年金保険料を払わないと差し押さえ? 年金を納めないリスクとは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年8月25日 1時0分
![年金保険料を払わないと差し押さえ? 年金を納めないリスクとは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_156402_0-small.jpg)
公的年金は、支払った保険料と同額を将来受け取れる仕組みではなく、不公平だと感じる人や、そればかりか将来の公的年金に対する不安から、年金を納付しないという判断をする人もいるようです。 しかし、「公的年金を滞納すると差し押さえに遭う」といううわさもあります。結論からいえば、公的年金を滞納することで差し押さえに遭う可能性はあります。公的年金の支払いは、一部の例外を除き、国民の義務だからです。 滞納から差し押さえまでの流れを知っておくことで、差し押さえに遭うリスクを減らすことが可能です。この記事では、差し押さえのリスクや、滞納から差し押さえまでの流れ、滞納リスクについて解説します。
年金を滞納すると差し押さえ?
国民年金の納付を滞納すると、最終的に差し押さえられる可能性があります。厚生労働省によれば、令和元年度の差し押さえ実施件数は2万590件です。実際に、2万件を超える人が年金未納によって、差し押さえに遭っているのです。
公的年金は2階建てとなっており、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。国民年金への加入は日本に居住する20~60歳までの、すべての国民に義務付けられています。
つまり、一定の収入がある日本国民であれば、誰でも年金を納付する義務があるのです。国民年金法は第88条で「保険料の納付義務」を規定しています。本規定では、「被保険者は、保険料を納付しなければならない」としています。
年金の納付は法律で規定された国民の義務であり、「年金なんて要らない」と思っていても、一定の要件を満たさない限り支払いは免れません。
年金未納で差し押さえまでの流れ
年金を滞納して放置すると、最終的に差し押さえとなる可能性がありますが、年金滞納後、すぐに差し押さえられるわけではありません。年金の滞納から差し押さえまでの流れを確認しましょう。
催告される
国民年金を納付期限までに納付しないと、年金事務所から電話や書面で催告されます。
実際に催告を行うのは、日本年金機構から委託を受けた業者です。この時点では、支払いを忘れていないかの確認であり、滞納している年金を納付すれば、特に問題はありません。
特別催告状が届く
催告が届いた後に滞納を続けていると、特別催告状が届きます。特別催告状は数回にわたって送付され、その度に封筒の色が変わります。
初回から青色、黄色、赤色の封筒が送付され、赤色は最も重大な状態を意味します。赤色の特別催告状が届くと、数回にわたる特別催告状を無視していることになり、封筒の中身には「差し押さえの準備に入る」と警告文があります。
赤色の特別催告状を無視すると、以下のペナルティーが発生します。
●差し押さえに遭う
●延滞金が発生する
●年金受給額が減少する
これらのペナルティーを回避するためにも、赤色の特別催告状が届いた時点で滞納分を納付したり、滞納について年金事務所と相談する必要があります。
最終催告状が届く
赤色の特別催告状を無視すると、最終催告状が届きます。
最終催告状が届く対象は年間所得300万円以上の人ですが、400 万円以上かつ未納月数13月以上の場合、日本年金機構が積極的に強制徴収に取り組むようです。最終催告状には、指定された納付期限までに納付しない場合、差し押さえが実行されることが記載されています。
最終催告状は、強制差し押さえ前の最後のチャンスであり、この時点では未納分の分割納付や免除、猶予といった措置が認められます。差し押さえを回避したい場合、最終催告状が届いた時点で、行動に移す必要があります。
督促状が届く
最終催告状が届いても放置していた場合、督促状が届きます。督促状には最終的な納付期限が記載され、この期限までに納付しないと、延滞金が発生することが明記されています。延滞金は、当初の納付期限の翌日から滞納分を完済する前日まで発生します。
差押予告通知書が届く
督促状を無視すると、いよいよ差押予告通知書が届きます。差押予告通知書には、未納分を強制徴収するために差し押さえをする、という予告が記載されています。それと同時に、納付の意思がある場合、年金事務所に相談することを警告しています。
差し押さえ一歩手前の状態ですが、差し押さえを回避する最後の手段が残されています。
差し押さえが実行される
差し押さえが決定すると、まずは財産調査が実施されます。滞納者の預金口座情報が調査され、売掛金等の債権や不動産などの資産についての調査も行われます。差し押さえの対象となる財産は以下のとおりです。
●給料のうち一定額
●銀行口座
●不動産(自宅含む)
●自動車
●生活必需品以外の動産(現金、宝石・貴金属、絵画、株券、機械、家畜など)
しかし、年金や生活保護、家具、家電といった、生活する上で必要なものは差し押さえの対象外です。ここで注意したいのは、本人のみならず、家族の資産も差し押さえの対象となる可能性があることです。
国民年金法では、第88条2項で「世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う」、3項で「配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う」と規定しています。
差し押さえ前に行動しよう
公的年金については、保険料の免除制度・納付猶予制度があります。居住する自治体の役所の福祉課や国保年金課に相談すれば、解決策が見つかるかもしれません。
差し押さえに関する通知を無視するのではなく、まずは相談してみましょう。
出典
e-Gov法令検索 国民年金法
厚生労働省 日本年金機構の令和元年度 業務実績の評価(案) (令和2年9月10日)
日本年金機構 現在委託している民間事業者
日本年金機構 「国民年金保険料の強制徴収の取組強化」について
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(保険料徴収)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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