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年金の上乗せになる国民年金基金。節税にもなるって本当?

ファイナンシャルフィールド / 2022年8月23日 10時40分

年金の上乗せになる国民年金基金。節税にもなるって本当?

自営業者の老後資金には、国民年金の第一号被保険者として老齢基礎年金があります。しかし、厚生年金保険がありませんので、老齢厚生年金がありません。   その代わりに、上乗せとなる年金の「任意加入」という選択肢が用意されています。その1つと考えられるのが、国民年金基金です。   本稿では、国民年金基金を、特に節税という視点でみていこうと思います。

どちらも、同じ全額所得控除

社会保険料控除の対象となるものといえば、先述の国民年金や健康保険といった、法律などで「強制加入」となっている社会保険、というイメージがあるかもしれません。
 
しかし、国民年金基金や付加保険料(付加年金)は「任意加入」の制度ですが、どちらも社会保険料控除の対象です。
 
年金が上乗せとなる「任意加入」には、小規模企業共済と個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。どちらも、掛け金は全額所得控除という点では国民年金基金などと変わりませんが、社会保険料控除ではなく、小規模企業共済等掛金控除です。
 
では、掛け金が全額所得控除という点では変わりないのに、社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除では、どのような点が異なるのでしょうか?
 

生計を一にする家族なら「まとめて控除」もできる?

例えば、自営業者の夫と、専業主婦の妻、それに大学生の子どもが2人(どちらも20歳過ぎ)という、生計を一にする家族があったと仮定します。
 
夫が自営業者で国民年金第一号被保険者の場合、妻が専業主婦であっても、夫と同じ第一号被保険者となります。また、子どももこの場合、大学生といえども20歳を過ぎていれば、国民年金に加入する義務が生じ、国民年金保険料を納めなくてはなりません。
 
しかし同時に、大学生には学生納付特例制度という「国民年金保険料を納めなくてもよい」という制度もありますが、ここでは2人の子どもの国民年金保険料を夫(子どもにとっては父親)が払っていたとします。
 

■第一号被保険者なら、誰でも国民年金基金に加入できる?

4人家族の全員が国民年金の第一号被保険者だとすると、全員が国民年金基金に加入できます。国民年金基金は「自営業者などの上乗せ年金」と思っている方もいるかもしれませんが、自営業者であることが加入の条件にはなっていません。
 
国民年金基金は、20歳以上60歳未満の場合、第一号被保険者であることが加入の条件なのです。つまり、自営業者に限らず、学生はもちろん、求職中の方や家賃収入で生計を立てている方でも、国民年金の第一号被保険者として国民年金保険料を納付していればよいのです。
 
ただし、国民年金の第一号被保険者だとしても、国民年金基金の加入はできないことがあります。例えば、学生納付特例や国民年金保険料免除(一部免除を含む)などを利用しているケースなどです。
 

■自営業者の節税対策になる?

例えば、生計を一にする4人家族で、全員が国民年金基金に加入したとします。また、家族一人ひとりの掛け金の額は、年間限度額の81万6000円だったとします。そして、この掛け金を夫が1人で払ったとすると、81万6000円×4名=326万4000円になります。
 
つまり、夫1人で4人分まとめて326万4000円のすべてが社会保険料控除の対象となるのです。
 
自営業者の方の節税というと、例えば「業務用の車を買う」という方法も考えられますが、車は減価償却の対象です。つまり、購入した時点だけで節税はできません。
 
国民年金基金は脱退ができませんから、いったん加入したら、資格の喪失に該当しない限り、60歳まで掛け金をずっと払い続けることになります。
 
しかし、例えば、今年子どもが大学4年生で卒業後は就職する、つまり国民年金の第二号被保険者になる、ということでしたら、国民年金基金に加入して「今年だけ節税」という方法もできるかもしれません。
 

■国民年金基金の留意点

前述のとおり、国民年金基金は掛け金の払い込みが中止できたとしても、脱退はできません。
 
上記家族の例で、もし2人の子どもが企業などに就職した場合には、国民年金の第二号被保険者(つまり厚生年金保険)になりますので、国民年金基金の資格は喪失します。
 
国民年金基金の資格を喪失すると、掛け金の払い込みはできなくなりますが、それまでに納めた掛け金は返還されません。2人の子どもが将来、年金の受給開始の年齢になったときに、納めた実績を基に国民年金基金の老齢年金を受け取ることになります。
 

小規模企業共済等掛金控除との違いに注意し、国民年金基金を活用しよう

小規模企業共済等掛金控除の場合は、たとえ生計を一にする家族であったとしても、家族の分もまとめて所得控除はできません。
 
先述の4人家族ケースで、全員が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入したとしても、夫の所得控除の対象になるのは夫の掛け金の分だけなのです。
 
社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、全額所得控除という点は同じです。違いは「生計を一にする家族の分」も「まとめて控除ができる」か否か、という点に注意しましょう。
 

出典

国民年金基金連合会 ホームページ
国税庁 生計を一にする
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)よりNo.1135 小規模企業共済等掛金控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)よりNo.1130 社会保険料控除
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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