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妊娠・出産したら行う手続き ~ 年金・健康保険編

ファイナンシャルフィールド / 2022年8月30日 3時40分

妊娠・出産したら行う手続き ~ 年金・健康保険編

令和2年の「厚生労働白書」によると、出生率は微減傾向にあり、2019(令和元)年における出生数は87万人と過去最小となっています(※1)。しかも将来推計人口における2040(令和22)年の出生数は約74万人と推計されており、2019年の9割弱、1989(平成元)年には約6割の水準になる見込みです。急激な少子化は問題ですが、教育費の負担が大きい日本では、「子どもを育てること」はとても大変なことです。   ただ、徐々にではありますが、育児休業や社会保険料の免除などの新たな制度が創設され、子育て世帯を支援する動きがあるのも事実です。今回は、妊娠出産によって、どれだけの支援制度があるのかをご説明しましょう。

産前産後に免除される社会保険料。免除される効果は大きい!

妊娠すると、産前産後の一定期間は社会保険料が免除されます。協会けんぽに加入していた場合に免除される要件としては、以下のような4つのポイントがあります。

(1) 免除されるのは、産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日)のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間。
 
(2) 申出書の提出にあたって、産前産後休業期間中における給与が有給・無給であるかは問わないこと。
 
(3) 申出書の提出は、産前産後休業をしている間に行うこと。
 
(4) 保険料の負担が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了予定日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までで、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われること。

一方、協会けんぽに加入していない自営の方など、国民健康保険と国民年金に加入している方に注意点があります。国民年金の保険料は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間は免除となりますが、国民健康保険料は同時に免除となりません。
 
国民健康保険には、失業した場合など、収入が減った時に減免される仕組みがありますので、同条件での減免はあるかもしれませんが、「妊娠、出産」は国民健康保険では免除の理由にはなりません。
 

支給されるお金は申請しないと受け取れない

会社員か自営業かなど、働き方によって加入している社会保険の給付内容は異なります。ただ、子どもを出産したことによる一時金は、本人が協会けんぽの被保険者でも被扶養者でも支給されます。協会けんぽでも国民健康保険からも42万円(1人につき)という金額は同様です(注意:産科医療補償制度加入分娩機関で出産した場合)。
 
出産する本人が協会けんぽや健康保険組合の被保険者であるなら、さらに産前産後の休業期間中に受け取れる出産手当金という給付もあります。金額は、給料の額によって異なりますが、原則として、産前42日産後56日間休業して給料が支払われていない期間は(注意:多胎妊娠の場合もしくは出産日が予定日よりも遅くなる場合には加算あり)受け取れます。
 
お勤めの方で雇用保険に加入している場合には、産前産後休業の後に育児休業を取得することで、雇用保険からは育児休業給付金が支給されます。子どもが1歳になるまでは育児休業を取得できますが、その後、保育園に入園できないなどいくつかの要件を満たせば2歳になるまで育児休業を取得でき、1年を超えて雇用保険からも育児休業給付を受け取れます。
 
働いて社会保険に加入していると、妊娠出産育児に伴う手当を受け取る流れは整備されてきています。
 

医療補助など自治体ごとの制度は要チェック

妊婦検診14回分については、自治体からの助成がありますが、実際の助成内容については自治体によってさまざまです。
 
また、妊婦検診の費用だけでなく、その他の疾病、例えば「妊娠高血圧症候群及びその関連疾患、糖尿病、貧血、産科出血及び心疾患にかかっている妊婦であって、認定基準を満たし、医療機関に入院して治療を受ける必要がある方」に対して費用を援助するなど、基本の検診以外の助成制度がある自治体もあります(出典:東京都福祉保健局 妊娠がわかったら)
 
出産後の子どもに対する医療費助成も自治体によってさまざまです。出産後の子どもの医療費も、乳児のときか、それとも就学前か小学生、中学生になるまで補助が受けられるのか、医療費助成がある期間と内容はしっかりと確認しておきたいものです。
 
子どもの医療費の負担がなくなることは、家計にとってとても助かるものです。妊娠がわかった時には、ぜひ「どこに住むと子育てがしやすいのか」を考えておきましょう。家賃の補助などももちろんですが、医療費の補助などもしっかりとチェックし、子育てしやすい地域への引っ越しも視野に入れたいものです。
 
令和5年3月31日までの時限措置ですが、新築住宅の購入やリフォームをすると、100万円もしくは60万円など、子育て世帯や若者夫婦世帯への支援(※2)もありますので、この機会に、持ち家か賃貸かをしっかり夫婦で話し合うのもよいでしょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 厚生労働白書 第1章 平成の30年間と2040年にかけての社会の変容
(※2)国土交通省 こどもみらい住宅支援事業 事業概要
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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