「会社役員」は年金受給できる年齢になっても年金をもらえないって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月15日 10時30分
年金を受給できる年齢になっても、会社から報酬をもらっている会社役員の場合、年金を受け取ることができるのでしょうか。実は、働き続けている60歳以上を対象に年金を支給する「在職老齢年金」という制度があります。 ここでは、在職老齢年金制度の内容をはじめ、会社役員がもらえる支給額の基準などについて解説していきます。
在職老齢年金とは?
働き続けながら年金をもらう60歳以上の人を対象とした制度を「在職老齢年金」といいます。会社からもらえる賃金と老齢厚生年金の月額合計が所定の金額以上になると、在職老齢年金が減額または支給が停止されます。
ただし、老齢基礎年金である国民年金については減額や支給の対象となりません。支給が減額または停止されるのは、在職老齢年金である厚生年金の部分のみです。ちなみに、働き続けている70歳未満の場合は年金をもらっていても厚生年金に加入することが義務付けられています。
支給の停止基準とは?
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のとき、支給停止額は0円で全額支給されます。一方、基本月額と総報酬月額相当額 の合計額が47万円を超えるときは次の式に当てはめて支給停止額を計算するのです。式は「支給停止額= (総報酬月額相当額+基本月額-47万円) 1/2×12」です。
ちなみに、基本月額とは加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額のことで、総報酬月額相当額とは「(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」の計算式から求めます。
例えば、年金の基本月額が10万円で総報酬月額相当額が26万円の場合、合計額36万円です。47万円以下のため、在職老齢年金は全額支給されることになります。役員で高額の報酬を受け取っている場合は、老齢年金の支給額が減額または停止になる可能性が高いといえるでしょう。
また、業績が良くなって急に役員報酬が上がった場合は注意が必要です。在職老齢年金制度の仕組みを知って、損をしないようにしましょう。
2022年4月から支給停止基準の額が緩和される
実は、年金制度の改正によって、2022年4月から65歳未満の在職老齢年金制度が変わりました。支給停止基準の額が「28万円から47万円」に緩和されたのです。これまでは基準額の28万円を超えないように、わざと働く時間を短く調整していた人もいました。
しかし、基準額の緩和によって、より多様な働き方ができるようになったのです。これまでとは支給停止基準が違うため、65歳未満の人は一度、見直すようにしましょう。ちなみに、65歳以上の場合は、在職老齢年金制度の支給停止基準の額の変更はありません。これまで通り「47万円」のままです。
会社役員が年金をもらえるかどうかはケース・バイ・ケース
「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以上」の場合、年金の支給が停止されたり減額されたりします。一度、計算してみることをおすすめします。
出典
日本年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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