモノが値上がりし、生活を直撃している様子が読み取れます。また、「給料は上がらないのに物価だけ上がって大変」という声も多く聞かれました。
他には、「海外旅行や留学を希望していたのに行きづらくなった」といった意見も。航空券の価格が高騰している他、海外での買い物や生活費、学費も高くなってしまうため、留学したくても躊躇してしまう人もいるようです。
新型コロナウイルスの感染拡大で、海外に行きづらくなっていたところ、円安のダブルパンチで海外旅行は再び遠のき、旅行業界もますます厳しいのではないのでしょうか。
また、「円安になってしまった後の国の対策が不十分であるように感じる」「政府や日銀が適切に対処していない」といった意見も目立ちました。
円安は輸出や外国人向け観光業にはチャンス
円安は、物価高の原因となったり、海外旅行のコストが上がってしまう等、なにかとネガティブに捉えられがちです。その一方で、「日本の魅力的な商品を海外にどんどん売って欲しい」「外国人向けの観光業には有利なので、うまく活用して外貨を稼いで欲しい」というように、輸出業や外国人向け観光業などは円安を好機と捉えて欲しいという意見もありました。
このように、円安は日本経済にとって悪い面もあれば良い面もあります。とはいえ、現在のレートは通常より10円以上円安なわけですから、円が適正なレートになるよう、政府や日銀の対策が待たれますね。
出典
※株式会社ホロスプランニング 急速な円安の中、実生活にどのような影響が出ておりますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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