相続した空き家の売却を成功させるには? 処分に悩んだときの制度も紹介
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月7日 3時0分
相続で家を受け継ぐ人も少なくないでしょう。しかし、家を使わないと空き家の状態になり、管理費や固定資産税などの費用負担が大きくなるばかりです。 中には、相続した空き家の売却を検討している人も多いのではないでしょうか? 本記事では、空き家の売却を成功させるコツや、処分に悩んだときの制度を紹介しています。
全国に空き家は「846万戸」あり「相続での取得」が一番多い
総務省の調査によると、2018年時点で全国に空き家は約849万戸ありました。また、国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」では、相続での取得が54.6%と最多でした。
図表1
出典:国土交通省 令和元年空き家所有者実態調査 集計結果
空き家を売却する際、買い手を見つけなければいけません。物件によっては、なかなか買い手が見つからない可能性も十分に考えられるでしょう。
売却しやすい物件の特徴3選
売却しやすい物件の特徴は下記の3つです
(1)立地条件がよい
(2)近所に購入してくれそうな人がいる
(3)維持や管理を怠っていない
1つずつみていきましょう。
(1)立地条件がよい
駅から近いなど、立地条件がよいと市場価値が高くなり、買い手が付きやすくなります。対照的に駅から遠いなど、不便なところにある物件は、買い手を見つけにくくなります。
(2)近所に購入してくれそうな人がいる
近所の人に購入を持ちかけた場合、意外と買い手が見つかる可能性もあります。物置や子どものために空き家を購入する人も少なくないので、売却する際は近所の人に購入を持ちかけるのもよいでしょう。
(3)維持や管理を怠っていない
空き家を売却する際、維持や管理をきちんとしておくことが大切です。空き家は放置しておくと次第に傷んでいきます。定期的な掃除や除草が欠かせません。
相続空き家を売却する際は「3000万円特別控除」も忘れずに
空き家の売却は「3000万円特別控除」の活用も視野に入れましょう。
通常、売却益から費用を引いた金額がプラスなら課税対象になりますが、条件を満たすことで最大3000万円を控除できます。
なお、3000万円特別控除は2023年12月末までに売却した場合に適用されます。また、売却した翌年に確定申告が必要です。
「取得費加算特例」で相続税を抑えることも可能
相続税がかかる場合、「取得費加算特例」制度を利用する方法もあります。
取得費加算特例では、物件の取得費に相続税を加えられるので、最終的に所得税を減らすことが可能です。注意点として、3000万円特別控除との併用はできません。
相続空き家の処分に悩んだら「相続土地国庫帰属制度」を活用しよう
相続空き家の買い手が見つからない場合、「相続土地国庫帰属制度」の利用も一案です。相続土地国庫帰属制度とは、国が土地を引き取ってくれる制度のことを指します。
2023年4月27日から施行し、開始と同時に承認申請を受け付ける仕組みとなっています。また、相続土地国庫帰属制度は、相続開始の時期にかかわらず利用可能です。
相続土地国庫帰属制度の申請の流れ
相続土地国庫帰属制度の申請の流れは図表2のとおりです。
図表2
1 | 2023年4月27日に受付開始 |
2 | 法務局に申請(手数料を納付) |
3 | 法務局の審査・承認(実地調査権限あり) |
4 | 承認後、申請者が負担金を納付 |
5 | 国庫帰属 |
※法務省 相続土地国庫帰属制度(概要)を基に筆者作成
相続土地国庫帰属制度の対象外となるケース
相続土地国庫帰属制度の対象外となるケースは図表3のとおりです。
図表3
出典:法務省 相続土地国庫帰属制度(概要)
土地に建物があったり担保権などが設定されていたりする場合、国は土地を引き取ってくれません。
相続した空き家の処分に悩んだときは国に引き取ってもらうことも視野に
本記事では、空き家の売却を成功させるコツや、処分に悩んだときの制度を紹介しました。相続した空き家を売却しようと思っても、買い手がいなければ売却できません。
売却できず処分に困った場合は、相続土地国庫帰属制度の利用も検討してみましょう。利用する際は、制度をしっかりと理解しておくことが大切です。
出典
総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 特別集計
国土交通省 令和元年空き家所有者実態調査 集計結果
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)
法務省 相続土地国庫帰属制度(概要)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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